中国西蔵・ミャンマー・トンガの地震 つながりは?専門家が語る「確率」と備え video poster
中国のシーザン(西蔵)、ミャンマー、トンガ近海で大きな地震が続き、「この地震同士はつながっているのか」「もっと大きな地震の前触れなのか」と不安に感じた人も多いのではないでしょうか。国際ニュースでも連日取り上げられる中、地震学者のロバート・J・ゲラー東京大学名誉教授は、これらの大地震は「確率」の問題であって、はっきりした因果関係があるとはいえないと説明しています。
最近の大地震、「つながっている?」という不安
ここ最近、中国のシーザン(西蔵)地域、ミャンマー、そしてトンガ諸島近海で相次いで大きな地震が発生しました。地図で見ると離れた場所ですが、「短期間にこれだけ大きな地震が起きるのは異常なのでは」「世界のどこかで巨大地震が連鎖しているのでは」といった声が、SNSを中心に広がっています。
特に、オンラインでリアルタイムに情報が流れる今は、世界各地の地震映像や被害の写真が一気にタイムラインに並びやすく、不安が増幅されやすい状況です。その中で、「地震同士の関係」をどう理解すればよいのかは、多くの人が知りたいポイントです。
ゲラー名誉教授「大地震は確率の問題」
こうした不安に対して、地震学者であるロバート・J・ゲラー東京大学名誉教授は、今回の一連の地震について「発生は確率の問題であり、明確なつながりがあるとはいえない」と指摘しています。
地震は、プレート(岩盤の巨大なかたまり)の動きなどに起因して起きる自然現象ですが、その発生タイミングは本質的に「確率」でしか表せない、と考えられています。つまり、たまたま同じ時期に別々の場所で大きな地震が起きることもあり、それだけで「連鎖している」「一つが他の原因になっている」とは限らないということです。
私たちから見ると、「最近、大地震のニュースが多い」と感じるときほど、何か一本のストーリーで理解したくなります。しかし、ゲラー氏の説明は、その感覚に対して「自然現象としての偶然性」という視点を静かに示しているともいえます。
なぜ正確な地震予測はできないのか
ゲラー氏はあわせて、「正確な地震予測はできない」とも述べています。ここでいう予測とは、「いつ・どこで・どれくらいの規模の地震が起きるか」を事前に言い当てることを指します。
地震学の研究によって、「どの地域が地震を起こしやすいか」「過去にどの程度の地震が起きてきたか」といった長期的な傾向は、ある程度は把握できるようになっています。一方で、「明日の何時ごろ、この場所でマグニチュード何の地震が起きる」といった形での予測は、現在の科学技術では不可能だという立場です。
このため、「最近地震が多いから、そろそろどこかで巨大地震が起きるはずだ」といった言い方も、科学的には成り立ちません。ゲラー氏のメッセージは、「予測に頼りすぎるより、いつ起きてもおかしくないものとして備えることが大切だ」という方向を示しているといえます。
最善の対策は「事前の準備」
では、正確に予測できない地震と、私たちはどう向き合えばよいのでしょうか。ゲラー氏は、「地震に強い社会になるための最善の方法は、事前にきちんと備えることだ」と強調しています。
言い換えれば、「地震そのものを止めることはできないが、被害を減らす力は私たちにある」という発想です。具体的には、次のような備えが重要になります。
- 自宅や職場の耐震性を確認し、必要に応じて補強する
- 家具や家電の固定など、室内での転倒・落下対策を行う
- 水や食品、常備薬、簡易トイレなど、数日間分の備蓄を整える
- 家族や同僚と、避難場所や連絡手段を事前に話し合っておく
- 自治体のハザードマップや防災情報を確認し、想定される揺れや津波を知っておく
こうした準備は、「今すぐ大地震が来るかどうか」といった短期的な予測に左右されるものではありません。むしろ、地震多発国に暮らす以上、「いつか必ず経験するかもしれない地震」に備える長期的な行動として捉えることができます。
不安を行動に変えるために
国際ニュースやSNSで世界各地の地震被害を目にすると、不安な気持ちになるのは自然な反応です。しかし、ゲラー氏の指摘するように、大地震の発生は「確率」の問題であり、離れた地域の地震がすべて一本の因果関係で結びついているわけではありません。
だからこそ、「次にどこで起きるか」を当てようとするよりも、「どこで起きても被害を小さくできる社会をつくるには何が必要か」を考えることが、私たち一人ひとりにできる現実的なアクションです。
中国のシーザン(西蔵)、ミャンマー、トンガ近海の一連の地震は、地球が常に動いていること、そして私たちがその上で暮らしていることをあらためて突きつけました。この機会に、自宅や職場の備えを見直し、家族や友人と防災について話してみることが、「不安を少しでも小さくする」第一歩になるかもしれません。
地震の「つながり」を心配することから、「備えによるレジリエンス(回復力)を高める」視点へ。日々のニュースを、そんな発想の転換のきっかけとして生かしていきたいところです。
Reference(s):
Is there any connection between the recent large earthquakes?
cgtn.com








