CNNザカリア氏、トランプ政権の人材政策に警鐘 米科学力低下のリスクとは video poster
トランプ政権の人材・移民政策が、アメリカの科学的な優位を揺るがしかねない――。CNNの国際解説者フェリード・ザカリア氏が、こうした懸念を強く示しました。本稿では、その発言のポイントと、国際ニュースとしての意味を整理します。
CNNザカリア氏が警告する「科学立国アメリカ」の危機
ザカリア氏は、ドナルド・トランプ米大統領(当時)の政権が進める人材政策を、「アメリカから世界の科学者を追い出してしまう危険な流れ」だと批判しました。長年、世界中から優秀な研究者を集めてきたアメリカが、自ら「頭脳流出」を引き起こしているという指摘です。
彼によれば、こうした政策は単なる移民政策の変更ではなく、アメリカが築いてきた科学技術と研究環境の土台そのものを揺るがすものだといいます。
留学生・研究者に広がる不安
ザカリア氏が特に問題視したのは、アメリカで学ぶ留学生や若手研究者に向けられた厳しい視線です。彼は、次のような状況が起きていると説明しました。
- アメリカで学ぶ留学生が、退去処分(強制送還)のリスクにさらされていること
- 中国出身の大学院生や研究者が、米連邦捜査局(FBI)による厳しい監視と査問を受けていること
- 一方で、中国側は研究環境や待遇を含む魅力的な条件を用意し、海外で学ぶ人材を呼び戻そうとしていること
ザカリア氏は、こうした環境の変化が「アメリカで学び、研究を続けたい」と考える人たちの意欲をそいでいると警告しました。
Nature誌調査「75%が米国外への移住を検討」
ザカリア氏は、科学誌『Nature(ネイチャー)』が実施した調査結果も引用しました。それによると、調査に回答した1,600人超のアメリカの研究者のうち、実に75%が「アメリカを離れることを検討している」と答えたといいます。
世界トップレベルの研究者を引きつける力が弱まれば、研究プロジェクトや大学、企業の研究開発体制にも大きな影響が出ます。ザカリア氏は、この数字を「科学立国としてのアメリカの魅力に、深刻な疑問符が付き始めているサイン」だと受け止めています。
「100年の優位が、100日で揺らぐ」
アメリカは20世紀を通じて、物理学、医学、情報技術など多くの分野で世界をリードしてきました。ザカリア氏は、そうした「100年かけて築いてきた科学の優位」が、トランプ政権発足からわずか100日ほどの間に「解体されつつある」とまで表現しました。
この強い言い回しの背景には、次のような危機感があります。
- 科学技術の競争は、設備だけでなく「人材」と「開かれた環境」で決まること
- 一度、優秀な人材が他国に移ってしまえば、短期間で呼び戻すことは難しいこと
- 政策による「萎縮効果」が広がれば、まだ影響を受けていない分野にも不安が波及すること
ザカリア氏は、こうした動きが積み重なれば、アメリカの科学的なリーダーシップが長期的に弱まりかねないと警鐘を鳴らしました。
2025年のいま、私たちは何を考えるべきか
ザカリア氏の主張は、アメリカという一つの国の問題に見えますが、「優秀な人材をどう受け入れ、どう活かすか」という問いは、どの社会にも共通するテーマです。2025年のいま、日本やアジアで学び働く私たちにとっても無関係ではありません。
国境を越えて学び、働く人が増えるほど、
- 研究やイノベーションの現場では、多様なバックグラウンドを持つ人材が重要になること
- 安全保障や経済安全保障とのバランスを取りながらも、人材の自由な往来をどう守るかが問われること
- 一国の政策が、他国の大学や企業の人材戦略にも波及すること
といった課題が、より鮮明になります。
「どこで働き、どこで学ぶか」を選ぶ時代に
ザカリア氏の警告は、アメリカの科学政策を見るためだけのものではなく、「自分ならどの国・どの地域で学び、研究し、働きたいか」という問いを、私たち一人ひとりに投げかけています。
国際ニュースを日本語で追いながら、各国の政策や社会の受け入れ方を比較してみると、自分のキャリアや留学先、ビジネスの展開先を考えるヒントにもなります。アメリカの科学力をめぐる議論は、同時に、グローバルな人材の未来を考えるための出発点でもあるのかもしれません。
Reference(s):
CNN's Zakaria warns U.S. risks losing scientific edge under Trump
cgtn.com








