国際ニュース:BYDが示すGBAの切り札 保護主義時代の生き残り戦略 video poster
保護主義の動きが強まるなか、中国の広東・香港・マカオ大湾区(GBA)を代表する企業BYDは、自社開発のコア技術とハンガリー・ブラジル工場、世界各地のパートナーシップを組み合わせて競争力を高めています。本記事では、この戦略が示す「保護主義時代の生き残り方」を読み解きます。
高まる保護主義と国際ビジネスの揺らぎ
2025年現在、多くの国や地域で保護主義的な動きが強まり、関税の引き上げや補助金政策、厳格な現地調達要件など、企業を取り巻くルールが変化しています。グローバルに事業を展開する企業は、「どの国で何を作り、どこから技術や部品を調達するのか」を改めて問われています。
こうした環境のなかで、とくに自動車・EV産業は各国の産業政策の焦点になりやすく、海外企業には警戒的な視線が向けられがちです。そのなかでBYDのような企業がどのように戦略を組み立てているのかは、国際ビジネス全体を考えるうえでも示唆に富んでいます。
GBA発・BYDが取る二つの軸
BYDは、GBAを拠点とする企業として、次の二つの軸で保護主義に対応していると考えられます。
- 自社開発のコア技術を磨き、「代わりのきかない存在」になる
- ハンガリーやブラジルなど海外に工場を構え、各国と協調しながらビジネスを進める
自社開発のコア技術がもたらす強み
自社でコア技術を開発している企業は、単なる組立メーカーにとどまらず、技術そのものを輸出することができます。保護主義が強まる局面では、価格競争だけでなく「どの技術が市場に不可欠か」が問われます。自社で開発した技術を持つことは、交渉力を高め、長期的な競争力の源泉になります。
BYDは、自社開発のコア技術を軸に、パートナー企業と連携しながら各地の市場に合わせた製品やサービスを提供しています。これは、単独で海外に進出するのではなく、「技術+連携」という形で現地との共創を図るアプローチだといえます。
ハンガリーとブラジルに工場を構える意味
BYDがハンガリーやブラジルに工場を持つことは、単なる生産能力の拡大にとどまりません。現地に生産拠点を置くことで、輸送コストや為替リスクを抑えつつ、現地のニーズに合わせた製品供給がしやすくなります。
また、工場建設や運営を通じて現地に雇用や投資をもたらすことは、受け入れ側との信頼関係を築くうえでも重要です。保護主義的な議論が高まる場面でも、「地域経済に貢献するパートナー」として位置づけられれば、長期的な事業の安定につながります。
保護主義時代に見える「自前+連携」モデル
BYDとそのパートナー企業の動きからは、保護主義を単なる障害ではなく、「ビジネスモデルを再設計するきっかけ」として捉える姿勢が見えてきます。
- 自社で技術を開発し、コアとなる部分は他社に依存しない
- 一方で、生産や販売では各国・地域のパートナーと組み、現地のルールやニーズに合わせる
- 技術と生産を分散させることで、単一の国や地域の政策変更に左右されにくい体制をつくる
なぜ現地とのつながりが重要なのか
保護主義が強まる状況では、「国外から完成品を持ち込むだけ」のビジネスモデルは批判の対象になりやすくなります。これに対し、現地で生産し、現地のサプライヤーや人材とともに価値を生み出すモデルは、「内外の対立」ではなく「共創」として受け止められやすくなります。
BYDが海外工場とパートナーシップを組み合わせる戦略は、こうした共創型のモデルを体現したものだと考えられます。
日本の読者・企業への示唆
日本企業にとっても、保護主義は他人事ではありません。サプライチェーンが世界に広がるなかで、どの国や地域でどの工程を担うかは、もはやコストだけでは決められなくなっています。
GBA発の企業であるBYDの事例は、次のような問いを日本の企業や読者に投げかけています。
- 自社にとっての「コア技術」とは何か。それを本当に自前で磨けているか
- 海外市場で、現地とどのような形でパートナーシップを築けるか
- 単にリスクを避けるのではなく、ルールの変化を成長のチャンスに変えられるか
保護主義の波が高まるほど、「どの国の企業か」だけでなく、「どのように世界と関わる企業か」が問われる時代になりつつあります。BYDとそのパートナーの取り組みは、2025年の国際ビジネスを読み解くうえで、一つの重要なヒントを与えてくれます。
Reference(s):
GBA's Trump Card: What do BYD and partners say about protectionism?
cgtn.com








