世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフ 気候変動と白化の危機にどう立ち向かうか video poster
オーストラリア北東部のグレートバリアリーフが、記録的なサンゴの白化と海水温の上昇で深刻な危機に直面しています。世界最大のサンゴ礁システムは、回復する前に次のダメージを受けるサイクルにはまり込みつつあると科学者たちは警告しています。CGTNのラミ・アルメガリ記者は、現場で保護と再生に取り組むサンゴ礁生物学者たちに話を聞き、その最前線を伝えています。
世界最大のサンゴ礁、いま何が起きているのか
グレートバリアリーフは、オーストラリア・クイーンズランド州の沖合に広がる世界最大のサンゴ礁です。その一部で、ここ数年、観測史上に残るような規模のサンゴ白化が繰り返し起きているとされています。白化とは、海水温の上昇などのストレスによってサンゴが体内の共生藻を失い、真っ白になってしまう現象です。
一度白化しても、条件がよくなればサンゴは回復する可能性があります。しかし、回復に必要な時間が確保されないまま、短い間隔で高水温や異常気象が続くと、サンゴは体力を失い、死んでしまうリスクが高まります。研究者たちは、広い範囲でこの「回復が追いつかない」状況が見られると指摘しています。
気候変動がサンゴ礁にもたらすプレッシャー
グレートバリアリーフを追い込んでいる要因の中心には、気候変動があります。研究者たちは、複数のストレスが重なってサンゴ礁を弱らせていると説明します。
- 海水温の上昇:気温の上昇と同じように、海水温も長期的に高い状態が続いています。短期間の熱波のように急激に水温が上がると、大規模な白化を引き起こしやすくなります。
- 海の性質の変化:大気中の二酸化炭素が増えると、海もそれを吸収し、海水の性質が変わります。こうした変化は、サンゴが骨格を作る力に影響を与え、成長を妨げると懸念されています。
- 極端な気象現象:強いサイクロンや豪雨など、極端な気象が増えると、物理的な破壊や濁り、水質悪化といったかたちでサンゴ礁にさらなる負荷がかかります。
現場の研究者たちはどう動いているか
アルメガリ記者の取材に応じたサンゴ礁生物学者たちは、「守る」と「再生する」という二つのアプローチを組み合わせながら現場に向き合っています。単にサンゴの状態を観察するだけでなく、長期的な変化を見極め、対策につなげようとしているのが特徴です。
モニタリングとデータに基づく管理
研究チームは、定期的な潜水調査や映像記録を通じて、サンゴの健康状態や魚類の多様性、水の透明度などを継続的に追跡しています。得られたデータは、どの海域が特に弱っているのか、どこに回復の兆しがあるのかを見極めるために活用されます。
こうした情報は、観光や漁業を含む人間の活動をどのように管理するかを考えるうえでも重要です。ストレスの大きい海域では利用を制限し、比較的強いサンゴが残る場所を優先的に保護するなど、「限られた資源をどこにどう注ぐか」という判断材料になります。
サンゴを「助ける」再生プロジェクト
一部の研究者たちは、弱ったサンゴ礁を人の手で支える試みも進めています。たとえば、海中や陸上でサンゴの苗を育て、ある程度成長したものを自然の礁に移植する方法です。また、高い水温にも比較的耐えられるサンゴを選び、増やすことで、将来の環境変化に備えようとする取り組みも行われています。
こうした「再生」は、あくまで自然の力を完全に置き換えるものではありません。しかし、失われたサンゴを少しでも取り戻し、重要な生息地をつなぎとめるための「つなぎ役」として期待されています。
それでも希望が残る理由
状況は厳しい一方で、研究者たちは「まだ間に合う」というメッセージも発しています。サンゴ礁には本来、一定の回復力があり、ストレスが下がれば少しずつ持ち直す力をもっているからです。
鍵を握るのは、二つのレベルでの行動です。一つは、世界全体で温室効果ガスの排出を減らし、海水温の上昇を抑えること。もう一つは、流域からの汚濁を減らすなど、水質や沿岸環境を改善し、サンゴが「回復しやすい条件」を整えることです。この二つがそろって初めて、グレートバリアリーフの回復力を最大限に引き出せると考えられています。
遠い海のニュースを、自分ごととして考える
クイーンズランド沖のグレートバリアリーフの問題は、一見すると日本の日常から遠い話のように見えるかもしれません。しかし、気候変動や海の環境悪化は、世界中の海に共通する課題です。日本周辺の海でも、サンゴ礁や海の生態系が影響を受けていると指摘されています。
私たち一人ひとりができることは小さいかもしれませんが、その積み重ねが長期的な変化を生み出します。たとえば、
- 省エネや再生可能エネルギーを選ぶなど、日々の暮らしで排出を減らす行動をとる
- 気候変動対策に取り組む企業や自治体の取り組みに関心を持ち、情報を共有する
- 海の保全や環境教育に取り組む団体の活動を知り、できる範囲で参加・支援する
世界最大のサンゴ礁が直面する危機は、「気候変動の時代にどのような未来を選び取るのか」という問いそのものでもあります。グレートバリアリーフの行方を追うことは、私たち自身の選択を見直すきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
World's largest coral reef system: Can it survive climate change?
cgtn.com








