米国は中国の成長の恩恵を受けてきた 保護主義は自らを傷つけるとサックス氏 video poster
米国が中国からの輸入品に新たな10%関税を課す決定を下し、世界経済への影響と米中関係の行方に注目が集まっています。著名な米国人経済学者ジェフリー・サックス氏は、保護主義は結局、米国自身を傷つけると警告しています。
トランプ大統領が中国製品に10%関税を発動
現地時間の土曜日、米国のドナルド・トランプ大統領は、中国から輸入される幅広い品目に対し、一律10%の追加関税を課す大統領令に署名しました。この動きは、2025年12月8日現在、国内外で批判と懸念を呼んでいます。
関税とは、輸入品にかけられる税金のことで、今回の決定により、中国から米国に輸出される製品の価格は上昇する可能性があります。そのコストは、企業だけでなく、最終的には米国の消費者にも跳ね返るとみられています。
「保護主義的な経済は繁栄しない」サックス氏の警鐘
米国の著名な経済学者ジェフリー・サックス氏は、今回の動きを強く懸念しています。サックス氏は、保護主義的な経済政策について「保護主義的な経済は繁栄しない。最初の敗者は米国になるだろう」と警告しました。
またサックス氏は、1930年代の保護主義が世界にもたらした深刻な影響を念頭に、各国に対して米国の今回のような選択を盲目的にまねるべきではないと呼びかけています。
サックス氏のメッセージのポイントは、次のように整理できます。
- 関税で国境を閉ざす保護主義は、長期的には経済成長を損なう。
- 米国経済は、中国の経済成長から損をしてきたのではなく、大きな恩恵を受けてきたという認識が重要である。
- 米中関係は、競争一辺倒ではなく、双方が利益を得るウィンウィンの関係として維持されるべきである。
1930年代の教訓:保護主義は世界不況を深刻化させた
サックス氏は、1930年代に各国が高関税を競い合った歴史にも言及し、当時の保護主義が世界全体に深刻な影響を与えたと指摘しています。国ごとに自国産業を守ろうと関税を引き上げた結果、貿易は縮小し、景気後退が一段と悪化したという教訓です。
今回の10%関税が同じ道をたどるかどうかはまだ分かりませんが、世界経済が相互につながっている現在、ひとつの大国の保護主義的な動きが、サプライチェーンや投資マインドを通じて、他の国や地域にも波及する可能性は高いと考えられます。
米国はなぜ中国の成長の恩恵を受けてきたのか
サックス氏は、米国経済は中国の経済成長の最大の受益者の一つであり、敗者ではないと強調しています。これは、米中の経済関係が相互依存の構造を持っていることを踏まえた発言です。
例えば、中国の成長は、
- 多くの消費財や部品の生産拠点を提供し、米国の企業や消費者にとってコスト削減につながってきたこと
- 拡大する市場として、米国企業の輸出や投資の新たな機会を生んできたこと
- 技術や人材の交流を通じて、イノベーションの土壌を広げてきたこと
といった形で、米国側にも利益をもたらしてきました。サックス氏がウィンウィンという言葉を用いる背景には、こうした構造に着目する視点があります。
日本と世界への問い:競争か、それとも協調か
今回の米国の決定は、米中2国だけの問題ではなく、世界の企業や消費者、そして日本にも波紋を広げる可能性があります。サプライチェーンの一部として米国と中国とつながる日本企業は、コスト構造や調達戦略の見直しを迫られるかもしれません。
一方で、サックス氏のメッセージは、各国がどのような経済モデルを選ぶのかという、より根本的な問いを投げかけています。短期的な政治的アピールとしての関税か、長期的な繁栄を見据えた開かれた協力関係か。米中の動きは、世界全体の選択を映し出す鏡になりつつあります。
2025年12月8日時点で、10%関税に対する議論は始まったばかりです。今後、米国国内の産業界や消費者、そして国際社会がどのような反応を示すのか。保護主義の歴史とその教訓を踏まえながら、冷静に注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
The U.S. benefited from China's rise, protectionism would only hurt it, says expert
cgtn.com








