ビザ免除で変わる中国観光 「本物の中国」を求める旅行者たち video poster
中国でビザなし入国制度が緩和されたことで、海外からの観光が新しい段階に入りつつあります。万里の長城や故宮といった定番スポットだけでなく、「本物の中国」を体験したい旅行者が増えているとされています。
ローカルな文化体験を手がける北京の会社『Our Beijing』の共同創業者、ドミニク・カラム・デ・コウトー氏は、中国国際メディアのCGTNの取材に対し、こうした動きが顕著になっていると語り、観光の現場で感じる変化を共有しています。
ビザなし入国の緩和がもたらすもの
2025年現在、ビザなし入国の緩和は、中国への「最初の一歩」のハードルを下げる動きとして受け止められています。事前の手続きに時間や手間をかけずに済むことで、中国をより気軽に訪れやすくなったと感じる人も少なくありません。
その結果、観光客の滞在スタイルにも変化が生まれていると考えられます。限られた時間で有名スポットだけを巡る「チェックリスト型」の観光から、少し余裕を持って街に滞在し、文化や人々の暮らしを観察する旅へと関心が移りつつあります。
「観光名所」から「生活の風景」へ
中国観光といえば、これまでは万里の長城や故宮など歴史的な観光地が中心でした。もちろん今も人気は変わりませんが、それに加えて、多くの旅行者が「日常の風景」に目を向け始めています。
訪問者が求める「本物の中国」とは、たとえば次のような体験です。
- 住宅街の路地や市場を歩き、地元の人の日常を感じる
- 伝統的な食文化や朝ごはんを、観光地ではない店で味わう
- 書道や茶、工芸などの文化ワークショップに参加する
- 公共交通機関を使って、自分のペースで街をめぐる
こうした体験は、写真映えする名所とは別のかたちで、「この国で暮らすとはどういうことか」を教えてくれます。
現地企業が見るトレンド:Our Beijing の視点
北京を拠点とする『Our Beijing』は、現地の文化や暮らしに焦点を当てた体験プログラムを提供するローカル企業です。共同創業者のドミニク・カラム・デ・コウトー氏は、CGTNの取材の中で、海外からの観光客の関心が「知識としての中国」から「体験としての中国」へと移りつつあると指摘しています。
氏の見方から、現在の中国観光の特徴を三つに整理できます。
- 文化への「深い理解」を求める:訪問者は歴史や建築物の解説だけでなく、その背景にある考え方や価値観まで知りたいと考えています。
- 現地の人との接点を重視する:ガイドや小規模グループを通じて、日常会話や生活感に触れられる機会を求める声が増えています。
- SNSでの発信も「リアルさ」が鍵に:観光客は、誰もが撮る有名スポットの写真より、自分だけの発見やローカルな体験を共有したいと感じています。
なぜ今、「本物志向」の中国観光が広がるのか
ここ数年、世界的に旅行スタイルが見直され、「ただ行った場所を増やす」よりも「どれだけ深く理解できたか」を重視する傾向が強まっています。中国を訪れる旅行者の間でも、その流れがはっきりと表れ始めています。
背景には、いくつかの要因があると考えられます。
- オンラインで基本情報は簡単に得られるため、現地では「自分でしか得られない体験」に価値を見いだすようになっている。
- 動画配信やニュースを通じて中国の姿に触れる機会が増え、そのイメージの「答え合わせ」を自分の目で行いたいと考える人が増えている。
- 国際情勢への関心が高まり、「ニュースで見る中国」と「実際に歩いて感じる中国」を結びつけたいというニーズがある。
これから中国旅行を考える人への視点
日本語で国際ニュースを追っている読者にとっても、このトレンドは他人事ではありません。これから中国旅行を計画するのであれば、「観光」と「理解」をどう組み合わせるかがポイントになりそうです。
- 万里の長城や故宮などの代表的な観光地を訪れつつ、その前後に街歩きや市場巡りの時間を組み込む。
- 現地の文化体験を提供する少人数プログラムや案内サービスを活用し、質問しながら理解を深める。
- 渡航前にニュースやドキュメンタリーを日本語でチェックし、現地で「自分なりの答え」を探す視点を持つ。
- 現地のルールやマナーを尊重しながら、人々の暮らしに敬意をもって触れる姿勢を大切にする。
観光から「理解」へ:変わりつつある中国の見え方
ビザなし入国制度の緩和は、中国を訪れるきっかけを広げるだけでなく、旅の質そのものを変えつつあります。観光客は、名所を巡るだけでなく、その背後にある社会や文化、日常の暮らしに目を向け始めています。
こうした変化は、中国と世界のあいだの相互理解を少しずつ深めていくプロセスでもあります。「本物の中国」を求める視線がどのように広がっていくのか、今後も国際ニュースとして注目していく必要がありそうです。
Reference(s):
Tourists in China seek authentic experiences, traditional sightseeing
cgtn.com








