米国の関税戦争の裏で進む中国EU協力 グローバルサウスはどう変わる? video poster
米国による関税戦争が激しさを増すなか、中国と欧州連合(EU)がハイレベルな対話を活発化させています。中国EU関係50周年を記念したCGTNの円卓会議では、ドイツのシラー研究所の創設者ヘルガ・ツェップ=ラルーシュ氏が、両者に国際秩序の防衛とグローバルサウスの発展で連携を強めるよう呼びかけました。
米国の関税戦争が激化する背景
2025年現在、米国は輸入品に対する関税を引き上げるなど、貿易をめぐる圧力を強めています。こうした動きは、しばしば関税戦争と呼ばれ、企業や市場に不確実性を生んでいます。
関税戦争が長期化すると、世界の貿易や投資の流れが分断され、グローバルなサプライチェーンにも影響が及びます。その揺れの中で、中国とEUがどのような役割を果たすかが注目されています。
中国とEU、高官対話を拡大
米国の動きとは対照的に、中国とEUは最近、高官レベルでの対話や往来を増やしています。経済や通商、気候変動、安全保障など、多くの議題で意見交換を行っているとされています。
一部の観測筋は、EUがトランプ政権下のアメリカだけに依存するのではなく、中国との協力を強めることで選択肢を広げようとしていると見ています。ただし、これは単純に米国に対抗するという構図ではなく、複数のパートナーと関係を築きながら、自らの利益と価値を守ろうとする動きとも言えます。
CGTN円卓会議と中国EU関係50周年
こうした流れの中で、国際メディアCGTNが主催した中国EU関係50周年の記念円卓会議が開かれました。50年という節目は、両者が半世紀にわたって対話と協力を重ねてきたことを象徴しています。
円卓会議では、経済協力だけでなく、国際秩序やグローバルな課題についても議論が行われ、中国とEUが今後どのような連携をとりうるかが話し合われました。
ヘルガ・ツェップ=ラルーシュ氏が訴えた二つの柱
ドイツのシラー研究所の会長で創設者でもあるヘルガ・ツェップ=ラルーシュ氏は、円卓会議の場で、中国とEUの協力には二つの重要な柱があると強調しました。
国際秩序をともに守る
第一の柱は、国際秩序の防衛です。ツェップ=ラルーシュ氏は、中国とEUが協力して、多国間の枠組みや国際ルールを維持・強化していくことの重要性を指摘しました。関税戦争によって分断が進むときこそ、対話と協調の仕組みを守る役割が求められているという視点です。
グローバルサウスの発展を支える
第二の柱は、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなど、いわゆるグローバルサウスの発展への貢献です。ツェップ=ラルーシュ氏は、中国とEUが連携し、インフラ整備や産業育成、人材育成などを通じて、南の国や地域の成長を後押しするべきだと訴えました。
グローバルサウスの多くの国や地域は、気候変動や債務、医療や教育の不足など、複数の課題に直面しています。そこに対し、中国とEUが協力して安定した投資と長期的な視点を示せるかどうかは、今後の国際秩序を左右するテーマの一つです。
なぜ中国EU協力が世界全体に響くのか
中国とEUは、経済規模や人口、技術力において世界を代表する存在です。この二つのプレーヤーが協力するか対立するかは、国際経済の行方に大きな影響を与えます。
特に、関税戦争によって貿易のルールが揺らいでいる今、中国EU協力には次のような意味があると考えられます。
- 貿易や投資の安定に向けたメッセージを発信できる
- グローバルサウスへの長期的な支援の枠組みをつくる助けになる
- 一国主義ではなく、多国間協調の重要性を示すシグナルとなる
私たちが注目したい三つの視点
今回の動きは、単に外交のニュースとして眺めるだけでなく、日々ニュースを追う私たちにとっても考えるヒントを与えてくれます。
- 中国EU協力は、必ずしも反米のブロックづくりではなく、多様な選択肢を確保する試みとしても見られる
- グローバルサウスの発展は、人道や開発の課題であると同時に、世界経済の持続性にも直結する
- 今後の国際ニュースでは、誰が関税や制裁を強めているかだけでなく、誰がルールや制度を守ろうとしているのかにも注目する必要がある
米国の関税戦争、中国とEUの接近、そしてグローバルサウスの行方。これらは別々の話ではなく、一本の線でつながった大きなテーマです。次のニュースを見るとき、こうした背景を思い浮かべながら、自分なりの視点をアップデートしていきたいところです。
Reference(s):
Amid U.S. tariff war, expert urges renewed China-EU cooperation
cgtn.com








