中国が新衛星「天平3A 02」を打ち上げ レーダー校正と宇宙環境観測を強化 video poster
中国が新たな人工衛星「天平3A 02」の打ち上げに成功しました。国際ニュースとしても注目される今回の中国の宇宙開発の動きは、地上レーダーの精度向上や低軌道の宇宙環境観測を強化するもので、今後の宇宙利用の安全性にも関わる重要な一歩です。
中国、太原衛星発射センターから新衛星を打ち上げ
中国は、北部の山西省にある太原衛星発射センターから、新しい人工衛星「天平3A 02」を現地時間の木曜日午前10時12分(北京時間)に打ち上げました。打ち上げには「長征6号」キャリアロケットが使用され、衛星は予定通りの軌道に投入されたとされています。
この打ち上げは、中国の長征ロケットシリーズにとって通算568回目の飛行ミッションとなりました。長年にわたって運用されてきたロケットシリーズが、今も継続的に利用されていることを示す数字でもあります。
天平3A 02はどんな役割を持つ衛星か
今回の新衛星「天平3A 02」は、一般的な通信衛星や地球観測衛星とは少し性格が異なります。主な目的は、地上に設置されたレーダーなどの観測機器を「正しく測れるようにするための基準」として機能することです。
具体的には、次のような役割が想定されています。
- 地上レーダー設備の校正(キャリブレーション)
- レーダー反射特性(レーダー断面積:RCS)の測定
- 地上光学機器の画像実験の支援
- 低軌道の宇宙環境の監視テスト
- 大気・宇宙環境の計測サービスの提供
- 衛星軌道予測モデルの補正支援
地上レーダーの「ものさし」になる衛星
レーダーは、電波を対象物に当てて、その跳ね返りを受信することで位置や速度を測る仕組みです。しかし、レーダーがどれだけ正確に測れているかを確認するには、「あらかじめ性質がよく分かっている目標物」が必要になります。
天平3A 02は、その「目標物」として使われます。衛星の形状や材質などにより、レーダーに対してどの程度反射するか(レーダー断面積:RCS)が事前に設計・把握されているため、地上レーダー側はこの衛星を追尾・観測することで、自分たちの装置の精度や特性をチェックし、補正することができます。
こうした校正作業が進むことで、航空機や船舶の監視、宇宙空間を飛ぶ物体の追跡など、さまざまな観測の信頼性が高まると考えられます。
宇宙環境と大気の観測にも活用
天平3A 02は、単なるレーダー用のターゲットにとどまらず、低軌道の宇宙環境や大気の状態を測定する役割も担います。
低軌道は、多くの人工衛星や宇宙ステーションが運用されている高度であり、大気のわずかな抵抗や宇宙環境の変化が、衛星軌道に影響を与えます。天平3A 02から得られる観測データは、次のような用途が想定されています。
- 宇宙空間の環境変動の把握
- 大気の密度や状態に関するデータ取得
- 衛星の軌道予測モデルの補正・精度向上
軌道予測モデルが精密になることで、衛星同士の接近や宇宙ごみによるリスクを事前に把握しやすくなり、運用の安全性向上につながるとみられます。
長征6号ロケットと568回目という数字の意味
今回の打ち上げに使われた「長征6号」キャリアロケットは、中国の長征ロケットシリーズの一つで、小型・中型衛星の打ち上げに活用されているロケットです。
長征シリーズとして568回目の飛行という数字は、ロケットシステム全体が長期にわたって継続利用されていることを物語っています。多くのミッションを重ねることで、設計や運用ノウハウが蓄積され、信頼性の向上にもつながっていると考えられます。
今回の打ち上げが示す中国の宇宙開発の方向性
今回の天平3A 02打ち上げは、派手な画像配信や通信サービスではなく、観測インフラの「裏側」を支える衛星に焦点が当てられている点が特徴的です。国際ニュースとして見ると、次のようなポイントが浮かび上がります。
- 宇宙開発の重心が「打ち上げ競争」から「観測精度・運用の高度化」にも広がっていること
- 地上レーダーと光学観測を組み合わせた総合的な監視体制の強化
- 低軌道の宇宙環境を継続的に観測し、安全な宇宙利用を支える基盤づくり
宇宙をめぐる動きは、軍事・経済・科学技術などさまざまな分野と結びついていますが、今回のような「計測・校正」に特化した衛星は、その基盤を静かに支える存在と言えます。
スマートフォンからニュースを追う私たちにとっては、直接目に見えにくい分野かもしれません。しかし、こうした精密な観測インフラの整備が進むことで、気象予測、通信、測位システムなど、日常生活を支える多くのサービスの安定性や信頼性が高まっていく可能性があります。
宇宙開発を「遠い話」としてではなく、社会インフラやテクノロジー全体の質を左右する要素として捉える視点が、今後ますます重要になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








