世界遺産の日に考える、西安が6つの遺産を守り生かす方法 video poster
毎年4月18日の世界遺産の日を前に、中国・西安がどのように世界遺産を守りながら現代の都市として共存しているのかが改めて注目されています。本記事では、6件のユネスコ世界遺産を抱える西安の取り組みを、日本の読者向けに分かりやすく整理します。
6つのユネスコ世界遺産を抱える古都・西安
西安は、ユネスコに登録された世界遺産を6件抱える都市です。長い歴史の中で育まれてきた知恵や文化が、この街のあちこちに息づいています。
世界遺産の日には、こうした遺産の価値を見直し、次の世代にどう渡していくかを考えるきっかけになります。西安には、世界中から数百万人規模の観光客が押し寄せており、保護と活用のバランスを取ることが大きな課題となっています。
テラコッタ・ウォリアーズの「病院」とは
西安の世界遺産といえば、まず思い浮かぶのが兵馬俑、いわゆるテラコッタ・ウォリアーズです。現地では、これらの遺構が丁寧に診断・修復される場所があり、しばしば兵馬俑の「病院」と呼ばれています。
そこでは、一体一体の俑のひび割れや色彩の変化などを細かく観察し、状態に応じた治療方針を決めていきます。温度や湿度を管理し、不要な刺激を与えないよう配慮しながら、長期的に保存するための作業が続けられています。
訪問客が目にする華やかな展示の裏側には、こうした見えない日常のメンテナンスがあります。現場を案内するXu Xinchen氏のリポートでは、専門家たちが遺産と向き合う落ち着いた姿が紹介されており、世界遺産を守る仕事が派手さだけではないことが伝わってきます。
西安版セントラルパーク、帝都の空気が漂う都市公園
西安には、ニューヨークのセントラルパークを思わせるような大規模な都市公園も整備されています。ただし、そこに漂うのは高層ビルの摩天楼ではなく、かつての帝都を思わせる雰囲気です。
歴史的な景観を残しながら、緑地や歩道、広場が整えられ、市民の日常と観光が同じ空間で共存しています。世界遺産に隣接するエリアを単に保存するだけでなく、誰もがくつろげる公共空間として開き、過去と現在をゆるやかにつなげる発想です。
こうした公園は、観光客にとっては撮影スポットであり、地域の人びとにとっては散歩や運動の場でもあります。歴史の重みを日常の風景の中で自然に感じられることが、西安版セントラルパークの特徴といえます。
観光客の「数百万」とどう向き合うか
西安の世界遺産には、世代を超えて伝えられてきた知恵や文化を見ようと、世界各地から数百万人規模の人びとが訪れます。その賑わいは経済にとって大きな支えである一方、遺産保護には負担にもなり得ます。
西安では、観光と保護を両立させるため、おおまかに次のような工夫が進められています。
- 遺構に近づき過ぎないよう、観覧ルートや観覧距離を設計する
- 一度に入場できる人数を管理し、混雑を緩和する
- 解説パネルやガイドを通じて、マナーと保護の重要性を丁寧に説明する
- 展示スペースと修復スペースを分け、保存作業に必要な静けさを確保する
観光客の数をむやみに増やすのではなく、1人ひとりの体験の質と、長期的な保存の両方を見据えたマネジメントが求められています。
「守る」だけでなく「生かす」世界遺産へ
西安の事例が示しているのは、世界遺産を単に保存しておくだけの箱に閉じ込めるのではなく、現代の都市生活と結びつけながら生かしていく方向性です。
兵馬俑の病院に象徴される専門的な保存技術と、帝都の空気が漂う都市公園のような開かれた空間づくり。この二つを組み合わせることで、過去の遺産は現在を生きる人びとの学びや憩いの場となり、未来へと受け継がれていきます。
世界各地の都市が観光と文化財保護のバランスに悩むなか、西安の取り組みは、アジアの国際ニュースとしても注目しておきたい一つのヒントと言えるでしょう。世界遺産の日をきっかけに、自分の住む街の身近な遺産との付き合い方も見直してみるタイミングかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








