中国羅漢果輸出企業のリスク分散術 米市場依存を5年でどう見直したか video poster
国際ニュースとして注目される中国の羅漢果(モンクフルーツ)輸出企業の事例から、貿易摩擦が続く時代に、企業がどのようにリスクを分散し、事業の耐性を高めているのかを見ていきます。
中国の羅漢果輸出企業が直面したリスク
世界最大のモンクフルーツ(羅漢果)輸出拠点を代表する企業の一つ、Guilin GFS Monk Fruit Corp. は、かつて事業のほぼ全てを米国市場に依存していました。
同社の最高経営責任者(CEO)、Lan Fusheng(藍福生)氏は、国家間の貿易摩擦が企業にもたらすリスクを強く意識してきたと語っています。藍氏は、国家間の貿易摩擦が起きれば、ひとつの市場に依存している企業は一気に経営危機に追い込まれかねないと指摘しました。
実際、近年は関税や規制をめぐる対立が続き、貿易戦争とも呼ばれる動きが多くの企業に影響を与えてきました。原材料コストの上昇や、突然の規制変更、輸出入の遅延など、不確実性は増す一方です。
5年かけた戦略転換 米国依存を半分以下に
こうした環境の中で、Guilin GFS Monk Fruit Corp. は大胆な戦略転換に踏み切りました。同社は5年にわたる取り組みを通じて、米国市場への依存度を引き下げ、売り上げに占める米国の比率を50%未満に抑えることに成功しました。
同時に、世界各地で取引先を開拓し、現在では1600社を超えるパートナーと取引するまでに顧客基盤を拡大しています。藍氏は、取引先を分散させたことで、企業としての耐性や回復力が大きく高まったと手応えを語っています。
ひとつの市場の変動に業績が大きく左右されるのではなく、複数の国や地域に顧客が広がることで、どこかで需要が落ち込んでも別の市場で補える構造が生まれたというわけです。
貿易戦争の影響を認めつつ、中国経済の底力に自信
藍氏は、近年の貿易戦争が多くの企業に打撃を与えてきたことも率直に認めています。輸出企業にとって、関税の引き上げや規制の強化は、収益を圧迫する現実的な脅威だからです。
それでも藍氏は、中国がこうした試練を乗り越え、課題に対応していく力を持っていると強い自信を示しています。自社の取り組みも、その一つの例と位置付けられます。市場を分散し、顧客基盤を広げることで、外部環境の変化に揺さぶられにくい事業構造を目指しているからです。
この事例から見えるリスク分散のポイント
Guilin GFS Monk Fruit Corp. の事例は、一次産品や食品、製造業など、海外市場に依存する多くの企業に示唆を与えます。日本を含む各国企業にも共通するポイントとして、次のような点が浮かび上がります。
- 市場依存度の把握: 売上や利益が特定の国や一部の顧客に偏っていないか、定期的に確認することが重要です。
- 顧客ポートフォリオの拡大: 新たな国や地域のパートナーを開拓し、顧客数そのものを増やすことで、特定市場の急変に備えることができます。
- 中長期の視点での転換: 同社も戦略転換に5年をかけています。短期的な成果だけでなく、中長期での安定を見据えた計画が求められます。
- 外部環境を前提にした経営: 貿易摩擦や地政学リスクは、これからも完全にはなくなりません。変化を例外ではなく前提として織り込む姿勢が重要になります。
日本の読者への示唆 中小企業にも応用できる視点
今回の国際ニュースは、中国の羅漢果輸出企業の話ですが、日本の中小企業やスタートアップにも重なる点が多くあります。特定の大口取引先や、一つのプラットフォーム、一つの国の需要に過度に頼っていないかを見直すことは、どの企業にも共通する課題です。
例えば、海外向けのオンライン販売に取り組む企業であれば、特定の国向けサイトや一つの通販プラットフォームに売上が偏っていないか、サービス業であれば特定業界や特定の取引先への依存が高すぎないかといった観点で、自社のリスクを点検できます。
Guilin GFS Monk Fruit Corp. のように数年単位で顧客基盤を広げていく発想は、中長期の事業戦略として参考にできる考え方です。少しずつでも取引先や市場を増やしていくことで、予期せぬショックに備える力を高めることができます。
貿易摩擦の時代をどう生きるか
貿易摩擦や規制強化など、国際環境の不確実性は今後もしばらく続くと見られます。その中で、企業ができることは、環境変化そのものをコントロールすることではなく、変化が起きても耐えられる体制を整えることです。
中国の羅漢果輸出企業が示したのは、危機をきっかけに事業構造を見直し、多様なパートナーを持つことで、リスクに強い企業へと変わろうとする姿です。このような動きは、中国に限らず、世界各地の企業にとって共通のテーマといえます。
不確実性の高い時代だからこそ、自社の依存度を可視化し、取引先や市場を少しずつ分散させていく。今回の事例は、そうした静かな戦略的行動の重要性を、あらためて考えさせてくれます。
Reference(s):
cgtn.com








