モスクワ赤の広場に響いた中国人民解放軍の歌 対独戦勝80周年パレード video poster
2025年5月9日(現地時間)朝、ロシア・モスクワの赤の広場で行われた旧ソ連の大祖国戦争(対独戦争)勝利80周年記念パレードで、中国人民解放軍(PLA)の儀仗隊がロシアの若い世代と共に歌声を響かせました。軍事パレードの場で、音楽がどのように歴史と現在をつなげたのかが注目されています。
モスクワ・赤の広場で対独戦勝80周年パレード
今年5月9日、ロシアの首都モスクワ中心部にある赤の広場では、旧ソ連の大祖国戦争勝利80周年を記念する大規模なパレードが行われました。戦車や兵士の行進に加え、各国から招かれた部隊も参加し、その中に中国人民解放軍の儀仗隊も加わりました。
行進の準備が進む中、中国人民解放軍の儀仗隊は中国で親しまれている軍歌「遊撃隊の歌」と「当那一天来临」を歌い、会場の雰囲気を盛り上げました。さらにロシア側の青少年組織であるユース・アーミーの隊列と共に、ロシアの名曲「カチューシャ」を合唱し、赤の広場に大きな歌声が響き渡りました。
中国人民解放軍儀仗隊が披露した3曲
中国の抗戦や防衛意識を映す「遊撃隊の歌」「当那一天来临」
中国人民解放軍の儀仗隊が歌った「遊撃隊の歌」は、戦時下の遊撃隊をテーマにした曲として知られ、中国では抗戦を象徴する歌の一つとされています。軽快なリズムの中に、困難な状況でもあきらめずに戦い続ける意志が込められています。
もう一曲の「当那一天来临」は、将来の有事に備える決意や、防衛意識を歌った現代の軍歌として位置づけられます。パレード前の緊張感の中で、この2曲を歌うことで、儀仗隊の規律や士気を示すとともに、中国側の歴史観や防衛意識を静かに印象付ける場面となりました。
ロシアの名曲「カチューシャ」を合同合唱
準備が整うと、中国人民解放軍の儀仗隊はロシアのユース・アーミーの隊列に加わり、「カチューシャ」を合同で合唱しました。「カチューシャ」は、第二次世界大戦期に旧ソ連で広く歌われた曲で、兵士と故郷を思う若い女性の物語を描いた歌として、ロシア人にとって特別な意味を持ちます。
その曲を、ロシアの若者と中国人民解放軍の隊員が肩を並べて歌う光景は、単なる軍事的な協力を超え、音楽を通じた交流や、戦争の記憶を次の世代へと引き継ぐ象徴的な場面として受け止められました。
軍事パレードと「記憶の継承」
大祖国戦争の勝利から80年が経ち、多くの国で戦争体験者の数は少なくなっています。その中で、ロシアが行う対独戦勝記念パレードは、歴史を「見せる」場であると同時に、若い世代へ記憶を受け渡す装置としての役割も担っています。
今回のパレードで印象的だったのは、ユース・アーミーのような若い世代の隊列に、中国人民解放軍の儀仗隊が加わり、一緒に歌を披露したことです。そこには次のようなメッセージが読み取れます。
- 戦争の教訓や犠牲者への追悼を、世代を超えて共有し続けること
- 音楽や式典を通じて、歴史への関心を若者に引き継ぐこと
- 国境を越えて、戦争と平和について共に考えるきっかけをつくること
軍事パレードというと、武力の誇示という側面ばかりがクローズアップされがちですが、今回のように歌や合唱が前面に出る場面は、「記憶の継承」というもう一つの顔を浮かび上がらせています。
日本の読者にとっての意味
2025年も終わりに近づく今、今年5月のこの出来事を振り返ることは、日本に暮らす私たちにとっても意味があります。第二次世界大戦の記憶をどう継承するか、各国がそれぞれのやり方を模索しているからです。
ロシアは大規模なパレードと軍歌、中国は自国の歴史や防衛意識を映した歌、そして両国の若い世代が共に歌う「カチューシャ」。こうした風景からは、
- 歴史認識は国ごとに異なっていても、戦争の記憶を語り継ぐ必要性は共有されていること
- 音楽や文化が、政治や安全保障とは別のレベルで人と人をつなぐ力を持つこと
といった点が見えてきます。
ニュースとして事実を追うだけでなく、「なぜこの曲が選ばれたのか」「誰に向けたメッセージなのか」を考えてみることで、国際ニュースはより立体的に見えてきます。日々SNSで情報が流れていく中で、こうした一つ一つの場面に立ち止まり、自分なりの視点を持つことが、これからの時代のニュースとの付き合い方と言えるのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








