北京、AI向け計算能力20万ペタフロップスを2027年までに目標
北京が、人工知能(AI)産業を支える基盤として、2027年までに累計20万ペタフロップスの計算能力(コンピューティング能力)を整備する目標を掲げました。計算資源の確保がAIの成長スピードを左右する中、計算能力の「量」と「置き場所」、そして「電力」との向き合い方が同時に問われています。
「20万ペタフロップス」とは何を意味するのか
市の経済・情報化部門の当局者は木曜日、2027年までの計画について説明しました。ペタフロップス(petaflop)は、1秒あたり1000兆回(10の15乗)の浮動小数点演算を表す計算能力の単位で、AIの学習や推論など「計算量がものを言う」領域でよく使われます。
ここでのポイントは、AIモデルの開発競争が「アルゴリズム」だけでなく、計算資源の調達力や、電力・設備の運用といった現実的な制約に強く結びついていることです。
クラスターは北京の外へ:河北・天津にも広がる配置
会見で報道官の張金瑞(Zhang Jinrui)氏は、大規模な計算クラスター(計算機群)の配備が北京から周辺へ拡大していると述べました。具体的には、河北省や天津市などが挙げられています。
計算インフラは、ユーザーや研究拠点の近さが利点になる一方で、用地や電力、冷却などの条件が厳しくなるほど、都市の外に分散する合理性も増していきます。北京周辺への展開は、その折り合いを探る動きとして読めます。
再生可能エネルギーが鍵:内モンゴル・寧夏・青海での整備を促進
さらに当局は、インターネット企業や通信事業者に対し、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、青海省など、西部地域での計算インフラ整備を促す方針も示しました。これらの地域は、再生可能エネルギー資源が豊富だとされています。
AIの計算能力を増やすほど、電力の安定供給とコスト、そして脱炭素の要請が強くなります。計算需要の増加を「どこで受け止めるか」は、AI政策の一部であると同時に、エネルギー政策の一部にもなりつつあります。
補助金は「2023年から累計70億元超」:約100社がコスト15%超削減
張氏によると、当局は計算資源を必要とする企業に計算補助金を提供しており、2023年から現在(2026年1月)までに70億元超(約10億ドル相当)を配分しました。これにより、約100社が計算コストを15%超削減できたとしています。
補助金は、資金力のある一部企業だけが計算資源を確保する構図を和らげ、より多くの事業者がAI開発に取り組める環境を作る狙いがうかがえます。
中国本土の大規模言語モデルは「2025年6月時点で1509件」
中国情報通信研究院(CAICT)の報告として、2025年6月時点で中国本土が公開した大規模言語モデルは1509件で、世界全体の約40.2%を占めるとされました。
モデルの数が増えるほど、学習・運用の計算需要も積み上がります。今回の「計算能力20万ペタフロップス」という目標は、こうした供給側(計算基盤)の整備を加速させる位置づけだといえます。
ボトルネックは電力:2026年はデータセンター40施設で低炭素化を推進
一方で、将来の計算能力拡大にとってエネルギー供給が主要な制約になるとも示されました。北京は2026年に、既存データセンター40施設で低炭素化の改修を進め、エネルギー消費基準を超える施設にはより高い電気料金を課す方針です。
計算能力の増強は「増やせば終わり」ではなく、運用の効率化や電力の質(低炭素化)まで含めて設計される段階に入っています。AIの進化とエネルギー制約の綱引きが、2026年も静かに続きそうです。
今回の発表を読むための3つの観点
- 量:2027年までに20万ペタフロップスという明確なKPI(目標指標)
- 配置:北京周辺(河北・天津)と、西部(内モンゴル・寧夏・青海)への分散
- 電力:2026年の低炭素改修と、基準超過への料金強化
AIの話題はソフトウェアに目が向きがちですが、その背後には、データセンター、送電、冷却、立地といった「地に足のついた条件」があります。今回の動きは、まさにその現実を前面に押し出すニュースと言えるでしょう。
Reference(s):
Beijing targets 200,000 petaflops of computing capacity by 2027
cgtn.com








