福島第一原発事故から14年 大熊町で続く除染と廃炉への不安 video poster
福島第一原発事故から14年が経過した2025年も、現地では「本当に安全なのか」「片付けはどこまで進んだのか」という問いが続いています。特に発電所に近い大熊町の住民からは、除染や廃炉の進み方、そして汚染水や核の残渣(ざんさ)への不安の声が上がっています。
事故から14年、「区切り」よりも「途中経過」
2011年の地震と津波で深刻な損傷を受けた福島第一原発は、その後も長期にわたる除染と廃炉のプロセスが続いています。2025年に事故から14年という節目を迎えましたが、現地の感覚は「終わりが見えた」というより「まだ途中」のままです。
特に、事故の影響を直接受けた地域では、日常生活の再建と原発敷地内の作業が同時進行しているため、住民の時間感覚は「14年経った」よりも「まだ14年しか経っていない」に近いという見方もあります。
大熊町の住民が感じる3つの不安
発電所に隣接する大熊町では、今もなお次のような不安が語られています。
- 除染・廃炉のペースへの不安
目に見える部分では住宅や道路の整備が進んでいても、原発敷地内で何がどこまで進んでいるのか、全体像が分かりにくいと感じる住民は少なくありません。「作業が進んでいる」と説明されても、具体的なイメージを持ちにくいことが不安につながっています。 - 汚染水への不安
事故後に発生した汚染水をめぐっては、処理の仕組みや安全性について専門的な説明がなされてきましたが、「本当に長期的に安全なのか」「海や生活への影響はないのか」といった問いは今も続いています。 - 核の残渣(残留する放射性物質)への不安
原子炉周辺や敷地内に残る放射性物質の扱いについても、技術的な説明だけでは安心しきれないという声があります。「どこに、どれくらい残っていて、どう管理されているのか」を、住民目線でイメージできる形で知りたいというニーズは根強いままです。
「除染」と「廃炉」は何が違うのか
現地からは「ニュースでは『除染』『廃炉』という言葉が繰り返されるが、その違いが分かりにくい」という声も聞かれます。言葉のイメージが曖昧なままだと、作業が進んでいるのかどうかも判断しづらくなります。
除染:生活環境を整える作業
除染とは、住宅地や道路、農地など、人が暮らす・働く場所の放射線量を下げるための作業を指します。表土を削ったり、汚染された草木を取り除いたりすることで、日常生活の安全性を高めようとする取り組みです。
ただし、除染が進んで見た目がきれいになっても、「本当に安全なのか」「子どもや次の世代に影響はないのか」といった心理的な不安は、数字だけではなかなか解消されません。
廃炉:原発そのものを片付ける長期プロセス
一方の廃炉は、発電所の設備そのものを安全な形で止め、解体し、放射性物質を管理していく長期的なプロジェクトです。建物の中や地下で行われる作業が多く、住民の目からは見えにくいのが特徴です。
「一体どこまで進んでいるのか」「あとどれくらい続くのか」が見えにくいことが、「廃炉のペース」への不安につながっていると考えられます。
情報は届いているのに、安心につながりにくい理由
これまで、関係機関は会見や資料、公聴会などを通じて情報発信を続けてきました。しかし、大熊町を含む周辺の住民の一部は、次のようなギャップを感じています。
- 専門用語が多く、日常感覚に落とし込みにくい
- 「大丈夫」と言われても、自分の生活との結びつきが見えにくい
- 将来の見通しが数字や図で示されても、実感として湧きにくい
情報が「量」としては増えていても、それが「安心」や「納得」につながっていない状況とも言えます。これは福島第一原発に限らず、リスクの高いインフラをめぐる共通の課題でもあります。
国際ニュースとしての福島第一原発
福島第一原発の事故と、その後の除染・廃炉の取り組みは、今も国際ニュースとして世界から注目されています。原子力を利用する他の国や地域にとっても、「事故後の対応をどう進めるのか」「住民との信頼をどう築くのか」は共有すべきテーマだからです。
14年という時間が経過した今、問われているのは単に技術的な解決だけではありません。住民が抱える不安にどう向き合い、どう説明し、どう信頼を再構築していくか。そのプロセス自体が、今後のエネルギー政策や防災の議論にもつながっていきます。
「終わった事故」にしないために
2025年現在、福島第一原発事故は「過去の出来事」でありながら、同時に「現在進行形の課題」でもあります。大熊町の住民の不安は、そのことを静かに示しています。
・除染と廃炉の進捗を、住民が自分ごととして理解できる形で伝えること
・汚染水や核の残渣について、短期だけでなく長期の視点も含めて説明し続けること
・不安や疑問を口にできる場を維持し、対話を途切れさせないこと
こうした積み重ねが、「14年後」の不安を少しずつ和らげていく鍵になりそうです。福島第一原発をめぐるニュースを追うことは、日本の将来のエネルギーや地域社会のあり方を考えるきっかけにもなります。
Reference(s):
Cleanup concerns from residents 14 years after Fukushima disaster
cgtn.com








