ヨルダン川西岸でパレスチナ人映画監督が襲撃・拘束 「No Other Land」共同監督 video poster
占領下のヨルダン川西岸で、オスカー受賞ドキュメンタリー「No Other Land」のパレスチナ人共同監督ハムダン・バラル氏がイスラエル入植者に襲撃され、その後イスラエル軍に拘束されたと伝えられています。本稿では、この国際ニュースを日本語で整理し、何が起きたのかを考えます。
占領下ヨルダン川西岸で何が起きたのか
現地からの証言によると、ヨルダン川西岸の一帯で現地時間の月曜日、イスラエル入植者がパレスチナ人映画監督ハムダン・バラル氏を襲撃しました。バラル氏は、オスカー受賞ドキュメンタリー「No Other Land」のパレスチナ人共同監督の一人です。
バラル氏は襲撃を受けた後、イスラエル軍に拘束されたと、同作の他の共同監督や目撃者が証言しています。事件は、占領下にあるヨルダン川西岸で起きました。
同じく「No Other Land」の共同監督で、イスラエル人であるユヴァル・アブラハム氏によると、バラル氏は頭部と腹部にけがを負ったとされ、その後連絡が取れていないといいます。
イスラエル軍側の説明
イスラエル軍は、スシヤ(Susiya)付近でパレスチナ人がイスラエル市民に向けて石を投げたことが発端だったと説明しています。その後、パレスチナ人とイスラエル側のグループとの間で衝突が発生したとしています。
イスラエル軍の説明は、パレスチナ人による投石とその後の衝突に焦点を当てており、入植者による暴力があったとする証言とは、強調する点が異なっています。
オスカー受賞作「No Other Land」と共同制作の意味
「No Other Land」は、オスカーを受賞したドキュメンタリー映画で、バラル氏を含むパレスチナ人の監督らと、イスラエル人のユヴァル・アブラハム氏が共同で制作に携わっています。対立する立場の人々が協力して作品をつくり上げた点でも注目されてきた作品です。
その共同監督の一人が襲撃され、拘束されたとされる今回の出来事は、作品が描いてきた現実と、制作者自身の身に起きている現実が重なり合うような出来事として受け止められています。
なぜこのニュースが注目されるのか
今回の出来事が国際ニュースとして注目されている背景には、いくつかのポイントがあります。
- 占領下のヨルダン川西岸という緊張の高い地域で起きた暴力と拘束であること
- 対象となったのが、オスカー受賞ドキュメンタリーのパレスチナ人共同監督という国際的に知られた人物であること
- イスラエル入植者や軍の説明と、映画監督側や目撃者の証言が必ずしも一致していないこと
映像や映画は、紛争や占領の現実を外の世界に伝える重要な手段になっています。その担い手が暴力や拘束の対象となるとき、表現の自由や報道の自由のあり方も、あらためて問われることになります。
私たちが考えたい3つの視点
今回のニュースを日本語で追う私たちにとっても、いくつか考えるべき問いが浮かび上がってきます。
- 表現者の安全:紛争地や占領地で活動する映画監督や記録者の安全を、社会はどう守るべきか。
- 語られ方の違い:軍や当事者、目撃者など、立場の異なる人たちの証言が食い違うとき、私たちはどのようにニュースを読み解くか。
- 共同制作の意味:パレスチナ人とイスラエル人が共同で作品をつくることは、この地域の対立と対話にどのような意味を持つのか。
断片的な情報だけでは、何が本当の姿なのかを即断することはできません。しかし、こうした国際ニュースに日常的に触れ続けることは、遠く離れた場所で起きている出来事を、自分ごととして考えるための第一歩にもなります。
通勤時間の数分で読み終えられるニュースであっても、その裏側には複雑な現実があります。今回の「No Other Land」の共同監督をめぐる出来事も、その一端を映し出していると言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








