中国レーザー産業が世界最前線へ 外国技術依存からの転換点を読む video poster
中国のレーザー産業が、長年続いてきた海外技術への依存を乗り越え、世界の先頭集団に加わりつつあると伝えられています。スマートフォンや自動車産業の中核を支えるレーザー技術の転換は、製造業と国際サプライチェーンにどんな意味を持つのでしょうか。
中国レーザー産業、世界の先頭集団に
中国の第14期全国人民代表大会(NPC)の代表であり、華工科技(Huagong Technology)の馬欽強氏は、土曜日に行われたグループインタビューで、中国がレーザー技術の分野で大きな前進を遂げ、「数十年にわたり続いてきた海外勢の支配的な立場を打ち破り、世界の先頭集団に加わった」と述べました。
馬氏によれば、こうした進展は単なる一企業の成功ではなく、中国全体としての技術開発と産業政策の成果として位置づけられています。2025年現在、中国はレーザー技術を戦略分野のひとつとみなし、研究開発や設備投資を重視してきたとされています。
スマホから自動車まで 部品の約7割に関わるレーザー技術
レーザー技術は、スマートフォンや自動車など、現代の生活を支える製品の製造工程に深く入り込んでいます。馬氏は、スマートフォンや自動車産業などの分野で、「部品の約70%の製造にレーザー技術が関わっている」と説明しました。
具体的には、次のような工程でレーザーが使われています。
- スマートフォン部品の微細加工や切断
- 自動車部品の高精度な溶接や加工
部品の大部分にレーザーが関わるということは、レーザー装置や関連技術の確保が、そのまま製造業全体の競争力や安定性に直結することを意味します。
「外国技術コントロール」を乗り越える国産化の動き
馬氏は、中国のレーザー産業は長年にわたり、海外の技術コントロールに制約されてきたと振り返りました。特定の先端技術や装置について、海外企業や関係者が提供条件を厳格に管理してきたことで、中国企業の選択肢が限られていたという構図です。
こうした状況を背景に、中国はレーザー分野での自前の技術開発を優先課題とし、国内でのイノベーションを積極的に推進してきたといいます。その結果として、
- 核心的なレーザー技術の国産化
- 海外勢が長年優位を保ってきた分野での追い上げ
- 世界の先頭集団の一角を占める水準への到達
といった変化が起きていると、馬氏は強調しました。
製造業とサプライチェーンへの影響
レーザー技術の自立が進むことは、中国の製造業やサプライチェーン全体に少なからぬ影響を与えると見られます。スマートフォンや自動車のように、複雑で多層的な部品から成り立つ製品において、レーザー装置やプロセスを自国技術でまかなえることは、次のような変化をもたらしうるからです。
- 装置や部材の調達リスクを抑えやすくなる
- 製造ラインの設計や最適化の自由度が高まる
- 長期的なコストや投資判断を自前で行いやすくなる
とくに、国際情勢の変化や技術摩擦が注目されるなかで、重要な製造技術をどこまで自国で確保できるかは、多くの国と企業にとって共通の課題となっています。その一例として、中国のレーザー産業の動きは位置づけることができます。
日本の読者が押さえておきたい視点
日本の読者にとって、中国のレーザー技術の進展は、単なる「他国の技術ニュース」にとどまりません。スマートフォンや自動車など、日常的に使う製品の背後にあるサプライチェーンの姿が、静かに変わりつつあることを示しているからです。
注目したいポイントを整理すると、次のようになります。
- 製造技術の地図の変化:レーザーという基盤技術で中国が先頭集団に入ることで、世界の製造拠点や取引関係に新たな選択肢が生まれる可能性があります。
- 技術依存リスクの再評価:どの国のどの技術に依存しているのかを、企業や産業が改めて見直すきっかけになります。
- 協力と競争のバランス:レーザーのような基盤技術は、競争だけでなく、規格づくりや安全性確保など、各国間の協調も求められる分野です。
これからの論点:技術競争と協調をどう両立させるか
馬欽強氏の発言は、中国がレーザー技術で世界トップクラスに迫っているという現状を示すと同時に、国際社会にとっての課題も浮かび上がらせています。基盤技術での競争が激しくなるほど、サプライチェーンの分断や技術の囲い込みが進むリスクも指摘されがちです。
一方で、レーザー技術は製品の品質や安全性に直結するだけでなく、エネルギー効率や資源の有効利用などにも貢献しうる分野です。そのポテンシャルを最大限に生かすには、
- 安全性や品質に関する国際的な基準づくり
- 人材育成や研究協力の枠組みづくり
- サプライチェーンの透明性や信頼性の向上
といった取り組みが、各国・各地域で求められていきます。
中国のレーザー産業が世界の先頭集団に加わったという今回のニュースは、技術立国を目指す国や企業にとって、自らの戦略を見直す鏡のような役割を果たしそうです。日々手にするスマートフォンや、自宅の駐車場にある自動車の向こう側で、どのような技術と政策が動いているのか。こうした視点からニュースを追うことが、これからますます重要になっていきます。
Reference(s):
China's laser industry advances, joining global front-runners
cgtn.com








