米エコノミストが警告 トランプ新関税が消費者と農家に打撃か video poster
米国のトランプ氏による新たな関税をめぐり、マウント・ホリヨーク大学の経済学教授キャサリン・シュマイザー・ランデ氏が、米国の消費者と農家に深刻な影響が出る可能性を警告しています。本稿では、その発言のポイントと、関税が物価や雇用に与えうる影響を整理します。
トランプ新関税、負担するのは誰か
関税は輸入品に上乗せされる税金で、表向きは「海外からお金を取る」政策として語られがちです。しかしランデ氏は、トランプ氏の新関税について「多くの税収を生むとしても、その裏で米国の消費者や生産者が負担を負わずにすむとは考えにくい」と指摘します。
同氏は、「物価はみんなにとって上がるでしょうし、おそらく雇用も失われます」とも述べ、関税のコストが最終的には国内に跳ね返ってくる構造を強調しました。
「みんなの物価が上がる」仕組み
ランデ氏の懸念の背景には、関税が企業行動を通じて広く物価に波及するという基本的なメカニズムがあります。
- 輸入コストの上昇:原材料や部品を海外から仕入れている企業は、関税分だけコストが増えます。
- 販売価格への転嫁:企業は利益を守るため、そのコストを製品価格に上乗せしやすくなります。
- 家計への影響:食料品、日用品、機械や車などの価格が上がれば、家計の負担は広く増えます。
結果として、「一部の輸入業者だけ」が負担するどころか、多くの消費者や生産者が少しずつ広く負担する形になりやすいのです。
なぜ農家も打撃を受けるのか
ランデ氏は、影響を受けるのは消費者だけでなく、生産者側、とくに農家も含まれると見ています。
農業は、肥料、飼料、農機具、燃料など、多くの資材を海外に依存しています。これらに関税がかかれば、農家の生産コストは上昇します。一方で、販売価格を大きく引き上げれば消費者離れにつながるため、農家の利益は圧迫されやすくなります。
さらに、関税をめぐる対立が広がると、貿易相手国が報復措置として農産物に関税を課すケースも一般的に想定されます。その場合、米国の農家はコスト上昇と輸出市場の縮小という二重の打撃を受けることになりかねません。
雇用への影響と「見えにくいコスト」
ランデ氏が「雇用も失われる」と予測するのは、関税によるコスト増が企業の投資や雇用計画を冷やす可能性があるためです。
- 採用の抑制:コスト増を吸収するため、新規採用を減らす企業が出る可能性があります。
- 生産拠点の見直し:コスト高を避けるため、生産を減らしたり移転したりする企業も出るかもしれません。
- 地域経済への波及:工場や農場の雇用が減れば、関連するサービス業にも影響が及びます。
こうした変化は、ニュースとして大きく取り上げられにくい一方で、地方都市や農村部など、特定の地域に集中的なダメージをもたらすことがあります。
日本や世界にとっての意味
米国の関税政策は、中国 や日本、その他の国・地域との貿易にも影響を与えうるため、国際ニュースとしても注目されています。グローバルなサプライチェーン(供給網)は米国市場と密接につながっており、米国でのコスト上昇や需要の変化は、世界各地の企業や労働者にも波及します。
日本の読者にとっては、次のような点をチェックしておくと状況を追いやすくなります。
- 米国の物価や雇用統計がどう変化するか
- 農業向けの支援策や救済策が打ち出されるか
- 主要な貿易相手国がどのような対応を取るか
「税収」か「負担増」か――続く関税をめぐる議論
トランプ氏の新関税をめぐる議論では、「米国の財政にプラス」「海外にコストを負担させる」といった主張が強調されることがあります。しかしランデ氏の発言は、そうした見方の陰で、米国の一般の消費者や農家、そして雇用がどのようなリスクにさらされるのかを改めて問い直すものと言えます。
関税が短期的にどのような政治的・経済的効果をもたらすのか、そしてそのコストを最終的に誰が負担するのか。今後も、データと専門家の分析を踏まえながら、冷静に見ていく必要がありそうです。
Reference(s):
Economist warns of tariff impact on U.S. consumers and farmers
cgtn.com








