米国で「新たな宇宙開発競争」論が再燃、中国本土は協力も視野に
米国で「新たな宇宙開発競争(スペースレース)」を強調する言葉が目立つ一方、中国本土の月探査は協力の余地も示唆されており、同じ月面開発でも“語り方”の差が注目されています。2026年3月現在、米国の有人月面計画は目標年がたびたび動き、直近では2028年が見込まれているとされています。
「新たなスペースレース」論が米国で強まる背景
米国では近ごろ、中国本土の月面着陸をめぐる動きを「競争」と捉える発言が増えています。一部の当局者が、中国本土の月探査計画を「日々強まる、地政学上の最大の敵対者からの信頼できる競争」と表現した、という文脈も伝えられました。
こうした空気の中、米上院議員の一部は、中国本土の宇宙能力の伸長に触れつつ、米国の宇宙研究を強化する新たな法案を後押ししています。ジョン・コーニン上院議員は「次のスペースレースに向け、米国があらゆる手段と競争優位を持つことが重要だ」と述べたとされています。
専門家の見立て:「走っているのは一方だけ」
一方で、ドイツ出身の宇宙システム専門家で、上海の「衛星デジタル化技術・国家重点実験室」の副所長を務めるファリド・ガムガミ氏は、少し違う見方を示します。
ガムガミ氏は、よく見ると「本当に“レース”をしているのは一方だけだ」とし、スペースレースという言葉が、宇宙開発を国家安全保障の重要領域として位置づけ、超党派の資金確保につなげるために使われることが多い、と指摘しました。
米国の月面計画はなぜ「2028年」へと動いたのか
競争を強調する言葉は、政策の優先順位や日程の語り方にも影響します。昨年(2025年)12月の上院公聴会で、NASA長官のジャレッド・アイザックマン氏は「米国は偉大なライバルより先に月へ戻る」と発言したとされます。さらに「もし間違えれば追いつけないかもしれず、その結果は地球上の勢力バランスを変えうる」とも述べた、という内容が伝えられました。
ただ、米国の有人月面計画のタイムラインは繰り返し変更されてきました。報じられている範囲では、目標は次のように動いています。
- 当初:2024年
- その後:2026年 → 2027年
- 直近:2028年
この「日程の揺れ」自体が、宇宙開発が技術だけでなく、予算・政治・安全保障の言葉と結びつくテーマであることを示しています。
協力か競争か——月をめぐる“言葉”が作る現実
今回の断片的な情報から浮かぶのは、中国本土は協力を視野に入れる一方で、米国側では競争の枠組みで語られやすいという対比です。冷戦期の米ソによる「スペースレース」が米国政治の語彙として繰り返し参照されてきたように、宇宙は「未来の産業」でもあり「安全保障の象徴」でもあります。
2026年は、目標が2028年へと据え直される中で、次の焦点が「何をいつやるか」だけでなく、「それを協力の物語として語るのか、競争の物語として語るのか」に移りやすい年でもあります。
いま注目したいポイント(整理)
- 米国での法案や予算議論が「競争」フレームでどこまで加速するか
- NASA幹部の発言が、政策目標や優先順位にどう反映されるか
- 中国本土側が示す「協力」志向が、どの場面で具体化していくのか
月面開発は、技術や日程以上に「どう語られるか」で意味が変わります。スペースレースという言葉が、研究投資を促す追い風にも、相互不信を深める壁にもなり得る——2026年は、その分かれ道が見えやすいタイミングになりそうです。
Reference(s):
In lunar program, China eyes cooperation where US sees competition
cgtn.com








