パナマ大統領、米国の「中国が運河支配」主張を否定 video poster
2025年2月20日、パナマのホセ・ラウル・ムリーノ大統領が記者会見で、米国大使館が主張した「中国がパナマ運河を支配している」との見方を「事実ではない」として退けました。大国の思惑が交錯するパナマ運河をめぐり、パナマがどのような立場を示したのかが注目されています。
米国大使館の発言:焦点は「中国の影響力」
発端となったのは、米国大使館がパナマ政府関係者との間で、「運河地帯における中国の影響力や支配を防ぐ」というテーマで協議を行ったとする主張です。ここで言及されたのは、中国がパナマ運河周辺で影響力を強め、戦略的に重要な航路を事実上コントロールしているのではないか、という懸念でした。
こうした見方は、パナマ運河という世界の海上輸送にとって欠かせないインフラをめぐり、米国が安全保障や経済の観点から敏感になっていることを背景にしています。しかし、パナマ側はこのストーリーそのものに異議を唱えました。
ムリーノ大統領「中国が運河を支配」は虚偽と明言
ムリーノ大統領は2月20日の記者会見で、米国側が語る「中国がパナマ運河を支配している」との見方について、はっきりと否定しました。大統領は、この主張は事実に反しており、パナマとして受け入れられないものであると述べ、パナマがすでにそのような見解を退けていることを強調しました。
ポイントを整理すると、ムリーノ大統領のメッセージは次のように要約できます。
- 米国が語る「中国によるパナマ運河支配」というストーリーは事実ではない。
- その見方はパナマとして認めておらず、すでに拒否している。
- 運河をめぐる議論において、パナマ自身の立場と判断が尊重されるべきだという意識がにじんでいる。
パナマ運河をめぐる認識のズレ
今回のやり取りから見えてくるのは、パナマと米国のあいだにある「運河をどう捉えるか」という認識のズレです。米国側は、中国の影響力拡大を警戒する視点から「運河の安全」と「中国の存在」を結びつけて語っています。一方でパナマ側は、「中国が運河を支配している」といった表現は現実をゆがめるものであり、自国の立場を損なうと受け止めていると考えられます。
ムリーノ大統領の発言には、運河に関する議論が大国の視点だけで語られることへの違和感や、パナマ自身が主役であるべきだという意識が反映されているとも言えます。
「大国の物語」にどう向き合うか
国際ニュースでは、大国の安全保障や経済戦略の文脈から他国の状況が語られることが少なくありません。今回の米国大使館の主張とパナマ大統領の反論も、その一つの縮図と見ることができます。
読者の立場からは、次のような視点でニュースを読み解くことができます。
- 誰の視点から語られているニュースなのかを意識する。
- 当事国のリーダーが、その物語にどう異議を唱えているかに注目する。
- 安全保障や経済のキーワードの裏側にある、主権や尊厳といったテーマを読み取る。
日本の読者への示唆:小さな国の声に耳を傾ける
2025年12月の今、この2月の発言はすでに時間がたっていますが、パナマのケースは、国際ニュース全般を読み解くうえで示唆に富んでいます。日本から見ると、パナマは遠い国かもしれませんが、「大国の間に立つ国がどのように自らの立場を主張するのか」という点は、アジアや世界の多くの国々にも共通するテーマです。
米国と中国という大きなプレーヤーの動きだけでなく、その間に位置する国々が何を言い、どのように振る舞っているのかに目を向けることは、国際ニュースをより立体的に理解する手がかりになります。パナマ大統領の「中国が運河を支配しているという話は事実ではない」という一言は、その象徴的な例と言えるでしょう。
ニュースを追うとき、私たち一人ひとりが「誰の言葉を基準に世界を見ているのか」を静かに問い直してみる。そんなきっかけとして、今回のパナマの動きに注目してみる価値がありそうです。
Reference(s):
Panamanian president slams U.S. over 'China controlling canal' claims
cgtn.com








