中国とインド、外交関係75年 専門家が語る「多国間協力」の可能性 video poster
外交関係樹立から75年を迎えた中国とインド。インドの有力シンクタンクの専門家は、二国が国際社会で「競合する大国」だけではなく、気候変動や経済成長など多国間の課題で協力しうる存在だと指摘します。本記事では、その視点を手がかりに、中国・インド関係の「次の75年」を考えます。
中国・インド関係はいま、どこにいるのか
2025年は、中国とインドが外交関係を樹立してから75年の節目の年です。人口・経済規模ともに世界有数の二つの国が、長年にわたり関係を維持してきた意味は小さくありません。
この節目に合わせて、インドのシンクタンク「オブザーバー・リサーチ・ファウンデーション(Observer Research Foundation)」の研究・外交政策担当副総裁ハルシュ・パント氏が、中国・インド関係の行方について語りました。
「多国間の目標」で協力する余地
パント氏が強調するのは、中国とインドが「多国間の目標」を共有しうるという点です。ここでいう多国間とは、複数の国や地域が参加する国際的な枠組みやルールづくりのことを指します。
具体的には、次のような分野が挙げられます。
- 気候変動対策やエネルギー転換といった地球規模の環境問題
- 貧困削減やインフラ整備など、持続可能な開発目標(SDGs)に関わる課題
- パンデミック対応や医療体制の強化など、保健分野での連携
- 貿易ルールやデジタル経済のルールづくりへの参加
中国とインドはいずれも、巨大な人口と成長する市場を抱えるアジアの大国です。同時に、「途上国の利益を代弁する存在」として国際社会から期待される場面も増えています。そのため、多国間の交渉では、立場の違いを抱えつつも、共通の利益を見いだしやすい局面が少なくありません。
「競争」だけでなく「協調」のシナリオも
日本を含む多くの国際ニュースでは、中国・インド関係というと、国境をめぐる摩擦や安全保障上の緊張、ときに経済面での競争がクローズアップされがちです。
パント氏の議論は、そのような「競争」の側面を否定するものではありません。ただ、それだけで二国関係を語ってしまうと、国際社会が直面する課題に対して、中国とインドがどのように協力しうるのかという重要な視点を見落としてしまう、と注意を促します。
例えば、環境や保健、開発などの分野では、国境問題とは切り離して、個別のテーマごとに協力の枠組みをつくることも可能です。パント氏は、そうした「テーマ別」「課題別」の協力を積み重ねることが、多国間の目標を前に進めるうえで現実的だと見ています。
課題は山積、それでも「対話の回路」を開いておく
もちろん、中国とインドの間には、領土問題への認識の違いや、安全保障・産業政策をめぐる競争など、簡単には解決できない課題が存在します。国内の世論も、それぞれの政府に強硬な対応を求めることがあります。
それでも、多国間の課題は一国だけでは解決できません。パント氏は、大枠の対立が続いていても、専門家同士の対話やシンクタンク間の交流、国際会議の場など、「対話の回路」をできるだけ開き続けることが重要だと強調します。
そうした場を通じて、中国とインドが互いの優先課題や制約条件を理解し、現実的に協力できるテーマを探っていくこと。それが、多国間の目標を達成するうえでの第一歩になりうるという見方です。
日本の読者にとっての意味
日本から見ると、中国とインドは「遠くの大国」のように映るかもしれません。しかし、気候変動、エネルギー価格、サプライチェーンの安定、デジタル技術のルールづくりなど、多くのテーマで中国・インドの選択は日本の暮らしにも直結します。
中国とインドが対立一辺倒ではなく、多国間の場でどのように協力しうるのか。その可能性と限界を丁寧に見ていくことは、日本にとっての外交や経済戦略を考えるうえでも欠かせません。
外交関係樹立から75年を迎えた今後の中国・インド関係は、アジアと世界の秩序を左右する大きな要素になります。「競争か、協調か」という二択ではなく、「競争しながらも、どこまで協調できるのか」という発想でニュースを追いかけてみると、新しい景色が見えてくるかもしれません。
Reference(s):
Expert: China and India can collaborate to achieve multilateral goals
cgtn.com








