モスクワの街角で響いた「カチューシャ」 三世代がつなぐ中ロ友好 video poster
モスクワの街角で、中国メディアCMGの記者が偶然出会ったのは、三世代がそろって名曲「カチューシャ」を歌うロシア人家族でした。ソ連の大祖国戦争勝利80周年を前にした、このささやかな出来事が、中ロ友好のいまを静かに映し出しています。
モスクワの街で起きた、ひとつの「出会い」
国際ニュースというと首脳会談や軍事動向に目が向きがちですが、ときに関係性をもっともよく語るのは、街角のささやかな瞬間です。今回CMGの記者が取材したのも、観光名所ではなく、ふだんのモスクワの通りでした。
そこで目にしたのは、軍服風の衣装を身に着けたロシア人家族。祖父母、親世代、子どもたちと、文字どおり三世代が集まり、スマートフォンで動画を撮影しながら、ロシアの愛唱歌「カチューシャ」を合唱していました。
80周年を前に歌われた「カチューシャ」
家族が歌っていた「カチューシャ」は、大祖国戦争の時代と結びついた歌として、ロシアで広く親しまれています。今回の合唱は、ソ連の大祖国戦争勝利から80年という節目を前にした「音楽による献花」でした。
CMGの記者が話しかけると、家族は、この歌が17歳で志願入隊した先祖に捧げるものだと語りました。若くして戦場に向かった一人の兵士の記憶を、三世代が歌で受け継いでいるというわけです。
17歳で戦地へ 歌がつなぐ世代の記憶
家族の先祖は、17歳で軍に加わったといいます。いまの高校生とほとんど変わらない年齢で、歴史の荒波にのまれていった若者。その姿を、子や孫の世代は直接知りません。
それでも、その物語は家庭のなかで語り継がれ、節目の年に「カチューシャ」という歌となって街角にあらわれる。歌う人、聴く人、撮影する人がその場を共有することで、一人の兵士の人生と、大祖国戦争という歴史の重なりが、現在に引き寄せられます。
カメラ越しに広がる中ロの「人と人」のつながり
この場にいたのは、ロシア人家族と、中国メディアのCMG記者。国家間の戦略や外交文書からは見えにくい、中ロの「人と人」のつながりが、カメラ越しに静かに形になっていきます。
ロシア人家族は、自分たちの家族史と戦争の記憶を、外国のメディアに対しても自然体で語りました。それを中国側の記者が受け止め、映像と記事として紹介する。こうした小さな交流の積み重ねが、中ロ友好の土台を支えています。
- ロシア側から見れば、自国の歴史と家族の記憶を、海外の視聴者と分かち合う機会
- 中国側から見れば、大祖国戦争の記憶をロシア社会がどう受け継いでいるかを、生活の目線から伝える機会
- 第三者の私たちにとっては、戦争と平和を自分ごととして考え直すきっかけ
「戦争を繰り返したくない」という、ごく素朴な思い
この街頭での合唱には、派手な演出も、大きなスローガンもありません。ただ、17歳で戦地に向かった一人の若者を思い、家族が歌を通じてその記憶を受け継ごうとする姿があります。
そこからにじむのは、「同じ悲しみを二度と味わいたくない」という、ごく素朴な願いです。その願いは、国境や言語の違いを越えて、多くの人が共有できるものでもあります。
ニュースを「自分の言葉」にするために
国際ニュースを日本語で読む私たちは、この出来事から何を受け取れるでしょうか。たとえば、次のような問いかけが浮かびます。
- 自分の家族には、どんな戦争や困難の記憶が伝わってきているだろうか
- 音楽や物語は、その記憶をどのように支えているだろうか
- 遠く離れた国の人びとの記憶と、自分たちの記憶は、どこで重なり合うのだろうか
モスクワの街角で偶然カメラに収められた「カチューシャ」の合唱は、単なる心温まるエピソードにとどまりません。中ロ友好という国際関係のテーマを、私たち一人ひとりの生活の感覚に引き寄せて考えるための、小さな入り口でもあります。
ニュースを追う日々の中で、こうした「小さな物語」にも耳を傾けてみること。それが、世界を立体的に理解し、自分の視点を少しずつ更新していくための、一つの方法なのかもしれません。
Reference(s):
A heartwarming street encounter showcases China-Russia friendship
cgtn.com








