中国、商業宇宙や6Gなど新興産業で新質生産力の育成を加速 video poster
中国が、商業宇宙や6G、量子コンピューティングなどの新興産業をてこに「新質生産力」の育成を本格化させようとしています。世界経済の減速が続く中、中国のデジタル経済戦略は、日本を含むアジアの産業構造にも影響を与えそうです。
李強総理が政府活動報告で新興・未来産業を強調
中国の李強・国務院総理は、水曜日に開かれた第14期全国人民代表大会(全人代)第3回会議の開幕式で、国務院を代表して政府活動報告を行いました。その中で、各地域の実情に応じて「新質生産力」を育成し、新興産業と未来産業の発展を後押しする方針を示しました。
政府活動報告は、中国の経済運営や産業政策の方向性を示す中核文書であり、今回も国内外の投資家やテクノロジー業界から注目を集めています。
対象となる新興産業: 商業宇宙から6Gまで
李強総理が報告の中で挙げた新興・未来産業には、次のような分野が含まれます。
- 商業宇宙: 民間企業によるロケット打ち上げや衛星サービスなどの産業
- 低空経済: ドローンや空飛ぶクルマなど、低高度空域の活用ビジネス
- バイオマニュファクチャリング: バイオ技術を使った素材・化学品・食品などの生産
- 量子コンピューティング: 従来とは異なる原理で超高速計算を目指す次世代計算技術
- エンボディド・インテリジェンス: ロボットなど、身体を持つAIシステムの高度化
- 6G技術: 5Gの次の世代とされる超高速・超低遅延の通信技術
これらはいずれも、まだ世界的に本格的な商用化が始まったばかり、あるいは研究開発段階にある分野です。中国が国家レベルで優先分野として位置づけることで、研究開発投資や人材育成、規制整備が一気に加速する可能性があります。
伝統産業のデジタル化と「人工知能プラス」
新しい産業の育成に加え、中国政府は製造業など伝統産業のデジタル化も一段と進める方針です。政府活動報告では、企業のデジタルトランスフォーメーションを促し、生産性の底上げを図るとしています。
あわせて、デジタル経済を成長エンジンとするため、昨年の政府活動報告にも盛り込まれた「人工知能プラス」イニシアチブをさらに推進すると強調しました。生成AIを含む人工知能技術を、産業やサービス、公共分野などに組み込むことで、イノベーションを生み出す狙いです。
計算能力クラスタでデジタル産業を強化
李強総理はまた、データセンターなどの基盤を整備し、計算能力の配置を最適化することで、国際的な競争力を持つデジタル産業クラスターを形成していくと述べました。
大量の計算能力は、生成AIや自動運転、スマートシティなど、データ集約型のサービスには欠かせません。計算資源を戦略的に配置することで、都市ごと、地域ごとに特色あるデジタル産業を育てる狙いも見えてきます。
日本とアジアへの含意: 何がポイントか
今回の方針から見えてくるポイントを、国際ニュースとしてフォローする日本の読者向けに整理すると、次のようになります。
- 新興・未来産業を国家戦略と結びつける動きが加速している
- AIやデジタル技術は、単独の産業というより、あらゆる産業に組み込まれる共通インフラとして位置づけられている
- 計算能力やデータ基盤への投資は、研究者やスタートアップの活動環境にも直結する
日本やアジアの企業にとっても、中国の動きは競争相手であると同時に、協業相手でもあります。商業宇宙や低空経済、バイオマニュファクチャリングなどは、国境を越えたサプライチェーンやルール作りが重要になる分野です。
新たな産業の波が本格化する前に、どの国・地域がどの分野で強みを築こうとしているのか。今回の政府活動報告は、その布石を読み解く手がかりの一つといえそうです。
Reference(s):
China to promote new quality productive forces in emerging industries
cgtn.com








