LandSpaceの再使用ロケット「朱雀3」、2026年Q2に回収試験へ
中国本土の商業宇宙企業LandSpace(藍箭航天)が、再使用ロケット「朱雀3(Zhuque-3)」の新たな回収試験を2026年4〜6月(第2四半期)に実施する計画を明らかにしました。回収に成功すれば、2026年10〜12月(第4四半期)に「回収して、同じ機体を再び飛ばす」初の回収・再飛行ミッションを目指すとしています。
国連会合で示された“次の一手”
LandSpaceによると、この計画は国連の宇宙関連会合「国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)科学技術小委員会」第63会期の場で説明されました。ポイントは、次の試験で第1段(ブースター)の回収可能性を高め、その結果次第で年後半に再飛行へ進む、という段取りです。
現時点でのロードマップ(2026年)
- 第2四半期(4〜6月):朱雀3の回収試験を実施予定
- 第4四半期(10〜12月):結果次第で、回収・再飛行ミッションを計画
- 回収に成功した第1段は、整備(リファービッシュ)して次回以降の打ち上げに使用する方針
朱雀3は何が“新しい”のか:縦着陸で第1段を再使用
朱雀3は、打ち上げ後に第1段が垂直に着陸(縦着陸)し、繰り返し使える設計です。第1段はロケット全体コストの約6割を占めるとされ、従来は「使い捨て」が基本でした。ここを再使用できれば、打ち上げ費用の低下につながり、衛星コンステレーション(多数の衛星を連携させる運用)のような“打ち上げ回数が多い計画”を支える基盤にもなります。
2025年12月の初飛行:軟着陸には失敗、それでも得た手応え
朱雀3は2025年12月3日に初飛行を実施し、軌道投入ロケットの第1段回収に向けた中国本土としての初の取り組みになりました。一方で、地上数km付近での最後のエンジン点火(着陸前の減速局面)で異常燃焼が起き、ブースターは軟着陸に至らなかったとされています。
ただ、朱雀3のチーフデザイナーである張暁東(Zhang Xiaodong)氏は、着陸そのものは失敗したものの、帰還中に機体が着陸地点へ正確に誘導できた点を挙げ、次の改善につながるデータが得られた趣旨を述べています。
コスト競争の焦点:再使用は“回収だけ”では終わらない
再使用ロケットの意義は、回収に成功して終わりではありません。安定して回収し、整備・再飛行のサイクルを短く回し、サプライチェーンまで含めてコストを下げられるかが勝負になります。
記事で言及された例として、SpaceXがFalcon 9でブースター回収・再使用を進めたことで、近年打ち上げコストが大きく低下し、約1kgあたり3,000ドル程度まで価格を下げたとされています。
朱雀3の第1段は最大20回の再使用を想定し、長期的に1kgあたり2万元(約2,800ドル)程度までコストを下げる目標が示されました。国際宇宙航行連盟(IAF)の宇宙輸送委員会の楊宇光(Yang Yuguang)氏は、回収成功は第一歩にすぎず、信頼性ある再使用と全体最適のコスト低減がそろって初めて産業を大きく変えうる、という見方を示しています。
今後の注目点:次の試験で見える“現実的な壁”
2026年春〜初夏の回収試験で注目されるのは、単に着陸できるかだけではありません。たとえば、以下の点が次の四半期の再飛行計画に直結します。
- 異常燃焼の再発防止:最終点火の安定性をどう高めるか
- 回収後の機体状態:再使用に耐える損耗・熱影響の評価
- 整備期間とコスト:回収しても整備が重ければ“安くならない”
- 運用の再現性:成功が一度きりで終わらない設計・手順
再使用は「技術デモ」から「事業の標準」へ移る段階で、難しさの質が変わります。朱雀3の次の試験は、その境目をどこまで越えられるかを測る場になりそうです。
Reference(s):
China's LandSpace targets new Zhuque-3 recovery test in second quarter
cgtn.com








