中国本土で拡大するごみ焼却発電、埋立率は5%へ——都市の“見えない電源”
太陽光や風力が注目を集める一方で、中国本土の都市では「家庭ごみ」を燃料にした発電が静かに存在感を増しています。ごみ処理と電力供給を同時に担う焼却発電(廃棄物発電)の拡大は、都市インフラの姿を変えつつあります。
数字で見る:2024年末までに設備も発電量も拡大
バイオマスエネルギー産業促進協会のデータによると、2024年末時点で中国本土の廃棄物発電の設備容量は27.38ギガワット(GW)に到達しました。年間の発電量は約1453億キロワット時(kWh)とされています。
街の外れにあることが多く、見えにくい設備ではありますが、「ごみ処理施設」がエネルギー供給源にもなるという点で、都市の基盤を支える存在になっています。
仕組み:家庭ごみを燃やし、蒸気でタービンを回す
廃棄物発電は、都市ごみ(一般廃棄物)を燃焼させて高温の排ガスをつくり、その熱で蒸気を発生させてタービン発電機を回します。電気をつくるだけでなく、焼却により廃棄物の体積を減らし、埋立地に送る量を抑える狙いもあります。
埋立から焼却へ:処理の主役が入れ替わった20年
中国の「2024年都市・農村建設統計年鑑」によれば、2024年の中国本土におけるごみ焼却能力は日量115.8万トンに達しました。これは、2025年の目標として掲げられていた日量80万トンを、2024年時点で上回った形です。
処理方法の内訳も大きく変化しています。同統計年鑑では、家庭ごみの「無害化」処理(焼却など規制された方法を含む)の割合が2024年に99%に到達。さらに、2005年から2024年の間で、処理方法の比率は次のように動きました。
- 埋立:85.2% → 5%
- 焼却:9.8% → 84.6%
数字だけを見ると、都市ごみ処理の重心が「埋立中心」から「焼却中心」へ移ったことが分かります。
なぜ今この動きが重要なのか:都市運営の“二つの課題”を同時に扱う
廃棄物発電の広がりは、エネルギー転換というよりも、まず都市運営の現実に根ざした変化として読めます。人口が集まる都市では、ごみの発生は日々続きます。焼却発電は、その「避けられない流れ」を、処理だけで終わらせず電力として回収するアプローチです。
一方で、焼却という技術は、設備の運用や規制の設計、住民の納得形成など、エネルギー設備とは別種の難しさも抱えます。2024年までの拡大が示すのは、そうした調整を含めて「都市機能として組み込む」方向に舵が切られてきた、ということかもしれません。
次の焦点:電力だけでなく、都市の循環設計へ
2026年のいま振り返ると、2024年時点で2025年目標を上回った焼却能力の伸びは、単なる設備投資の話にとどまりません。ごみ処理・発電・都市計画が一体として設計されるほど、街のあり方自体が「循環」に近づいていきます。太陽光や風力のように目立つ設備ではなくても、都市の裏側で動くインフラが、エネルギー転換の輪郭を静かに形づくっている——今回のデータは、そんな現実を映しています。
Reference(s):
China's waste incinerators quietly power cities as landfill rate falls
cgtn.com








