中国・グイユ「電子ごみの街」が循環経済のリサイクル拠点に video poster
中国南部の町グイユ(Guiyu)は、かつては家族経営の簡易な電子ごみ処理で知られていましたが、現在は中国の循環経済とカーボンニュートラルの取り組みを支える全国的なリサイクル拠点へと変貌しています。環境負荷の高い産業をどう転換できるのかを考えるうえで、グイユの事例は2025年の今も示唆に富んでいます。
かつては家内工業型の電子ごみ集積地
グイユは長年、世界中から集まる電子ごみを扱う町として知られてきました。処理を担っていたのは、家族経営の小規模な作業場が中心で、設備は簡易なものにとどまっていました。
汚染対策にかかるコストが高かったこともあり、初期の作業場には十分な環境保全設備が整っておらず、大気には有害な煙が立ちこめることもありました。こうした背景から、グイユは電子ごみ処理と環境負荷という課題を象徴する存在でもありました。
2015年の転機:グイユ循環経済産業パークの稼働
転機となったのが2015年です。この年、地元政府はグイユ循環経済産業パークを稼働させ、環境負荷の高い分散型の処理から、管理された集約型のリサイクルシステムへと舵を切りました。
電子ごみを扱う事業者は産業パーク内に移転し、
- 再利用できる部品を選別してリユースにつなげる
- 残りの部分は金属などの価値ある資源として回収・加工する
といったプロセスを通じて、廃棄物をできるだけ資源として循環させる仕組みが整えられました。
現在のグイユ:完全自動化されたリサイクルセンターへ
2015年の稼働開始から約10年がたった現在、グイユ循環経済産業パークは、完全自動化されたリサイクルセンターへと発展しています。
パーク内では、電子ごみを種類ごとに追跡し、適切な手順で解体する仕組みが整備されています。これにより、
- 人の目だけに頼らない、精度の高い選別
- 資源の回収率向上と安全性の確保
- 排出源から最終処理までのトレーサビリティ(追跡可能性)の向上
といった効果が期待できる体制になっています。
循環経済とカーボンニュートラルの文脈で見るグイユ
グイユの変化は、中国の循環経済とカーボンニュートラルの取り組みを象徴するものとして位置づけられています。循環経済とは、資源を採掘して使い捨てるのではなく、使用後も再利用・再資源化して循環させる経済モデルのことです。
電子ごみのリサイクルを高度化することで、
- 新たな資源採掘を抑え、資源の有効利用を進める
- 再生資源を活用することで、製造過程での温室効果ガス排出を削減する
- 廃棄や焼却に伴う環境負荷を低減する
といった効果が期待されます。グイユは、こうした循環経済とカーボンニュートラルの目標を、電子ごみという具体的な分野で体現していると言えます。
日本・アジアへの示唆:電子ごみの「見えないコスト」をどう減らすか
日本を含む多くの国や地域でも、スマートフォンや家電などの電子ごみが増え続けています。グローバルなサプライチェーンの中で、電子機器の製造だけでなく、リサイクルや最終処理の在り方が問われています。
グイユの事例から見えてくるポイントとして、次のような視点が挙げられます。
- 分散した小規模処理から、環境対策を備えた集約型施設への転換
- リサイクル工程の自動化・デジタル化による効率と安全性の向上
- 廃棄物を「コスト」ではなく「資源」として扱う発想の転換
こうした流れは、日本やアジア各国・地域が電子ごみ問題に向き合ううえでも参考になります。どこで、どのように廃棄物が処理されているのかを可視化し、資源循環と環境保全を両立させる仕組みづくりが求められています。
押さえておきたいポイント
- 中国南部の町グイユは、かつて家族経営の電子ごみ作業場が集まる地域だった
- 2015年にグイユ循環経済産業パークが稼働し、環境負荷の高い分散型処理からの転換が進んだ
- 現在は、電子ごみを種類ごとに追跡・解体できる完全自動化のリサイクルセンターとなっている
- 資源の循環利用とカーボンニュートラルの実現に向けた、中国の取り組みの一例として注目されている
グイユの歩みは、電子ごみという身近な問題を通じて、循環経済やカーボンニュートラルをどう実現していくのかを考える手がかりを与えてくれます。日常で使うスマートフォンや家電の「その後」に、どんな仕組みが必要なのか。読者一人ひとりが自分ごととして考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com







