中国の砕氷船「雪龍」、第42次南極観測の海洋調査を完了 秦嶺基地は越冬へ
南極の海で「長期観測のための装置」を回収・再設置しながら進めてきた調査が、ひと区切りを迎えました。中国の研究砕氷船「雪龍(Xuelong)」が2026年2月21日(土)、ロス海のテラノバ湾を離れ、第42次南極観測隊の海洋観測ミッションの節目を迎えたと伝えられています。
何が起きたのか:テラノバ湾を出航、夏隊69人を収容
報道によると、雪龍はロス海テラノバ湾で、秦嶺基地(Qinling Station)の夏隊メンバー69人を乗船させたうえで出航しました。秦嶺基地はこれから越冬期に入り、18人の研究者が基地に残って越冬任務にあたるとされています。
海洋調査の「終点」:最後の音響装置を回収
雪龍の海洋チームは2026年2月19日(木)に、ロス海で最後の音響装置を回収。これにより、第42次南極観測隊のうち、海洋調査作業が完了した形だといいます。
どこをどう調べた?アムンゼン海〜ロス海で総合観測
雪龍の海洋チーム責任者の張海峰(Zhang Haifeng)氏は、新華社通信に対し、今回の航海でアムンゼン海、ロス海および周辺海域を調査したと説明しました。対象は、海の“いま”を多面的に捉えるための領域に広がっています。
- 海洋の状態(物理環境)
- 海洋生物
- 海水の化学(成分・性質)
- 大気(海と接する空の状態)
航海中にはペンギンの生息環境に関する調査も行われたとされています。
キーワードは「係留系」:海底に固定して長期データを取る
今回のミッションの核の一つが、生態系係留系(ecological mooring systems)の運用です。これは、海底に固定したセンサー付き装置で、海の状態や生物の変化を長期にわたって記録します。
雪龍は、既存の係留系4基を回収し、新たに4基を設置したと報じられています。さらに、オキアミや中層魚などのサンプルを採集し、地域の食物網(誰が誰を食べ、どう支え合うか)を理解することや、重要種の変動を追うことにつなげる狙いが示されています。
氷の下を“見守る”新装備:音響・光学センサーの試験
新たな機器試験も行われました。係留系には中国で開発された音響センサーと光学センサーが搭載され、氷の下の海域を長期的にモニタリングできる体制を検証したとされています。衛星や短期航海だけでは捉えにくい「季節をまたぐ変化」を、現場の連続データで補う発想が透けます。
この先の行程:豪ホバート経由で帰国、雪龍は中山基地へ
海洋チームと秦嶺基地の夏隊員は、雪龍でオーストラリア・ホバートへ向かい、その後に航空便で帰国する予定だと報じられています。一方、雪龍はその後も任務を続け、中山基地(Zhongshan Station)へ向かって追加の作業に入るとされています。
南極の海は、海氷、海洋循環、生態系が絡み合う場所です。今回のように「回収して終わり」ではなく、「入れ替えて続ける」観測が積み重なるほど、変化の輪郭はより具体的になっていきます。
Reference(s):
China's Xuelong wraps up ocean mission in 42nd Antarctic expedition
cgtn.com








