ハーバード教授が警告 トランプ関税が米経済と世界景気に招くリスク video poster
トランプ政権の関税は、米国だけでなく世界経済にとってもどんな意味を持つのか。ハーバード大学の経済学者が、長期的なリスクとマクロ経済の観点から警鐘を鳴らしています。
ハーバード名誉教授が語る「トランプ関税」の問題点
ハーバード大学の経済学名誉教授であるドワイト・H・パーキンス氏は、CGTNのインタビューで、トランプ政権が進める関税政策について次のような見方を示しました。
- この関税政策は、長期的には米国経済に有害になりうる
- さらに、世界的な景気後退(グローバル・リセッション)を引き起こす可能性もある
- 政権、そしてトランプ氏自身がマクロ経済の仕組みを十分に理解していないように見える
- 現在の貿易政策は建設的とは言いがたい
パーキンス氏は、米国の内政だけでなく、国際経済全体を視野に入れた慎重な判断が必要だと訴えていると言えます。
なぜ関税が「長期的な打撃」になりうるのか
国際ニュースで繰り返し登場する関税政策は、一見すると自国産業を守るための分かりやすい手段に見えます。しかし、経済学の観点からは、次のような副作用が指摘されます。
- 輸入品価格の上昇:関税は輸入品に追加のコストを課すため、企業や消費者の負担増につながります。
- 報復関税の連鎖:一国が関税を引き上げれば、貿易相手国も対抗措置を取ることが多く、輸出産業も打撃を受けます。
- 投資とサプライチェーンの不確実性:企業は先行きが読めないと投資に慎重になり、生産体制や雇用にも影響が出やすくなります。
パーキンス氏が「長期的に米経済にとってマイナス」と見る背景には、こうした構造的な影響への懸念があります。
世界不況リスクという視点
パーキンス氏は、トランプ政権の関税が米国だけでなく、世界的な景気後退を招きかねないとも指摘しています。世界経済は、米国、欧州、アジアなどの主要な国と地域の貿易と投資で密接に結びついています。
例えば、米国と主要な貿易相手国の間で関税の応酬が続けば、以下のような連鎖が起こりやすくなります。
- 貿易量の縮小により、輸出に依存する企業の売上が減少
- 企業収益の悪化が、設備投資の抑制や雇用削減につながる
- 世界的に需要が弱まり、景気後退が広がる
特に、製造業やサプライチェーンが国境をまたいで展開されている現在の世界経済では、一国の関税政策が複数の国と地域に波及しやすい構造になっています。
マクロ経済への理解不足という指摘
パーキンス氏は、トランプ政権とトランプ氏自身がマクロ経済を十分に理解していないと批判しています。ここで言うマクロ経済とは、物価、雇用、成長率、貿易収支など、経済全体の動きを扱う分野です。
例えば、貿易赤字を「相手国に負けている証拠」と単純に捉える発想は、マクロ経済学的な説明とは必ずしも一致しません。経常収支は、貯蓄と投資の差、為替レート、景気循環など、複数の要因で決まるからです。
パーキンス氏が「建設的ではない」と評するのは、こうした複雑なマクロ経済のメカニズムを踏まえず、関税という単一の手段に過度に依存しているように見える点だと理解できます。
ニュースをどう読み解くか:3つの視点
今回の発言は、特定の政権への評価であると同時に、私たちが国際ニュースを読むときのヒントにもなります。ポイントを3つに整理すると次の通りです。
- 負担は誰が負うのか:関税は「相手国への圧力」と語られがちですが、実際には自国の企業や消費者もコストを負担します。
- 短期と長期を分けて考える:短期的な政治的成果と、長期的な経済成長への影響は必ずしも一致しません。
- 国内政治と国際経済の交差点:関税や貿易政策は、国内の支持層へのメッセージであると同時に、世界経済全体に影響を与える手段でもあります。
トランプ政権の関税をめぐる議論は、2025年の今も、国際ニュースと世界経済を理解するうえで重要なテーマの一つです。パーキンス氏のような専門家の視点を手がかりにしつつ、自分なりの問いを持ちながらニュースを追うことが、複雑な国際情勢を読み解く第一歩と言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com








