コーヒーで砂漠の街を描く The Taste of Kashi 最終章 video poster
中国北西部・新疆ウイグル自治区の砂漠都市カシュを舞台にしたドキュメンタリーシリーズ The Taste of Kashi が、コーヒー一杯から街の記憶と人のつながりを描き出しています。そのシーズン最終章となるエピソード5 The Final Pour では、主人公ナディムがついに自らのブレンドを一般公開する一日が、緊張感とともに切り取られます。
100時間チャレンジで街の味を探る
The Taste of Kashi は、CGTNが手がける台本なしのシリーズで、砂漠都市カシュを舞台にした100時間のチャレンジ企画です。ジャーナリストでありコンテンツクリエイター、そしてコーヒー愛好家でもあるナディム・ディアブが、この街の本質を一杯のコーヒーで表現するという大胆な課題に挑みます。
限られた時間の中でナディムは、カシュの街を歩き回り、地元の人々と対話しながら、ブレンドのヒントとなる素材や物語を集めていきます。使う豆やハーブだけでなく、香りや食感、街に流れる空気そのものをどう一つの味に落とし込むかが、シリーズ全体を通じたテーマになっています。
2025年1月に公開された初期のエピソードでは、謎めいたブレンドの構想から、プラムなどの素材探し、見知らぬ人との出会い、そしてパンを分かち合うシーンまで、少しずつナディムと街との距離が縮まっていく様子が描かれてきました。エピソード5は、その集大成にあたる本番の日です。
エピソード5 The Final Pour 勝負の朝
二部構成のシーズンフィナーレとなる今回、ナディムのブレンドは正式にお披露目の日を迎えます。カメラが追うのは、その一日の朝の準備からです。
ナディムはまず、コーヒーと合わせるハーブのインフュージョンの材料集めに出かけます。どの香りを立たせ、どの風味を抑えるのか。これまで街で出会った人々や食文化から得たインスピレーションが、静かに最終調整されていきます。
同時に、コーヒーと一緒に提供するパンを確保することも欠かせません。前のエピソードで印象的だったパンを分かち合う場面が示すように、パンはこの街の人々にとって、日常とつながりを象徴する存在です。そのパンをどう出すのかも、ナディムにとって大事な要素になっています。
扉が開き、客が入り始める
準備を終え、カフェの扉が開くと、いよいよ現地の人々が新しいブレンドを味わう時間が始まります。客足は少しずつ、しかし確実に増えていき、そのたびに店内の空気は張り詰めていきます。
カメラの前で、ナディムは明らかに圧倒され、緊張している様子です。自分がこの100時間で積み上げてきたものが、目の前の一杯となって差し出され、評価される瞬間だからです。
そんなナディムを支えるのが、店を切り盛りするディリとディヤの二人です。彼らは注文をさばき、客の反応や感想を丁寧に集めながら、ナディムができるだけコーヒーに集中できるように動き回ります。単なる手伝いではなく、街とナディムとの間をつなぐ翻訳者のような役割を果たしているとも言えます。
一杯のコーヒーに込められた街の姿
The Taste of Kashi が特徴的なのは、コーヒーそのものよりも、そのコーヒーに至るプロセスを丁寧に映し出している点です。素材の選択、地元の食文化との組み合わせ、そして人との対話。そのすべてが最終的な味に影響し、同時に視聴者がカシュの街を理解する手がかりにもなっています。
エピソード5では、とくに次のような問いが浮かび上がります。
- 異文化の街の本質を、外から来た一人の人間がどこまで掬い取れるのか。
- 観光ではなく、食や飲み物を通じて街を知るとはどういうことか。
- 地元の人々は、その外からのまなざしをどう受け止めるのか。
ナディムのブレンドが正解かどうかは、はっきりとは示されません。しかし、彼が出会った人々と交わした時間や言葉が、確かに一杯の中に刻まれていることは、画面越しにも伝わってきます。
スマホで追体験する味のドキュメンタリー
このシリーズは、1本あたりのエピソードがコンパクトで、スマートフォンでも気軽に視聴しやすい構成になっています。その一方で、見終わったあとに少し考えさせられる余白も残してくれます。
とくに次のような人にとって、印象に残る作品になりそうです。
- コーヒーやカフェ文化が好きで、新しい淹れ方や組み合わせに興味がある人
- 新疆ウイグル自治区や砂漠都市の文化に関心がある人
- 旅番組よりも、人と人とのやりとりをじっくり描くドキュメンタリーが好みの人
- SNSで、自分が見つけたコンテンツや印象的なフレーズを共有するのが好きな人
味わうことと理解することのあいだで
The Taste of Kashi のエピソード5は、単なるグルメ番組の最終回ではなく、他者の街をどう味わい、どう理解するかという問いを静かに投げかける作品です。ナディムが最後にカップからそっと一口を注ぐその瞬間まで、カシュの街と向き合う100時間の試行錯誤が、映像の中に詰まっています。
一杯のコーヒーがどこまで世界を映し出せるのか。その可能性を確かめてみたい人にとって、この最終章は記憶に残るエピソードと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








