オランダ名匠が語る『ネザ2』 中国映画と物語の新時代 video poster
中国映画『ネザ2』が、中国本土での歴代興行収入記録を塗り替え、世界でもトップ10に入るヒットとなる中、その魅力と意味をオランダ出身の撮影監督キース・ヴァン・オーストルム教授の視点から読み解きます。
中国本土で歴代1位、世界トップ10に入る『ネザ2』
春節(中国の旧正月)に公開された映画『ネザ2』は、その後、中国本土の興行収入記録を更新し、中国映画史上でもっとも大きなヒット作品となりました。さらに、世界全体の興行成績でもトップ10に入り、国際的な注目を集めています。
2025年12月時点でも、その勢いと影響力はニュースやSNSで語られ続けており、中国本土発のエンターテインメント作品が世界市場でどのように受け止められているのかを考えるうえで、象徴的な存在になっています。
誰が『ネザ2』を語っているのか――キース・ヴァン・オーストルム教授
この作品について語るのは、アメリカ撮影監督協会の元会長であり、エミー賞に2度ノミネートされた撮影監督・監督、そして上海戯劇学院の教授を務めるキース・ヴァン・オーストルム教授です。
映像のプロフェッショナルとして長年にわたり第一線で活動してきた人物が、中国本土の歴史的ヒット作をどう見ているのか。公開された動画インタビューでは、その芸術性や技術、さらには文化的な意味まで、多角的な視点から『ネザ2』を読み解いています。
プロが評価する『ネザ2』の芸術性と技術
オーストルム教授はまず、『ネザ2』の芸術的な達成に注目しています。物語を支える映像表現や、画面の構成、リズムの作り方といった「映画の見え方」に関わる要素が、高いレベルで統合されている点を評価しています。
同時に、作品の技術的な達成についても言及しています。高度な映像技術の積み重ねが、単に派手な画づくりのためではなく、登場人物の感情や物語のテーマをより強く伝えるために活用されているという視点です。芸術性と技術が互いを支え合うことで、観客に強い没入感を生み出している、という見方だといえます。
文化的な意味――『ネザ2』が映す中国と世界
オーストルム教授が強調するもう一つのポイントは、この映画が持つ文化的な意味です。中国の文化的背景を持つ物語でありながら、家族や成長といった普遍的なテーマを描くことで、国や地域を超えて共感を呼ぶ作品になっているとしています。
中国本土で生まれた作品が、国内の記録を塗り替えるだけでなく、世界の興行成績トップ10に入ることで、「ローカルな物語」が「グローバルな物語」へと転化していくプロセスが、よりはっきりと見えてきます。その過程を専門家の言葉で整理してくれる点も、このインタビューの興味深いところです。
東洋と西洋のストーリーテリングをつなぐ
オーストルム教授は、映像表現だけでなく「物語の語り方」にも注目しています。『ネザ2』は、東洋の物語に見られる情緒や価値観と、西洋の観客にもなじみやすいドラマ構造やキャラクター描写を組み合わせ、東西それぞれのストーリーテリングの伝統を橋渡ししていると分析しています。
東洋と西洋の語り方がぶつかるのではなく、補い合うかたちで一つの作品に統合されていること。それこそが、『ネザ2』が国境を超えて受け入れられている理由の一つだといえるでしょう。
2025年の観客にとっての『ネザ2』の意味
2025年の今、中国本土の映画が世界トップクラスの興行成績を収め、その作品をオランダ出身の撮影監督が上海から語るという状況そのものが、映画産業のグローバル化と文化交流の現在地を映し出しています。
日本の観客やクリエイターにとっても、『ネザ2』とオーストルム教授の視点は、次のような問いを投げかけます。
- ローカルな文化や物語を保ちながら、世界の観客にどう届けるか。
- 映像技術を「見せるため」ではなく、「物語を伝えるため」にどう使うか。
- 異なる文化圏のプロフェッショナルの視点を、自分たちの創作や鑑賞にどう生かすか。
オランダ出身の撮影監督が上海で教壇に立ち、中国本土の大ヒット映画を語る――この構図自体が、国境を越えた映画の時代を象徴しています。『ネザ2』の成功と、それをめぐる国際的な対話は、これからもしばらく、映画とカルチャーを語るうえで欠かせない話題であり続けるはずです。
Reference(s):
cgtn.com








