中国本土・四川でZ世代がスマート農業 やせた土からトマトとスイカ
中国本土・四川省遂寧でこの1年、農業を学んだ20代の若者たちがスマート温室を整備し、栄養が乏しかった土壌で高品質なトマトやスイカの栽培を可能にしました。村の農家に“教える側”として入っている点も、いま注目を集めています。
深紫のシェール土壌、育つ野菜は限られていた
遂寧の一帯には、深い紫色を帯びたシェール(頁岩)由来の土壌が広がります。これまでこの土地では、土の栄養が乏しく、育てられる野菜の選択肢が限られていました。ダイコンやジャガイモなど、耐えられる作物が中心だったといいます。
ところが現在は、同じ土壌でつやのあるトマトや、みずみずしいスイカが収穫されるようになりました。
温室の中で進む「逆転の授業」:教えるのは20代、学ぶのは村の農家
地元の農業パークにある温室では、研修セッションが行われています。講師役は20代前半の若者たち。受講するのは、村の農家で、中年層が多い構図です。
この取り組みを支えるのは、農業系の大学を卒業した30人超の若者たち。地元では彼らを「Gen Z Farming Class(Z世代の農業クラス)」と呼ぶようになりました。彼らがこの1年で整備したスマート温室は、かつての“育ちにくい畑”を、収量が以前の数倍に伸びる生産地へと変えたとされています。
最初の壁は「種」ではなく「土」だった
変化の出発点は、栽培技術以前に土壌そのものでした。グループのリーダーで農業デジタル技術者の鮑文(Bao Wen)氏は、最大の課題をこう語っています。
「遂寧の土は有機物が不足している。地下を変えないと、ここで高品質な野菜は育てられない」
記事の見出しにもある通り、鍵となったのは“生物学”の発想で土に新しい命を与えること。つまり、土の状態そのものを見直し、作物が育つ土台を整えるアプローチです。何をどこまで変えるかは、最終的に収量や品質に直結します。
スマート温室がもたらしたもの:収量だけではない変化
今回の話題は「トマトやスイカが育った」という結果だけでなく、プロセスにも特徴があります。温室での研修が日常的に行われ、若者が知識を“現場の言葉”に翻訳しながら共有している点です。
現時点で見えている変化を整理すると、次のようになります。
- 栄養が乏しい土壌でも、作物の選択肢が広がった(ダイコン・ジャガイモ中心→トマト・スイカなど)
- スマート温室を、この1年で若者30人超が整備した
- 収量が「以前の数倍」とされ、土地の評価が変わりつつある
- 研修を通じて、20代が講師として地域農家と知識を往復させている
次の焦点は「定着」と「広がり」
スマート農業の導入は、設備や技術の導入だけで完結しません。土づくり、栽培管理、学びの継続——これらが地域の中で“回る形”になっていくかが、次の焦点になります。
遂寧の事例は、作物の種類や収量の変化に加え、世代の違う担い手が同じ温室で学び合う構図を作った点でも印象的です。農業の現場で、知識がどのように受け渡され、土地の可能性がどう更新されていくのか。2026年のいま、静かに追いかけたい動きの一つです。
Reference(s):
cgtn.com







