被災地Xizangで動く心理支援 中国科学院の専門家が子ども80人超をケア video poster
地震で被災したXizangのディンリ県で、中国科学院心理研究所の心理専門家が子どもたちの心のケアに取り組んでいます。国際ニュースとしても重要になりつつある災害時の心理支援を、日本語で分かりやすく整理します。
Xizang・ディンリ県で始まった心理支援
心理専門家のTan Xirenさんは、中国科学院心理研究所から地震被害を受けたXizangのディンリ県へ、素早く現地入りしました。現場での役割は、物資やインフラの復旧ではなく、心の傷を負った人たち、とくに子どもたちへの心理的なサポートです。
Tanさんは、避難生活を送る子どもたちと向き合いながら、日々の活動を通じてトラウマへのケアを続けています。子どもたちの変化を見守るなかで、自身も毎日のように心を動かされているといいます。
絵・歌・運動でトラウマに寄り添う
現地で行われている心理支援は、特別な器具や難しい専門用語を使うものではありません。Tanさんは、子どもたちが参加しやすい活動を組み合わせながら、自然な形で心のケアを進めています。
遊びながら心をほぐす3つの活動
活動の中心になっているのは、次のようなシンプルなものです。
- 絵を描く活動 言葉にしにくい不安や怖さを、色や形で表現することで、自分の気持ちを外に出しやすくします。
- 歌うこと 声を出し、みんなで歌う時間は、孤立感を和らげ、安心できる一体感を生み出します。
- 体を動かす運動 軽い運動や遊びの時間は、緊張した体をほぐし、眠りや食欲にも良い影響を与えます。
どれも一見すると、ふつうの遊びのように見えます。しかし、心理支援の現場では、こうした活動がトラウマへのケアとして重要な役割を果たします。
80人を超える子どもたちを支える
Tanさんの支援を受けた子どもは、これまでに80人以上にのぼります。大規模なプログラムというより、一人ひとりの表情や反応を見ながら、丁寧にかかわるスタイルです。
子どもたちは、地震という大きな出来事を経験した直後で、見えない不安を抱えています。
- 夜に眠れない
- ちょっとした音にも驚いてしまう
- 普段より言葉が少なくなる
こうした変化は、災害後の子どもによく見られる反応です。Tanさんは、遊びの場を通じて子どもたちが少しずつ安心を取り戻し、表情や行動が変わっていく過程を見守っています。
専門家が毎日心を動かされる理由
現地で心理支援にあたるなかで、Tanさんは子どもたちの姿に「毎日胸を打たれている」と感じているとされています。その背景には、厳しい状況のなかでも前を向こうとする子どもたちの力強さがあります。
例えば、最初はうつむいていた子が、数日後には友だちと一緒に歌に参加するようになる。黙っていた子が、絵を通じて自分の気持ちを語り始める。その小さな変化の積み重ねは、現場にいる専門家にとっても大きな希望になります。
心理支援は、すぐに結果が見えるものではありません。それでも、日々のかかわりの中で生まれる変化があるからこそ、専門家自身もまた、子どもたちから力をもらっているのです。
災害時の心理支援が持つ3つの意味
2025年の今、災害と心理的ケアは、国際ニュースの重要なテーマになりつつあります。Xizangの事例からは、災害時の心理支援が持つ意味が見えてきます。
- 安心できる場所をつくる 絵や歌、運動を通じて、子どもたちが「ここは安全だ」と感じられる場をつくることができます。
- 日常のリズムを取り戻す 活動をきっかけに、睡眠や食事など、生活のリズムを少しずつ整えていくことができます。
- 未来への希望を育てる 楽しい記憶や仲間とのつながりが増えることで、子どもたちは「これから」のことを考えやすくなります。
物資やインフラの復旧と同じように、心のケアもまた、生活を立て直すための重要な基盤だといえます。
日本の私たちにとっての示唆
地震や災害が多い日本に暮らす私たちにとっても、Xizangでの心理支援の取り組みは、他人事ではありません。
- 災害ニュースを見るとき、心のケアにも目を向ける
- 周囲の子どもや大人の変化に気づき、話を聞ける関係をつくる
- 学校や職場で、メンタルヘルスについて話しやすい雰囲気を育てる
こうした意識の変化は、すぐに大きな成果につながらなくても、いざというときの支えになります。
まとめ 心のケアは長期戦の支え
Xizang・ディンリ県での取り組みは、災害直後から心理専門家が動き出すことの大切さを示しています。Tan Xirenさんが、絵や歌、運動といった身近な活動を通じて、80人を超える子どもたちのトラウマに寄り添っている姿は、「心の支援」という見えにくいインフラの重要性を教えてくれます。
災害のニュースを追うとき、目に見える被害だけでなく、心の回復をどう支えていくかという視点を持つことが、これからの私たちに求められているのかもしれません。
Reference(s):
Psychological support in action in Xizang, expert 'moved every day'
cgtn.com








