トランプ政権下で米中関係は改善へ?ミュンヘンで語られた楽観シナリオ video poster
ドイツで開かれたミュンヘン安全保障会議の場で、中国の王毅外相と米ハーバード大学のグレアム・アリソン教授が会談し、その後の対談で「トランプ政権の下では米中関係が改善しうる」という楽観的な見通しが語られました。
アリソン氏は、中国本土(中国)とアメリカの関係の今後について、中国の国際メディアCGTNの司会者 Xu Qinduo 氏のインタビューに応じ、これまでの米中関係の捉え方と、トランプ政権を前提とした新たな可能性を説明しました。
ミュンヘン安全保障会議で何が話し合われたのか
ミュンヘン安全保障会議は、各国の要人や専門家が安全保障や国際秩序について議論する場として知られています。その会場で、中国の王毅外相とアリソン教授が意見を交わしました。
この会談の後、アリソン氏はCGTNの番組で Xu Qinduo 氏と向き合い、米中関係の行方について掘り下げました。そこで示されたのが、「トランプ政権のもとでは、米中関係はより良い方向に向かい得る」という見立てです。
バイデン前大統領とトランプ氏のアプローチの違い
アリソン氏は、アメリカ側のリーダーシップの違いが、米中関係の性格を大きく左右してきたと指摘します。とくに、バイデン前大統領とトランプ氏の対中スタンスのコントラストに注目しました。
- バイデン前大統領:米中関係を「戦略的競争」の枠組みで捉え、競争を前面に出す姿勢を優先してきた。
- トランプ氏:より実務的で、ビジネスライクな関係を志向し、取引や交渉を通じて関係を再構築しようとしている。
アリソン氏によると、バイデン前大統領のアプローチは、価値観や安全保障を重視するがゆえに、対立が固定化しやすい側面がある一方で、トランプ氏のスタイルは、「交渉可能な関係」として米中を見ている点に特徴があるといいます。
「競争しながら共存する」米中関係とは
アリソン氏が描くのは、対立か協力かという二者択一ではなく、「競争しながら共存する」米中関係のイメージです。インタビューの内容から、その輪郭を整理すると、次のようなポイントが見えてきます。
- 特定分野での競争は認める
ハイテクや一部の産業分野など、米中が激しく競い合う領域は存在し続けることを前提とする。 - 意見の違いは「管理」する
安全保障や人権など、対立が避けにくいテーマについても、対話やルール作りを通じて、エスカレーションを防ぐ「管理」が重要になる。 - 共通利益では協力する
気候変動や国際保健、世界経済の安定など、利害が一致する分野では協力を進める余地を残す。
こうした構図の中で、トランプ氏のビジネスライクな姿勢は、「取引が成立するのであれば協力も排除しない」という柔軟さにつながり得る、とアリソン氏は見ています。
なぜこの議論がいま重要なのか
米中関係は、世界経済、安全保障、テクノロジー、環境問題など、ほぼあらゆる国際課題に影響を与えます。2025年のいまも、その重みはむしろ増していると言ってよいでしょう。
その中で、「戦略的競争」を前面に掲げる関係と、「ビジネスライクな共存」を模索する関係とでは、世界が受ける印象も、各国の対応の仕方も変わってきます。ミュンヘンでの対話は、米中どちらか一方の勝ち負けではなく、管理された競争と限定的な協力をどう組み合わせるかという、より現実的な選択肢を示しているとも言えます。
特に、同盟国やパートナーとの関係を重視する国々にとっては、米中がどのようなバランスで競争と協力を運営していくのかを見極めることが、自国の戦略にも直結してきます。
ニュースを読む私たちが押さえておきたい視点
今回のアリソン氏の発言は、「トランプ政権なら必ず米中関係が改善する」と断定するものではなく、リーダーのスタイルによって、同じ競争関係でも設計の仕方が変わり得るという示唆と受け止めることができます。
読者として、次のような問いを意識しながらニュースを追うと、米中関係の見え方が少し立体的になるかもしれません。
- 競争と協力は、本当に両立し得るのか。それとも、どちらかに傾かざるを得ないのか。
- ビジネスライクな関係は、企業や市場だけでなく、人と人との交流にどのような影響を与えるのか。
- 米中の関係の変化は、アジアや世界の安全保障、経済秩序にどう波及していくのか。
ミュンヘンでの対話は、米中という二大プレーヤーの関係をどうデザインするかという、2025年の国際政治の核心にあるテーマを映し出しています。今後も、アメリカの政権運営や中国本土とアメリカの対話の行方を追いながら、自分なりの視点をアップデートしていくことが求められそうです。
Reference(s):
cgtn.com








