ポルトガルとマカオが架け橋に 中国EU関係50年とSino-Portuguese協力 video poster
ポルトガルとマカオがつなぐ中国EU関係50年 専門家が語る「二つの架け橋」
中国とEUの外交関係が樹立から50年を迎えた2025年、両者の関係をどのように次のステージへと押し上げるかが注目されています。その中で、ポルトガルと中国のマカオが「中国とEUをつなぐ架け橋」だと指摘するのが、マカオ城市大学ビジネス学部ディーンであり、Sino-Portugueseスタートアップコンペ「929 Challenge」の共同創設者でもあるジョゼ・アルヴェス氏です。
インタビューでアルヴェス氏は、Sino-Portuguese協力が中国とEUの関係を補完し、一段と強化するための戦略的な役割を果たしうると語りました。本記事では、その視点を手がかりに、なぜポルトガルとマカオが中国EU関係において重要なのか、その背景と今後の可能性を整理します。
中国とEU、外交関係50年という節目
2025年は、中国とEUが外交関係を樹立してから50年という節目の年です。経済、気候変動、デジタル技術など、両者の協力分野は広がり続けていますが、価値観や経済安全保障をめぐる議論も増え、関係は複雑さを増しています。
こうした中で、対話と協力の「現場」を具体的に作り出す国や地域の役割が重要になっています。アルヴェス氏は、ポルトガルとマカオこそが、その役割を果たしうる存在だとみています。
ポルトガル:EUの中にある中国との「窓口」
アルヴェス氏がまず挙げるのが、EUの一員でありつつ、中国との関係構築に長い経験を持つポルトガルです。地理的には欧州の西の端に位置しながら、歴史的には海を通じてアジアやアフリカと早くからつながってきた国でもあります。
中国EU関係という大きな枠組みの中で、ポルトガルは次のような点で「窓口」となりうると考えられます。
- 中国との二国間協力を積み重ねてきた経験
- EUの制度や市場に精通した企業・専門家の存在
- ポルトガル語圏とのネットワークを活かしたビジネス展開
これらは、単に中国とポルトガルの関係にとどまらず、中国とEU全体をつなぐ際の「中継点」として機能しうる資産と言えます。
マカオ:Sino-Portuguese協力の「実験場」
もう一つの鍵となる場所が、中国のマカオです。アルヴェス氏は、マカオが中国とポルトガル語圏を結びつけるユニークな場であり、中国とEUの関係を補完する役割を果たしうるとみています。
マカオは、長年にわたりポルトガルと深い関係を持ってきた地域であり、中国とポルトガル語圏の文化やビジネスの両方に通じた人材が集まりやすい環境にあります。そのため、次のような特徴を持つ「実験場」として注目されています。
- 中国とポルトガル語圏双方のビジネス慣行を理解する人材の集積
- 法制度や商取引におけるSino-Portuguese協力のノウハウ
- アジアと欧州の時間帯・文化の違いを調整しやすいハブ機能
こうした特性により、マカオでの試みが、中国とEUの関係を現場レベルで支えるモデルケースとなる可能性があります。
929 Challenge:スタートアップがつくる新しい架け橋
アルヴェス氏が共同創設者を務める「929 Challenge」は、Sino-Portugueseスタートアップコンペとして、中国とポルトガル語圏の連携をビジネスの現場から後押しする取り組みです。
詳細なルールや規模はさまざまですが、スタートアップコンペという形式には、いくつかの共通した狙いがあります。
- 若い起業家に、中国とポルトガル語圏をまたぐビジネスアイデアづくりを促す
- 投資家や企業に、Sino-Portuguese協力の具体的な案件を提示する場を提供する
- ポルトガル、マカオ、中国、そしてEUの関係者が一堂に会し、信頼関係を築く機会を作る
こうした草の根のイノベーションが積み上がることで、中国とEUの50年の関係が、より実務的で持続可能なかたちへとアップデートされていくことが期待されます。
中国EU関係をめぐる「静かな競争」と「協力」のバランス
国際ニュースとしての中国EU関係は、ともすれば関税や規制、地政学的な対立といった「競争」の側面に注目が集まりがちです。一方で、ポルトガルやマカオのように、現場レベルで協力を積み重ねようとする動きも着実に存在します。
アルヴェス氏の視点から浮かび上がるのは、次のようなバランスの必要性です。
- マクロな外交・安全保障の議論と、ミクロなビジネス・人材交流をどう結びつけるか
- 短期的な利益だけでなく、長期的な信頼とルールづくりをどう両立させるか
- 対立が報じられる中でも、協力の余地を具体的なプロジェクトとして可視化できるか
ポルトガルとマカオを舞台にしたSino-Portuguese協力は、このバランスを探る一つの実験でもあります。
日本の読者への示唆:小さな「ハブ」が国際関係を動かす
日本から見ると、中国とEUという二つの大きなプレーヤーの関係は、遠い世界の出来事のように感じられるかもしれません。しかし、アルヴェス氏が語るポルトガルとマカオの役割は、「規模の小さな国や地域でも、国際関係におけるハブになりうる」という点で示唆に富んでいます。
たとえば、日本企業やスタートアップにとっても、
- ポルトガルやマカオを経由して、中国とEUの両市場を視野に入れる戦略
- Sino-Portuguese協力のスキームを応用し、日本と他地域をつなぐ独自のコンペや交流プラットフォームを設計する発想
といった考え方は、今後ますます重要になっていくかもしれません。
これからの50年に向けて
中国とEUの外交関係は50年という節目を迎えていますが、その先の50年をどう形づくるかは、これからの選択にかかっています。アルヴェス氏が強調するように、ポルトガルとマカオという「二つの架け橋」を活用したSino-Portuguese協力は、その中で重要なピースの一つになりそうです。
対立か協力か、という二者択一ではなく、小さなプロジェクトやスタートアップ、大学や都市レベルのネットワークから、静かに関係を積み重ねていく。その具体例として、ポルトガルとマカオの役割をどう評価し、活かしていくかが、今後の中国EU関係を考える上での一つの鍵になりそうです。
Reference(s):
Portugal and China's Macao bridges for Sino-EU ties, says expert
cgtn.com








