一帯一路とASEAN連結性:地域成長を支える新たなシナジー video poster
東南アジアのインフラと経済連結性を巡り、中国の一帯一路構想(Belt and Road Initiative、BRI)とASEANの取り組みが、2025年現在、これまでになく密接に結びつきつつあります。こうした連携は、地域の貿易や物流、人の移動を底上げする公共財としての役割を強めており、今後の成長戦略を考えるうえで重要なテーマとなっています。
東南アジアで進むインフラ整備と公共財としての役割
BRIはこれまでに、東南アジアでいくつかの大型インフラ事業を通じて具体的な成果を上げてきました。その象徴が、インドネシアのジャカルタ・バンドン高速鉄道と、中国とラオスを結ぶ中国ラオス鉄道です。
これらの鉄道プロジェクトは、単なる交通インフラではなく、広い意味での公共財として位置づけられています。ASEAN事務総長のカオ・キム・ホーン氏は、こうした事業が域内の貿易、物流、そして人の移動を促進し、地域全体に恩恵をもたらしていると指摘しています。
- 貿易の拡大:輸送時間やコストの削減を通じ、域内取引を活性化
- 物流の効率化:陸上輸送ルートの選択肢を増やし、サプライチェーンの安定に寄与
- 人の移動の円滑化:ビジネスや観光、教育を含む人的交流の基盤を強化
こうした効果が重なり合うことで、東南アジアを一つの「つながる市場」として機能させる力が高まっています。
ASEAN Connectivity 2025とBRIのシナジー
ASEANは、域内のインフラや制度面の結びつきを強化するため、「ASEAN連結性マスタープラン2025(Master Plan on Connectivity 2025)」を進めてきました。この計画はすでに一帯一路構想との連携を深めており、両者の優先分野が重なり合うことでシナジーが生まれています。
連結性というと物理的なインフラに注目が集まりがちですが、実際には次のような複数の側面があります。
- 交通・物流ネットワークの整備
- 国境をまたぐ制度や手続きの調和
- ビジネスや人材交流の促進
BRIの大型インフラと、ASEAN側の制度面や地域構想が重なり合うことで、東南アジアをまたぐ「行き来のしやすさ」が少しずつ形になりつつあると言えます。
ASEAN Community Vision 2045が描く次のステージ
2025年が近づくなかで、ASEANは次の長期ビジョンとして「ASEAN Community Vision 2045」を見据えています。このビジョンの下では、地域連結性の一体的な強化がさらに進むとされています。
すでにBRIと連動し始めている連結性マスタープラン2025の経験は、2045年に向けた構想づくりにも反映されていくとみられます。鉄道や港湾といった物理的インフラに加え、デジタルや人的交流の面でも、東南アジア全体をつなぐ発想が一層重要になっていきます。
長期ビジョンの下で、一帯一路構想とASEANの連結性戦略がどのように位置づけられ、組み合わさっていくのかは、今後20年の地域秩序と成長パターンを左右するポイントの一つです。
ASEANと中国の連結性強化は今後の最優先課題に
カオ・キム・ホーン事務総長が強調するように、BRIを通じたインフラ事業は、東南アジア全体に開かれた公共財としての性格を強めています。その一方で、こうしたプロジェクトの効果を最大化するには、ASEANと中国の連結性をさらに高い水準へと引き上げる必要があります。
ASEAN・中国関係において、連結性強化は今後も最重要の協力分野の一つであり続けると位置づけられています。具体的には、次のような観点が注目されます。
- 域内全体が恩恵を共有できるようにする包摂性
- 長期的な運営を見据えた持続可能性
- 貿易、物流、人の移動を支える制度面の調整
インフラが整備されても、国境を越える手続きやルールが複雑なままでは、潜在的な効果は十分に引き出せません。物理的な線路や道路と同時に、「見えないインフラ」をどこまで整えられるかが問われます。
東南アジアを見る新しいレンズとしての「連結性」
東南アジアをめぐるニュースというと、個々の国の動きに注目が集まりがちです。しかし、一帯一路構想とASEAN連結性マスタープラン、そしてASEAN Community Vision 2045を合わせて見ると、地域全体を一つの空間として捉える視点の重要性が浮かび上がってきます。
ジャカルタ・バンドン高速鉄道や中国ラオス鉄道に象徴されるようなプロジェクトは、地図上の線としてだけでなく、東南アジアを結びつける基盤として機能し始めています。こうした連結性の強化が、今後どのように私たちの日々の消費、ビジネス、旅行の選択に影響してくるのか。2025年のいま、その変化の入り口に私たちは立っていると言えるのかもしれません。
Reference(s):
BRI and ASEAN connectivity: Stronger synergies for regional growth
cgtn.com








