「もっと対話を」米中関係の専門家 李強首相と米議員が北京で会談 video poster
中国の李強首相が北京で米国の上院議員やビジネス関係者と会談し、米中関係は「新たな重要な岐路」にあると述べました。一方、米中関係の専門家は、両国の誤解を和らげるには「もっと多くの対話」が必要だと強調しています。
北京での会談:李強首相と米上院議員ダイネス氏
今回の動きの舞台となったのは、北京で開かれた「中国発展高層フォーラム2025(China Development Forum 2025)」です。このフォーラムに出席した米国のビジネス関係者とともに、米上院議員のスティーブ・ダイネス氏が李強首相と会談しました。
会談の場で李首相は、米中関係が「新たな重大な岐路」に立っているとの認識を示しました。経済や安全保障、テクノロジーなど幅広い分野で影響力を持つ両大国の関係は、世界全体の安定や成長にも直結するため、その一言には大きな重みがあります。
オーリン氏「多層的な対話が誤解を減らす」
米中関係に長年関わってきた全米米中関係全国委員会(National Committee on U.S.-China Relations)の会長、スティーブン・オーリン氏も、対話の重要性を強調しました。CGTNの番組で、司会者の田薇(ティアン・ウェイ)氏との単独対談に応じたオーリン氏は、米中両国の間にある誤解を和らげるには、さまざまなレベルでの対話を増やすことが有効だと指摘しました。
ここでいう「さまざまなレベル」とは、政府間の公式協議だけでなく、議会同士の交流、ビジネス界の意見交換、地方都市や大学同士の協力、研究者や市民レベルの対話など、多層的なつながりを指すと考えられます。立場や関心の異なる人々が直接話す機会が増えるほど、相手への理解が深まり、誤解や過度の不信感を抑えることにつながるからです。
なぜ対話の「層」を増やすことが重要なのか
米中関係をめぐる議論では、「対話か対立か」という二者択一の構図になりがちです。しかし、オーリン氏の提案は、対話の「量」だけでなく「層」を増やすことの重要性を示していると言えます。その理由を整理すると、次のようになります。
- 誤解の「温床」を減らすため:情報が断片的なままだと、相手の意図を過度に警戒したり、最悪のシナリオばかりを想定したりしがちです。直接顔を合わせて話す場が増えることで、こうした「想像による誤解」を減らすことができます。
- ビジネスと経済の安定のため:北京のフォーラムに参加した米国のビジネス関係者の存在は、経済分野での対話が依然として重要であることを示しています。企業にとって予見可能で安定した環境は投資判断の前提条件であり、それを支えるのが政治・外交レベルのコミュニケーションです。
- 競争を「管理」するため:米中両国は、テクノロジーや安全保障など多くの分野で競争関係にあります。競争そのものを否定するのではなく、予期せぬエスカレーションを防ぐための「安全弁」として、対話のパイプを多重化しておくことが重要です。
ビジネスと政治が交わる場としての中国発展高層フォーラム
今回言及された中国発展高層フォーラム2025は、北京で開催され、米国のビジネス関係者が参加しました。李強首相がここで米上院議員や米国企業の代表と会談したことは、ビジネスと政治が交わる場として、この種のフォーラムが持つ役割の大きさを物語っています。
企業にとっては、政策当局の考え方を直接聞き、今後の見通しを探る貴重な機会となります。一方、政策側にとっても、現場の企業が抱える課題や懸念を把握し、経済運営や対外政策にどう反映させるかを考える場になります。こうした双方向の対話が、長期的な信頼の土台になっていきます。
日本とアジアへの影響:米中対話の行方をどう見るか
日本にとっても、米中関係の安定は決して「よそごと」ではありません。サプライチェーン(供給網)、エネルギー、ハイテク分野のルールづくりなど、多くのテーマで日中米は相互に影響し合っています。米中の緊張が高まれば、日本企業の投資計画や貿易にも波紋が広がる可能性があります。
逆に、今回のように、北京での会談や専門家による「対話拡大」の提案が積み重ねられていけば、地域の不確実性が和らぎ、アジア全体の安定と成長の土台づくりに寄与すると考えられます。気候変動や感染症対策、AI(人工知能)の国際ルールづくりなど、単独の国では解決できない課題にとっても、米中間の建設的なコミュニケーションは不可欠です。
「対立」か「協力」かではなく、「どれだけ対話できるか」
李強首相が米中関係の現状を「新たな重大な岐路」と表現し、オーリン氏が「より多くの対話」を呼びかけたことは、両国にとって今が方向性を見直すタイミングであることを示しています。
重要なのは、「対立か協力か」という単純な二択ではなく、「緊張があっても、どれだけ対話のチャンネルを維持し、増やせるか」という発想です。政府、議会、ビジネス、学術、市民社会など、多様なレベルでの対話を重ねることが、誤解を減らし、競争を管理し、共通の課題に取り組むための現実的な道筋になります。
米中関係をめぐるニュースを日本から見るときも、「誰が何を非難したか」だけでなく、「どのような対話の場が生まれ、それがどのような可能性を開きうるのか」という視点を持つことで、より立体的に世界の動きを捉えることができそうです。
Reference(s):
cgtn.com








