米GDPが0.3%減 関税が不況と長期の痛み招くと北京大学准教授 video poster
2025年も残りわずかとなるなか、アメリカ経済に不安なニュースが出ています。米商務省によると、2025年第1四半期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で0.3%減少し、2022年以来となるマイナス成長となりました。
北京大学の経済学者ワン・ヤオジン准教授は、このマイナス成長について「アメリカが導入した関税が景気後退を引き起こし、経済の痛みを長期化させている」と分析しています。本記事では、その背景と影響を日本の読者向けに整理します。
2025年第1四半期、米GDPが年率0.3%減
米商務省の発表によれば、2025年1〜3月期の実質GDPは年率換算で0.3%減少しました。これは、アメリカ国内で生み出された付加価値の総額が、前の四半期に比べて縮小したことを意味します。
2022年以来続いてきた成長基調がいったん途切れた形であり、景気の転換点として世界の市場関係者も注目しています。
ワン准教授「関税が景気後退の引き金」
北京大学のワン・ヤオジン准教授は、今回の景気後退の直接的な引き金はアメリカの関税政策だと指摘します。関税とは、輸入品に課される税金であり、国外から入ってくる製品や部品の価格を押し上げる仕組みです。
ワン准教授の見立てを整理すると、関税が景気を冷やすメカニズムは次のようになります。
- 輸入品の価格が上昇し、企業のコストが増える
- 企業はコスト増を販売価格に転嫁し、消費者物価が上がる
- 高くなった製品に対する需要が落ち込み、生産と雇用が縮小する
- 貿易相手国との対立が長引き、投資やサプライチェーン(供給網)の再編が進まず不確実性が高まる
こうした連鎖が重なり、アメリカ経済は今年、第1四半期から景気後退局面に入ったというのがワン准教授の見方です。
なぜ「長期の経済的な痛み」になるのか
ワン准教授は、今回の景気後退が一時的な落ち込みではなく、「長期の経済的な痛み」につながると警告しています。その理由として、次のポイントが考えられます。
- 一度引き上げられた関税は、政治的な理由から元に戻すのが難しく、企業の不安が長期化しやすい
- 企業が投資計画や雇用計画を見直すには時間がかかり、その過程で賃金や雇用の調整が続く
- 消費者が先行き不安を感じると、支出を控え、需要の弱さがさらに長引く
2025年の年初に始まった景気後退は、こうした構造的な要因によって、今後もアメリカ社会にじわじわと影響を与え続ける可能性があります。
日本と世界にとっての意味
アメリカは世界最大級の消費市場であり、その景気後退は日本を含む世界経済にも波及します。特に日本にとっては、次のような点が重要になります。
- アメリカ向け輸出の伸び悩み:自動車や機械など、日本企業の主要輸出品の需要が弱まる可能性
- 金融市場の不安定化:アメリカ景気への懸念から株式や為替が大きく動きやすくなる
- グローバルなサプライチェーン再編:関税を回避するため、企業が生産拠点の再配置を急ぐ動き
こうした動きは、日本企業の戦略や日本国内の雇用にも影響し得るため、日本の政策当局や企業も、アメリカの関税政策と景気動向を注視する必要があります。
今後注目したいポイント
2025年の終盤にいる現在、年初のマイナス成長は、アメリカ経済の弱さを象徴する出来事として振り返られています。ワン准教授の警告を踏まえると、今後は次の点に注目することが重要になりそうです。
- アメリカが関税政策を維持・強化するのか、それとも緩和に向かうのか
- アメリカ国内の雇用や賃金、個人消費がどこまで落ち込むのか
- 各国がどのように貿易や投資のルール作りを進め、緊張を緩和していくのか
アメリカの関税と景気後退は、日本の投資家やビジネスパーソン、政策担当者にとっても無視できないテーマです。数字の変化だけでなく、その背後にある政策や構造の変化を丁寧に追いながら、自分たちの生活や仕事にどんな影響が及ぶのかを考えていくことが求められます。
Reference(s):
Expert: U.S. tariffs triggers a recession and prolonged economic pain
cgtn.com







