中国航天科技集団、宇宙資源開発を加速へ:小惑星「採掘ロボ」研究の現在地
中国航天科技集団(CASC)が、小惑星など「小天体」から資源を調査・採取する宇宙資源開発(いわゆるスペースマイニング)技術の研究を強化する方針を示しました。宇宙探査が“行って帰る”段階から、“その場で使う”段階へ進む可能性があり、2026年のいま注目が集まっています。
なぜ小惑星の「採掘」は難しいのか
小惑星や微小天体は重力が非常に弱く、表面の状態も予測が難しいとされています。地上の常識で掘ろうとすると、掘削機やロボット自身が反動で浮き上がるなど、作業そのものが成立しにくいのが大きな壁です。
そのため、宇宙資源開発では「移動する」「固定する」「採取する」を一体で考える必要があり、専用設計のロボットや運用技術が欠かせません。
中国で進む「宇宙採掘ロボ」:6本脚で“つかんで採る”
中国鉱業大学の研究者は昨年(2025年)、中国初の宇宙採掘ロボットを開発したとされています。微小重力に近い環境で動作し、宇宙空間の急激な温度変化や放射線にも耐える設計が意識されている点が特徴です。
脚の役割を分けたハイブリッド設計
- 脚は6本。爪(クロー)付き3本と、車輪付き3本で構成
- 岩場や砂状の地面では爪脚が金属の爪で表面をつかみ、採取時の“固定”に使う
- 爪脚は1本あたり最大200ニュートンの保持力。3本で合計600ニュートンを見込む
- 平滑な地形では車輪脚で速度を優先して移動する
課題は「掘る」だけではない:電力、輸送、通信、現地利用
宇宙で資源を扱ううえでの難所は、微小重力対応だけにとどまりません。現場で得た資源をどう使うか(現地資源利用)、電力供給、装置の輸送、そして深宇宙通信など、複数の要素が連鎖します。
このロボットは電力で動作し、研究チームは、現地の材料を抽出・変換して得たエネルギーをロボットや周辺機器の電源に回す方法も探っているとされています。「採取→加工→利用」を現地で完結させられるかが、実用化の分岐点になりそうです。
探査の足場づくり:天問2号が切り開く“サンプル回収”の次
宇宙資源開発の初期段階では、月と小惑星が現実的な対象と見られています。中国は2025年5月(昨年)、初の小惑星探査ミッションとして天問2号(Tianwen-2)を打ち上げました。
計画では、地球近傍小惑星「2016 HO3」へ向かい、到着まで約1年。近接観測とともに100グラム以上のサンプルを採取し、地球へ持ち帰るとされています。さらにサンプル投下後は、主小惑星帯彗星「311P」を近接観測するための約7年の旅に入る見通しです。
“価値”の見取り図:ヘリウム3、金属資源、そして研究目的
これらの取り組みは、宇宙の成り立ちを探る科学的目的と、資源開発の可能性を同時に追うものと位置づけられています。たとえば月の表土に含まれるヘリウム3は、将来の核融合燃料として期待される材料の一つとして語られてきました。
また、宇宙資源への関心は各国・各機関に広がっています。米国は2023年、火星と木星の間にある金属質小惑星「16 Psyche」を探査するミッションを打ち上げたとされ、白金・金・ニッケルなどの金属に言及されることもあります。宇宙探査が「科学」だけでなく「産業」へ接続し始めたことを示す一例と言えるでしょう。
CASCが見据える次の領域:宇宙旅行、宇宙ベース計算基盤も
CASCは宇宙資源開発に加え、宇宙旅行や宇宙空間を活用した計算インフラ(宇宙ベースのコンピューティング)にも取り組む姿勢を示しているとされています。ロケット・探査・通信・データ活用が一つの産業チェーンとして結びつくかどうかは、今後の技術成熟と国際的なルール形成の進み方にも左右されそうです。
Reference(s):
cgtn.com








