韓国で政治危機が深刻化 代行大統領が安全保障最優先を宣言 video poster
韓国(the Republic of Korea)で政治危機が深刻化しています。ここ2週間のうちに2人目の指導者が弾劾され、崔相穆(チェ・サンモク)財務相が代行大統領として国家安全保障を最優先する方針を打ち出しました。一方で、市民の間では不満が高まり、与党には戦略の見直しを求める圧力が強まっています。本記事では、この動きの背景と今後の焦点を整理します。
2週間で2人が弾劾、深まる韓国の政治危機
2025年12月現在、韓国では短期間に2人の指導者が弾劾されるという異例の事態となっています。指導者の交代が続くことで、政治の空白や政策の停滞への懸念が生まれており、国内外で韓国の先行きに注目が集まっています。
こうしたなかで、財務相である崔相穆氏が大統領権限を代行する立場となりました。経済分野を担当してきた人物が、急きょ国家全体の舵取りを担うことになった点も、この政治危機の特異さを示しています。
崔相穆代行が示した「国家安全保障最優先」の意味
崔相穆代行は、就任にあたり「国家安全保障を最優先する」と強調しました。政治リーダーが安全保障を前面に掲げるのは、国内の混乱が外部に不安定要因として映ることを避ける狙いがあるとみられます。
韓国にとっての国家安全保障は、軍事や防衛だけでなく、次のような広い領域を含みます。
- 朝鮮半島情勢や朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)との関係
- 同盟国との防衛協力や情報共有
- エネルギー・食料・サイバー空間などの「経済安全保障」
- 政権交代期における行政機能の維持と危機対応
政治のトップが短期間に相次いで弾劾される局面では、外交・安全保障政策の一貫性が疑問視されがちです。崔氏の発言には、国内外に対して「混乱はあっても、安全保障の基盤は揺らがない」というメッセージを送る意図があると考えられます。
高まる市民の不満、その背景にあるもの
今回の政治危機の底流には、市民の不満と不信感の高まりがあります。韓国では、政治やリーダーに対する厳しい目が向けられており、短期間で2人の指導者が弾劾に追い込まれたことは、その象徴と言えます。
市民の不満は、一つの要因に限られるものではなく、複数の不安が重なり合った結果とみられます。例えば、次のような論点が挙げられます。
- 政権運営に対する透明性や説明責任への疑問
- 生活コストや雇用など、経済状況への不安
- 社会の分断や対立の深まりに対する疲れ
- 政治エリート層と市民との距離感への不満
こうした感情が積み重なると、政権に対する「もう一度やり直してほしい」という圧力が強まり、弾劾という厳しい手段を通じて噴き出しやすくなります。
与党に迫られる戦略転換 ソガン大学・Wang Son Taek氏の指摘
ソガン大学(Sogang University)兼任教授のWang Son Taek氏は、与党に対する圧力が一層高まっているとみています。2人の指導者が相次いで弾劾されたことは、単なる個人の問題ではなく、与党の戦略やメッセージそのものに対する市民の不信の表れだという見方です。
与党が今後問われるのは、次のような点だと考えられます。
- リーダー選出プロセスの見直しと人材の刷新
- 市民の不満を丁寧にすくい上げる対話型の政治スタイル
- 短期的な人気取りではなく、中長期の課題に向き合う政策パッケージ
- 内部の権力闘争よりも、ガバナンス(統治)の安定を重視する姿勢
Wang氏が指摘するように、与党がこうした方向へ戦略を転換できるかどうかが、今後の韓国政治の安定性を左右する重要なポイントになりそうです。
東アジアと日本にとっての意味
韓国の政治は、国際ニュースとして東アジア全体に大きな影響を与えます。安全保障面では、朝鮮半島情勢や同盟関係の動きが日本を含む周辺地域の安全保障環境と密接に関わっています。また、韓国経済の動揺は、貿易やサプライチェーンを通じてアジア各国にも波及し得ます。
現時点で、崔相穆代行は国家安全保障の優先を掲げ、政権運営の安定を最優先する姿勢を示しています。ただし、市民の不満が解消されないままであれば、政治的な緊張は長期化し、政策決定のスピードや予見可能性に影響が出る可能性もあります。
日本としては、韓国の内政に干渉することなく、冷静に事態を見守りつつ、外交・経済・安全保障での対話と協力のチャンネルを維持していくことが求められます。
「読みやすいのに考えさせられる」ためのいくつかの問い
今回の韓国の政治危機は、民主主義における「リーダーを選び直す権利」と「統治の安定」をどう両立させるかという、普遍的な問いも投げかけています。記事を読み終えた今、次のような視点から一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。
- リーダーの不祥事や失政があったとき、どこまでが「選挙で審判」、どこからが「弾劾による責任追及」なのでしょうか。
- 政治の安定と、市民による厳しい監視や批判は、どのようなバランスで成り立つべきでしょうか。
- 日本や東アジアの国々は、近隣国の政治危機とどのように向き合い、対話と協力のチャンネルを保つことができるでしょうか。
韓国のニュースをきっかけに、私たち自身の社会や政治のあり方を見直してみることもできそうです。
Reference(s):
South Korea's political crisis worsens amid rising public discontent
cgtn.com







