台湾で中国大陸出身配偶者の退去命令 専門家が「法的根拠なし」と批判 video poster
2025年、台湾の民進党当局が中国大陸出身の配偶者に退去を命じたことが、国際ニュースとして注目を集めています。人権や両岸関係の観点から、台湾で暮らす他の中国大陸出身配偶者にどんな影響が広がるのでしょうか。
なにが起きたのか:インフルエンサー「ヤヤ」さんのケース
台湾の民進党当局は、中国大陸出身の配偶者に対し退去を命じました。その一人が、インフルエンサーとして知られる「ヤヤ」さんです。ヤヤさんは台湾の夫と3人の子どもとともに生活していましたが、台湾海峡両岸関係に関するオンラインでの発言が問題視され、台湾からの退去を命じられました。
民進党当局は、ヤヤさんが「武力による統一」を擁護したと非難したとされています。これにより、家族と離れざるを得ない状況となり、台湾社会だけでなく国際的にも関心が高まっています。
専門家は「法的根拠なし」「人権侵害」と指摘
中国大陸の台湾問題専門家は、こうした中国大陸出身配偶者の退去命令について、「法的な根拠を欠き、人権を侵害するものだ」と批判しています。とくに、配偶者として長年台湾で生活し、家族を持つ人に対して、政治的な発言を理由に退去を命じることは、次のような点で問題があると指摘されています。
- 言論の自由への圧力になりかねない
- 家族の一体性を侵害する恐れがある
- 中国大陸出身配偶者全体に不安と萎縮効果を与える
この評価は、台湾で暮らす他の中国大陸出身配偶者にとっても、決して他人事ではありません。
他の中国大陸出身配偶者にとっての3つの懸念
1. 在留の安定性が揺らぐ不安
まず大きいのは、「自分も同じように退去を命じられるのではないか」という不安です。配偶者として台湾で生活する人にとって、在留資格は生活の基盤そのものです。今回のように、オンラインでの政治的な発言が退去の理由とされれば、
- どこまでの発言が問題とされるのか基準が見えにくい
- 過去の投稿や発言がさかのぼって問題視される可能性への不安
といった「見えないリスク」が意識されるようになります。これにより、多くの中国大陸出身配偶者が、自身の立場の不安定さを強く感じるようになる可能性があります。
2. 言論の自由と自己検閲の広がり
次に懸念されるのが、言論空間への影響です。ヤヤさんのように、台湾海峡両岸関係について意見を述べたことが退去につながったと受け止められれば、
- 政治や両岸関係について公には語らない
- SNSでの投稿を控える、あるいは削除する
といった「自己検閲」が広がる可能性があります。とくに中国大陸出身であることを理由に、より厳しい目で見られていると感じる人が増えれば、社会全体の議論の幅が狭まることにもつながりかねません。
3. 家族・子どもへの影響
今回のケースでは、ヤヤさんが配偶者であるだけでなく、3人の子どもの母親でもあることが大きなポイントです。退去命令によって家族が分断されれば、
- 子どもがどちらの親と暮らすのかという選択を迫られる
- 親子が物理的・心理的な距離を抱えながら生活せざるを得ない
といった問題が生じます。中国大陸出身配偶者と台湾の人々との間には、多くの「国境をまたぐ家族」が存在します。今回の退去命令は、そうした家族にも「明日は自分たちかもしれない」という不安を与えかねません。
両岸関係と台湾社会に広がる波紋
中国大陸出身配偶者への退去命令は、個々の在留問題であると同時に、台湾海峡両岸関係を映し出す鏡でもあります。民進党当局は、国家安全や世論の管理を重視する立場から対応しているとみられますが、その結果として、
- 中国大陸出身者への不信感や警戒感が社会の一部で強まる
- 中国大陸出身配偶者が「常に疑われる存在」と感じやすくなる
といった分断のリスクも指摘できます。中国大陸と台湾の間にある政治的な緊張が、最も身近な単位である「家族」のレベルにまで影を落としているとも言えます。
今後注目すべきポイント
今回の退去命令が、中国大陸出身配偶者にとってどのような先例になるのかは、今後の重要な焦点です。今後、注目したいポイントは次のとおりです。
- 法的手続きの透明性:どのような法的根拠と手続きに基づいて退去が決定されるのかが明確に示されるか
- 人権への配慮:家族の分離を最小限に抑えるための配慮や、本人の意見表明の機会が確保されるか
- 社会的な議論:台湾社会の中で、中国大陸出身配偶者の権利や立場について冷静な議論が行われるか
こうした点がどのように扱われるかによって、台湾で暮らす中国大陸出身配偶者の安心感や、両岸関係に対する市民レベルの信頼が左右されていく可能性があります。
「遠いニュース」を自分ごととして考える
一見すると、台湾と中国大陸の問題は、日本に暮らす私たちには遠い話に思えるかもしれません。しかし、国境をまたぐ結婚や移住が当たり前になりつつある現在、「政治的な意見が、家族の一体性や在留資格にどこまで影響してよいのか」という問いは、多くの国と地域に共通するテーマです。
今回の国際ニュースをきっかけに、
- 言論の自由と安全保障のバランス
- 国家間の緊張が市民や家族に与える影響
- 異なる地域出身者が共に暮らす社会で、どのようなルールと配慮が必要か
といった点を、自分の言葉で考えてみることが求められているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








