モスクワ戦勝記念日 勝利公園で地元住民が語り継ぐ戦争英雄の記憶 video poster
ロシアの首都モスクワにある「勝利公園」では、今年の戦勝記念日の軍事パレードが終わったあとも、人びとが集まり続けました。地元住民が戦争英雄をしのび、喜びと誇り、そして痛みの記憶が静かに交差する時間となりました。
戦勝記念日後も続いた「もう一つの集い」
戦勝記念日は、第2次世界大戦で犠牲になった人びとを追悼し、勝利を祝うロシアの重要な日です。今年もモスクワ中心部で軍事パレードが行われましたが、その後に人びとが足を運んだのが、市内西部の勝利公園でした。
公園では、花束を手にした家族連れや友人同士が記念碑の前に立ち止まり、戦争で亡くなった親族や知られざる兵士たちに思いをはせたと伝えられています。にぎやかな笑い声と、静かに目を閉じる姿が同じ空間に存在する、独特の雰囲気だったようです。
99歳の退役軍人が示した「この日の意味」
この日の集いで、ひときわ人びとの視線を集めたのが、99歳の退役軍人でした。戦場を直接経験した世代として、彼はこの日が単なる祝祭日ではなく、命を落とした戦友たちを思い起こす日であることを静かに語りかけたとされています。
長い人生を経てなお会場に足を運ぶその姿は、「記憶を語り継ぐことこそが、私たちに残された役割だ」というメッセージそのものに見えます。彼の存在は、多くの参加者にとって、戦争が決して遠い過去の出来事ではないことを思い出させるきっかけになりました。
喜び・誇り・喪失が同時に存在する場所
勝利公園で行われた集いは、戦争英雄をたたえる場であると同時に、戦争がもたらした喪失と向き合う場でもあります。今年の様子を伝える映像や証言からは、次のような姿が浮かび上がります。
- 軍服姿で敬礼する若い世代の参加者
- 写真や勲章を手に、家族の歴史を語り合う人びと
- 静かに花を手向け、祈りの時間を過ごす高齢者
そこでは、祝いのムードと追悼の空気が矛盾なく共存しています。戦争の勝利を祝う一方で、その勝利の背後に数え切れない犠牲があったことを忘れない――そうした複雑な感情が、参加者一人ひとりの表情からにじみ出ていました。
戦争の記憶をどう次世代につなぐか
99歳の退役軍人の存在が象徴するように、第2次世界大戦を直接知る世代は年々少なくなっています。それはロシアだけでなく、日本を含む多くの国や地域に共通する現実です。
戦争体験者が減るなかで、記憶を風化させないためには、次のような取り組みが重要だと考えられます。
- 家族や地域で、戦争に関する体験談や写真を意識的に共有する
- 学校教育や市民講座で、歴史の「数字」だけでなく個人の物語に触れる機会をつくる
- ニュースやドキュメンタリーを通じて、他国の追悼のあり方にも目を向ける
モスクワの勝利公園での集いは、こうした取り組みの一つの形といえます。地元住民が自らの家族史と国家の歴史を重ね合わせながら、戦争の記憶を自分ごととして受け止めようとしている様子が見えてきます。
日本からこのニュースをどう受け止めるか
日本でも、戦争を知る世代の高齢化が進み、「聞きたくてももう聞けない」体験談が増えています。遠く離れたモスクワでの戦勝記念日のニュースは、私たちに次のような問いを投げかけています。
- 自分の家族や地域に残る戦争の記憶を、きちんと聞き、残せているか
- 他国の追悼や記念行事を、政治や対立の文脈だけでなく「人びとの感情」という視点から見られているか
- 平和のありがたさを、日常のどんな場面で実感できるか
2025年のいまもなお、戦争の記憶は世界各地で語り継がれています。モスクワの勝利公園で戦争英雄をしのぶ地元住民と、99歳の退役軍人の姿は、「歴史を忘れない」という営みが、政治や国境をこえて続いていることを静かに伝えています。
Reference(s):
Locals remember war heroes at event in Moscow's Victory Park
cgtn.com








