超軽量4.5kgの“縮む”ソフト人型ロボ「GrowHR」 中国本土で試作公開
2026年2月時点のロボット開発で注目を集めそうなのが、「安全に人と触れ合える」ことを前提に設計された超軽量のソフト(柔軟)ヒューマノイドです。中国本土の研究チームが発表した試作機「GrowHR」は、家庭のような狭く複雑な空間での手助け役を見据えています。
硬くて重いロボットから、「柔らかくて軽い」ロボットへ
研究者が今回公開したのは、柔軟で空気を含む構造を全身に用いた人型ロボット「GrowHR」です。従来の“硬くて重い”タイプのロボットと比べ、ぶつかったり転倒したりした際の衝突リスクを大きく下げる狙いがあります。家具や人への接触が起きやすい家庭内では、性能だけでなく安全性が使いやすさを左右します。
GrowHRとは:1.36mで4.5kg、子どもでも持ち上げられる軽さ
GrowHRは身長1.36メートルで、重さは4.5キログラム。研究チームは「大型の家猫より軽い」レベルの軽量さだとしています。6歳の子どもでも持ち上げられるほどの軽さは、家庭用ロボットに求められる“安心して同じ空間に置ける”条件に直結します。
ポイント(特徴の整理)
- 超軽量:1.36mで4.5kg
- ソフトボディ:柔軟で、衝突時の危険や損傷を抑えやすい
- 空気圧で変形:狭い場所を通るために縮むことができる
空気圧で「縮む」:低いトンネルも、狭いすき間も通り抜ける
GrowHRの大きな見どころは、空気圧を使った変形能力です。必要に応じて体を縮め、低い机の下や狭い廊下のような“家庭でありがちな難所”を抜けやすくします。
研究チーム(中国本土・深圳の南方科技大学)は、GrowHRが元の高さの36%の低いトンネルを通過でき、さらに元の幅の61%の狭いすき間も、腹部を収縮させて通り抜けられるとしています。詳細は学術誌「Science Advances」で公表されました。
「抱きしめる」「倒れる」「持ち上げる」を前提にした設計
ソフトボディで軽量という組み合わせは、ロボットが人の生活空間に入るうえでの“ふるまい”を変えます。研究チームは、GrowHRが抱きしめるような接触、転倒、持ち上げといった状況でも、けがにつながりにくい設計だと説明しています。
また、コンパクトで運びやすく、小さな箱に梱包して保管できる点も、家庭導入を想定したときに現実味のある要素です。
軽さが生む意外な用途:浮く・泳ぐ、ドローンで運べる
GrowHRは軽量なため、従来の人型ロボットでは想定しにくい機能も示されました。研究チームによると、GrowHRは浮いて泳ぐことができ、例えばプールに落ちた物を取るといった用途も想像できます。
さらに、ドローンで5.5km先まで運搬可能であることも示され、将来的な配送や遠隔地での支援といった発想につながり得ます。
「成長する骨」に着想:複雑な環境に適応する設計アプローチ
GrowHRは、人の骨が成長に合わせて形を変える“growable(成長可能)”という発想に着想を得たとされています。研究チームは、動的で複雑な環境に向けた多機能で“成長可能”なロボット設計のアプローチを切り開くものだと述べています。
今後の課題:自由度、運動性能、自律性(大規模言語モデルの活用も)
一方で研究チームは、改善の余地として次の点を挙げています。
- 自由度(関節などの動きの種類)の増加
- 動的性能(より滑らかで力強い動作)の向上
- 自律性の強化:高度な制御戦略や学習アルゴリズムの導入(例:大規模言語モデル)
家庭内ロボットが「安全に、気配りしながら、狭い場所で動く」ためには、素材や構造だけでなく、状況判断や動作計画の賢さが欠かせません。GrowHRは、その課題を“柔らかさと軽さ”から組み直そうとしている点で、次の一手を示した形です。
Reference(s):
Soft, safe, 'growable' robot promises friendlier future home helpers
cgtn.com








