国連高官がイスラエルの新ガザ支援計画を痛烈批判 飢餓を「交渉材料」に? video poster
リード:国連高官がガザ支援計画を批判
国連の人道支援トップが、イスラエルが提案したガザ向けの新たな支援配分モデルを「脆弱な人々を排除し、さらなる避難を強いる危険な前例だ」として強く批判しました。人道支援が政治や軍事の「交渉材料」と化すことへの懸念が、国際ニュースとして改めて浮き彫りになっています。
今年5月、国連高官が示した強い懸念
2025年5月13日、国連の人道問題担当の事務次長で緊急援助調整官を務めるトム・フレッチャー氏は、ガザにおける人道支援の新しい配分方法をめぐり、イスラエルが示した案に強い懸念を表明しました。
フレッチャー氏によると、このモデルは本来最も守られるべき人々を支援から外し、人々にさらなる避難を強いる仕組みになっているといいます。また、こうしたやり方が認められれば、世界各地の紛争でも同じ手法が真似されかねないと警告しました。
指摘された4つのポイント
フレッチャー氏が問題視したのは、おおまかに次の4点です。
- 脆弱な人々が支援から排除される
提案されたモデルでは、弱い立場に置かれている人々が支援の対象から外れてしまうと指摘しました。支援が必要な人ほど届きにくくなる危険があります。 - さらなる避難を強いる仕組みになっている
人々が支援を受けるために、再び移動や避難を余儀なくされることになると警告しました。安全を求めて逃れてきた人々に、追加の負担とリスクがのしかかる可能性があります。 - 「危険な前例」を世界に残すおそれ
一度このようなモデルが受け入れられれば、他の紛争地でも「支援と引き換えに人々を動かす」手法が広がりかねません。フレッチャー氏は、そのこと自体が国際社会にとって危険な前例になるとしました。 - 飢餓が「交渉材料」にされている
フレッチャー氏は、この計画によって飢餓そのものが交渉の道具にされ、人道支援の名の下にさらなる暴力が覆い隠されてしまうと強い言葉で批判しました。
人道支援はどこまで政治から独立できるか
今回の発言の背景には、「人道支援は誰のために、どのような原則で届けられるべきか」という根本的な問いがあります。人道支援の世界では一般に、中立性や公平性、ニーズに基づく配分といった原則が重視されてきました。
しかし紛争の現場では、支援ルートの確保や治安上の配慮などを理由に、政治や軍事の思惑が支援の形を大きく左右することがあります。フレッチャー氏は、まさにその境界線が危険な方向に踏み越えられようとしていると受け止めているように見えます。
ガザの人道支援をめぐる国際ニュースとしての意味
この問題提起は、ガザという一つの地域の枠を超えた意味を持っています。フレッチャー氏が「危険な前例」と表現したように、一つの紛争地で認められたやり方は、別の場所でも使われる可能性があるからです。
- 紛争地での人道支援のルールづくりに、どのような影響を与えるのか
- 各国政府や武装勢力が、人道支援をどのように利用しようとするのか
- 国連や支援団体が、どこまで原則を守り抜けるのか
こうした点は、今後の国際ニュースを読み解くうえでも重要な視点になっていきます。
日本の読者にとっての「自分ごと化」
距離的には遠いガザの問題ですが、日本でニュースを読む私たちにも関わりがあります。なぜなら、人道支援のルールや前例は、将来別の地域で起きる危機にもそのまま適用される可能性が高いからです。
- どのような支援のあり方が「許される」のかという基準は、国際世論によっても形作られます。
- SNSで共有される情報やコメントも、そうした世論の一部を担っています。
- ニュースをどう受け止め、どんな問いを持つのかは、一人ひとりに委ねられています。
今回伝えられているのは、国連側からの強い批判という一つの視点です。この視点を手がかりにしつつ、支援を受ける人々の立場、計画を提案した側の論理など、さまざまな角度から考えてみる余地があります。
まとめ:飢餓を「道具」にしないために
発言から数カ月がたった今も、「飢餓を交渉材料とすべきではない」「人道支援の名の下に暴力を覆い隠してはならない」というメッセージは重く響きます。
人道支援は、誰の側に立つのかではなく、「困っている人にどう届くか」を軸に考えるべきだという問題提起とも言えます。ガザの支援をめぐるこの国際ニュースは、遠い場所の出来事として片付けるのではなく、私たち自身の価値観やニュースの読み方を静かに問い直す素材にもなっています。
Reference(s):
UN: Israel's new Gaza aid plan a 'fig leaf' for violence, displacement
cgtn.com








