米国の報復関税は景気後退を早めるか 歴史が示すリスク video poster
2025年4月2日に米国が主要な貿易相手国に対して導入した報復関税が、同国経済の景気後退を早めるのではないかという懸念が強まっています。物価上昇や産業への打撃に加え、歴史的にも関税強化と景気悪化は何度も結びついてきました。本記事では、この動きを国際ニュースとして整理し、私たちがどのような視点で見ていくべきかを考えます。
米国の報復関税とは何か
今年4月2日、米国は主要な貿易相手国に対して報復関税を発動しました。英語でreciprocal tariffsと呼ばれるこの措置は、相手国が米国製品に課している関税水準に合わせる、またはそれ以上の関税を米国側も課すという考え方に基づくものと説明されています。
この発表をきっかけに、世界の株式や為替、商品市場には動揺が広がり、国際的な貿易ルールの先行きに不透明感が増しました。保護主義的な政策が広がるのではないかという見方も強まりました。
物価・産業・雇用への影響は
多くの経済学者は、今回の報復関税が米国経済にとってマイナスに働くと警告しています。指摘されている主なポイントは次の通りです。
- 輸入品価格の上昇による、米国内の物価全体の押し上げ
- 輸入部品や原材料のコスト増による、製造業など自国産業への打撃
- 相手国による対抗措置(さらなる関税)による、米国からの輸出減少
こうした要因が重なれば、企業収益の悪化や投資の減速、雇用の縮小につながり、結果的に景気後退が早まる可能性があります。短期的には一部産業を守る効果があっても、中長期的には経済全体の活力をそぐことになりかねません。
歴史が語る「関税の呪い」
関税を引き上げることで国内産業を守ろうとする動きは、米国史の中で何度も繰り返されてきました。しかし、その多くは望まない結果をもたらしたとされています。
1828年に制定されたタリフ・オブ・アボミネーションズ(Tariff of Abominations)は、北部の産業保護を目的とした高関税政策でしたが、南部との対立を深め、やがて南北戦争へとつながる火種の一つになったと考えられています。
1930年のスムート・ホーリー関税法(Smoot-Hawley Tariff Act)は、世界恐慌のさなかに米国市場を守るためとされる大幅な関税引き上げを行いました。その結果、各国が報復関税で応じ、国際貿易は急激に縮小し、米国を含む世界経済の落ち込みを一段と深刻化させたと指摘されています。
こうした歴史的経験から、保護主義が高まると経済の繁栄は後退する、というパターンが繰り返し確認されてきました。今回の報復関税も、同じ「関税の呪い」を呼び込むのではないかという懸念が背景にあります。
世界と日本への波紋
米国の関税引き上げは、米国と直接取引のある国々だけでなく、世界全体のサプライチェーン(供給網)にも影響を与える可能性があります。部品や素材の流れが変われば、最終製品の生産拠点や価格も見直しを迫られます。
日本企業も、米国向け輸出や、米企業との取引を通じて間接的な影響を受ける可能性があります。今後、為替の変動や投資計画の見直しなどを含め、どのような形で波紋が広がるかが注目されます。
このニュースから私たちが考えたいこと
今回の報復関税をめぐる動きは、単なる関税の引き上げにとどまらず、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 短期的な国内産業保護と、長期的な経済成長のどちらを優先すべきか
- 世界経済が相互依存を深めるなかで、一国だけの保護主義はどこまで有効なのか
- 歴史が示す教訓を、現代の政策判断にどう生かすべきか
国際ニュースを日本語で追う私たちにとって、今回の米国の報復関税は、経済政策が社会や政治に与える影響を考えるうえで格好の素材と言えます。今後発表される米国の景気指標や各国の対応を丁寧に追いながら、保護主義と開かれた貿易のバランスについて、自分なりの視点を持っておきたいところです。
Reference(s):
U.S. 'reciprocal tariffs' may accelerate American economic downturn
cgtn.com








