中国中部で非侵襲BCIキャップ臨床試験 脳で操作するリハビリに一歩前進 video poster
脳とコンピューターを直接つなぐブレイン・コンピューター・インターフェース(Brain-Computer Interface、BCI)の医療応用が、中国中部で一歩前に進みました。華中科技大学に所属する同済病院が、頭にかぶるだけの非侵襲型「BCIキャップ」の臨床試験を開始したのです。
この国際ニュースは、脳の信号を活用したリハビリ医療の可能性を探る試みとして、医療テクノロジー分野で注目を集めています。
脳とコンピューターをつなぐBCIとは
BCIは、脳の活動をセンサーで読み取り、その信号をコンピューターに送り、外部機器の操作や機能回復に役立てる技術です。キーボードやマウスのような通常の入力装置を介さず、脳の状態を直接デジタル化する点に特徴があります。
医療分野では、けがや病気で手足を動かしにくくなった人のサポートや、リハビリの効率化などへの応用が期待されています。一方で、侵襲的な方法(頭蓋骨を開いて脳に電極を埋め込む方式)は、どうしても身体への負担が大きくなります。そのため、頭皮の上から信号を取る非侵襲型BCIが、より安全で利用範囲の広い選択肢として注目されてきました。
中国中部で始まった非侵襲型BCIキャップ臨床試験
同済病院が開発した「BCIキャップ」は、頭にかぶるだけで脳活動の信号を取得できる非侵襲型の装置です。今回の臨床試験には、すでに40人を超えるボランティアが参加しており、段階的な検証が進められています。
第1段階:信号収集フェーズは完了
臨床試験は複数のフェーズに分かれて進行しており、第1段階では、キャップを通じて脳からどのような信号が安定して取得できるかに焦点が置かれました。この信号収集フェーズはすでに完了しており、研究チームは、得られたデータをもとに解析やアルゴリズムの精度向上を進めています。
次のステップ:機能回復テストへ
今後は、BCIキャップをリハビリに実際に活用する「機能回復テスト」の段階に移行します。ここでは、参加者が脳の活動を使って動きや操作をイメージし、その信号を基に外部機器を動かしたり、リハビリプログラムを実施したりすることで、機能回復への効果が検証される見通しです。
同済病院のチームは、このプロセスを通じて、脳が積極的に関与するかたちでのリハビリの実現に近づくことを目指しています。言い換えれば、「脳で自分の回復をコントロールする」ような新しいリハビリモデルを描いていると言えます。
非侵襲型BCIキャップが注目される理由
今回の臨床試験が注目される背景には、非侵襲型BCIが持つ次のような利点があります。
- 安全性の高さ:頭部を開かずに脳活動を計測できるため、手術リスクや回復期間の負担がありません。
- アクセスのしやすさ:キャップをかぶるだけの仕組みであれば、病院だけでなく、将来的にはリハビリ施設や在宅ケアなどでも使いやすくなります。
- 参加者の裾野の広さ:身体への負担が少ないため、高齢者や持病のある人でも参加しやすくなり、より多様なデータを集めることができます。
こうした特徴により、非侵襲型BCIキャップは、日常に近い環境で使える「現実的な医療テクノロジー」として期待されています。
リハビリ医療にもたらす可能性
BCIキャップを用いたリハビリは、単に「動かない部分の代わりに機械を動かす」という発想にとどまりません。脳に「動かそう」と意識してもらうことで、神経回路を再び活性化しようとするアプローチにもつながります。
例えば、将来的には次のような形での活用がイメージされます。
- リハビリ中に、脳の活動状態をリアルタイムで見える化し、患者自身が「今、脳がちゃんと動いている」と実感しながら訓練できる。
- 一人ひとりの脳の反応パターンに合わせて、リハビリメニューをきめ細かく調整する。
- 長期にわたる訓練のモチベーション維持に、ゲーム性やフィードバックを組み合わせる。
今回の中国中部での臨床試験は、こうした未来像にどこまで近づけるかを探る第一歩と見ることができます。
技術が進むほど問われる「どう使うか」
BCI技術が洗練され、非侵襲キャップのように使いやすい形になっていくほど、社会としては次のような問いも意識する必要があります。
- 脳から取得したデータを、どのように安全に管理し、守るのか。
- 医療目的以外の利用を、どこまで認めるべきなのか。
- 技術にアクセスできる人とできない人の間で、新たな格差が生まれないか。
今回の臨床試験は、技術的な前進であると同時に、こうした倫理やルール作りについて考えるきっかけにもなります。テクノロジーが人の回復を助ける時代に、私たちは何を大切にすべきか。ニュースをきっかけに、身近な人と話し合ってみる価値のあるテーマと言えるでしょう。
非侵襲型BCIキャップの試験はまだ始まったばかりですが、脳で操作するリハビリの実現に向けて、現実が一歩ずつ近づいていることを感じさせる動きです。今後の試験結果や応用の広がりに、引き続き注目していきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com







