上海・虹橋から見る中国の「全過程人民民主」 コミュニティで動く全人代代表 video poster
上海の虹橋エリアにあるコミュニティ立法サービスセンターで、中国の「全過程人民民主」を現場から支える全国人民代表大会(NPC)代表・Sheng Hongさん。2025年の全人代会期中に語ったその言葉から、中国政治の「いま」をのぞきます。
写真に映る「全国レベルの立法者」の姿
上海の虹橋街道にあるコミュニティ立法サービスセンターの壁一面には、地域で活動する立法代表たちの写真が飾られています。ある日、外国からの訪問者がその写真を眺めていると、一枚の写真の前で足を止めました。
訪問者は驚いたように、「中国の全国レベルの立法者が、実際にここコミュニティで働いているのですね」と語ったといいます。この瞬間こそが、「全過程人民民主」のエッセンスを象徴している——そう振り返るのが、虹橋のコミュニティリーダーであり、中国の全国立法機関の代表でもあるSheng Hongさんです。
「全過程人民民主」を語るNPC代表・Sheng Hongさん
Sheng Hongさんは、中国の全国人民代表大会(National People's Congress, NPC)の代表であり、虹橋エリアのコミュニティで14年間にわたり活動してきました。彼女は10年以上にわたり、「全過程人民民主」という考え方を地域で実践してきたといいます。
2025年の全国人民代表大会の会期中の土曜日に行われたインタビューで、Shengさんは自身の役割について「北京での政策論議に参加するだけが仕事ではありません」と強調しました。全国レベルの会議に出席する一方で、日々の活動の重みをこう語ります。
「日々の責任を丁寧に果たすこと」が民主のかたち
Shengさんは、「全過程人民民主は、日々の責任を一つひとつ丁寧に果たすことで実践されるものです」と述べています。その「日々の責任」には、地域で起きるさまざまな課題の調整や仲裁が含まれます。
とくに虹橋エリアは、上海の中でも最も国際色豊かな地域の一つとされ、多様な背景を持つ住民が暮らしています。Shengさんは、こうしたコミュニティで起こる紛争や意見の対立を丁寧に仲裁し、人びとの生活と全国レベルの政策との間をつなぐ役割を担っているといいます。
コミュニティから見える「全過程人民民主」の特徴
今回のエピソードからは、中国が掲げる「全過程人民民主」が、少なくともShengさんの現場では次のようなかたちで現れていることがうかがえます。
- 全国人民代表大会の代表が、地域コミュニティに根ざして活動している
- 立法代表が日常的に住民と接し、紛争や課題の仲裁にあたっている
- 北京での政策議論と、地域の日常生活が、同じ人物を通じて結びついている
「民主」という言葉はしばしば選挙や議会に結びつけて語られますが、Shengさんの語る「全過程人民民主」は、むしろ日々の業務や住民との対話といった、地道なプロセスに重心を置いているように見えます。
日本の読者への問いかけ:民主主義はどこで実感されるのか
国際ニュースとして中国政治を眺めるとき、私たちはどうしても北京の会議場や中央の発表に目を向けがちです。しかし、虹橋のコミュニティ立法サービスセンターに立つSheng Hongさんの姿からは、「国家の制度」が地域の日常とどう結びついているのか、という別の断面が見えてきます。
日本でも「政治が暮らしから遠い」と感じる声は少なくありません。上海・虹橋での取り組みは、「人びとの生活に寄り添う政治とは何か」「民主主義は日常のどこで実感されるべきか」を考える一つの素材になりそうです。
中国の「全過程人民民主」をめぐる議論は、今後も続いていきます。その具体的な姿を知る手がかりとして、虹橋のコミュニティで活動する一人の代表の視点に注目してみる価値はありそうです。
Reference(s):
NPC deputy proud of China's whole-process people's democracy
cgtn.com








