中国・成都のライブハウス 若手起業家が動かすナイトタイムエコノミー video poster
CGTNのシリーズ「Start. Up. Spend.」第2話は、中国南西部の都市・成都で、ライブハウスがどのようにナイトタイムエコノミーを動かしているかを追いかけています。若い起業家たちがつくる小さな音楽空間が、なぜ夜の消費の「心臓」になりつつあるのか。その背景を、日本の読者向けにかみ砕いてみます。
CGTN「Start. Up. Spend.」が映す中国の消費トレンド
CGTNの「Start. Up. Spend.」は、若い中国の起業家が、小さくて革新的なビジネスを通じてどのように消費のあり方を変えているのかを記録するシリーズです。2025年現在、中国本土では、巨大モールや大手チェーンだけでなく、個性の強い小規模店舗が都市の魅力を左右する存在になっています。
第2話で取り上げられているのが、成都のライブハウスです。番組では、CGTNの呉蘊柳(Wu Yunliu)記者が現地を訪ね、夜の時間帯に音楽とビジネスがどのように結びついているのかを取材しています。
成都のライブハウスはなぜ「夜の心臓」なのか
中国南西部の都市・成都では、ライブハウスが夜の顔になりつつあります。バンドの生演奏が鳴り始める夕方から深夜にかけて、人の流れとお金の流れが集中し、周辺の飲食店や移動手段も含めたナイトタイムエコノミーが動き出します。
番組によれば、こうしたライブハウスの多くは、若い世代の起業家が企画・運営しています。大きな資本よりも、音楽への情熱やコミュニティづくりの感覚が重視され、観客との距離が近い親密なギグが、夜の消費を生み出す原動力になっています。
親密なギグが生むエモーショナルなつながり
ステージと客席の距離が近いライブハウスでは、観客は演奏をただ「消費」するだけでなく、演奏者と会話したり、他の観客とつながったりしながら、その場の空気を共有します。番組では、こうした感情のゆらぎや一体感が、リピート来店や友人への口コミを生み、結果として継続的な売り上げにつながっている様子が描かれています。
ここで重要なのは、消費の中心にモノではなく体験が置かれていることです。音楽をきっかけに生まれるエモーショナルなつながりが、ドリンクやフード、グッズ購入といった周辺の支出を自然に後押ししているのです。
ビート、ブランド、ビジネスが交差する場
第2話のサブタイトルは「Beats, brands and business」。ビート(音楽)を軸に、ブランドづくりとビジネスが交差する様子がキーワードに込められています。成都のライブハウスでは、内装の世界観を統一したり、オリジナルロゴ入りのドリンクやTシャツを用意したりと、小さな空間全体を一つのブランドとして設計する工夫が紹介されています。
若い起業家たちは、SNSでの発信やオンライン決済といったデジタルツールも使いこなしながら、来場者との関係を継続的に育てています。大規模な宣伝よりも、共感してくれる少数のファンに深く刺さるブランドをつくることが、ナイトタイムエコノミーの中で安定した収益を生む戦略になっているのです。
日本の読者にとってのヒント
日本にもライブハウス文化は根付いていますが、成都の事例は、夜の時間帯のビジネスを街ぐるみのエコシステムとして捉える視点を示しているように見えます。音楽イベントを中心に、人の移動、飲食、物販、オンライン配信などがつながることで、都市の夜がより豊かな経済活動の場になり得るという発想です。
同時に、若い起業家が自分の好きなカルチャーを出発点にビジネスを組み立てている点も印象的です。必ずしも大きく拡大することだけを目指すのではなく、小さく始めてコミュニティを丁寧に育てる姿勢は、日本で何かを始めたいと考えている人にとっても参考になるかもしれません。
2025年の「夜」をどう楽しむか
2025年の今、世界の多くの都市で、日中のショッピングだけでなく、夜の時間をどう魅力的にデザインするかが問われています。CGTNの「Start. Up. Spend.」が取り上げた成都のライブハウスは、その問いに対する中国本土からの一つの答えと言えるでしょう。
モノから体験へ、所有から共有へ──そんなキーワードで語られることの多い現代の消費ですが、音楽を媒介に人と人が出会う場づくりは、その具体的なかたちの一つです。あなたなら、自分の街のナイトタイムエコノミーをどんなふうに変えてみたいでしょうか。成都の小さなライブハウスの物語は、そんな想像力を静かに刺激してくれます。
Reference(s):
cgtn.com








