太平洋島しょ国代表団が見る中国の農村振興 山東省・東阿県の現場から video poster
2025年現在、中国の農村振興と貧困削減の取り組みは、アジア太平洋地域でも注目を集めています。最近、太平洋島しょ国の代表団が中国東部・山東省の農村を訪れ、その現場を自分の目で確かめました。本記事では、その視察内容と国際ニュースとしての意味を、日本語で分かりやすく整理します。
9つの太平洋島しょ国代表団が山東省・東阿県を視察
中国東部の山東省・聊城市にある東阿県では、「農村振興モデルゾーン」と位置づけられた地域づくりが進んでいます。今回、この東阿県のモデルゾーンを、太平洋島しょ国の9カ国から来た代表団が訪問しました。
代表団は、県内に設けられた3カ所のモデルゾーンを回り、中国の農村振興や貧困削減の経験を学びました。視察のテーマは主に次の2つです。
- 共有型ファームと民宿を組み合わせた観光・農業モデル
- ヨモギ栽培を軸にした電子商取引(eコマース)の仕組み
いずれも、村人の暮らしを実際に豊かにしている取り組みとして紹介されました。
共有型ファーム×民宿 「来てもらう農村」で収入を増やす
代表団がまず注目したのは、共有型ファームと民宿を組み合わせた仕組みです。ここでは、農地を地域ぐるみで活用し、外から人を呼び込む「体験型の農村観光」が展開されています。
具体的には、
- 村人が農地を共有し、作物の栽培や管理を分担する
- その周辺に小規模な民宿を整備し、都市部の旅行者が滞在できるようにする
- 宿泊、食事、農業体験をパッケージ化し、地域の新たな収入源とする
という流れです。従来の「作物を売るだけ」の農業から、「体験や滞在を含めたサービスを提供する農業」へと比重を移すことで、村人の収入が増えたとされています。
太平洋島しょ国の代表団にとっても、観光と農業を組み合わせる発想は、自国の島嶼地域で応用できる可能性があるとして関心を集めました。
ヨモギ栽培とeコマース 小さな作物を「つなぐ」ことで価値に
もう一つの視察の柱が、ヨモギ(モグワート)栽培を中心とした電子商取引のチェーン(連鎖的な仕組み)です。
東阿県では、村人が栽培したヨモギを加工し、インターネットを使って各地の消費者へ直接販売する取り組みが行われています。ここでポイントとなるのは、
- 栽培 → 加工 → 販売までを一つの「チェーン」として設計していること
- オンライン販売を活用することで、小さな村からでも広い市場につながれること
- 村人が栽培だけでなく、加工や販売にも関わることで、付加価値が地元に残ること
といった点です。代表団は、デジタル技術を活用することで、特産品を持つ小さな地域でも安定的な収入を確保できる可能性を感じたとされています。
なぜ太平洋島しょ国が中国の農村振興に関心を寄せるのか
太平洋島しょ国の多くは、人口が比較的少なく、農業や観光に頼る地域経済が中心という点で、中国の農村と共通する課題を抱えています。今回の視察には、次のような問題意識がにじみます。
- 都市と地方の格差をどう縮小するか
- 若者が地域にとどまり、働き続けられる仕事をどうつくるか
- 気候変動の影響を受けやすい島嶼地域で、持続可能な産業をどう育てるか
中国の事例は、「大規模な投資」というイメージだけで語られがちですが、今回視察されたのは、村人の暮らしに直結するきめ細かな取り組みです。共有型ファームやeコマースのように、手元の資源を生かしながら、少しずつ収入の柱を増やしていくアプローチは、太平洋島しょ国の地域づくりにも参考になり得ます。
地域どうしが学び合う時代の国際ニュースとして
今回の視察は、「先進国が開発途上国を支援する」といった一方向の構図ではなく、地域どうしが互いの経験から学び合う動きとして位置づけられます。
中国の農村振興モデルを、太平洋島しょ国の代表がどのように自国に持ち帰り、ローカルな文脈に合わせてアレンジしていくのかは、今後の注目点です。同時に、
- 観光と農業をどう組み合わせるか
- デジタル技術で地域の産品をどう広げるか
- 住民の暮らしを中心に据えた「振興」とは何か
といった問いは、日本の地方創生にも通じるテーマです。
国際ニュースとしての距離感を保ちつつ、こうした海外の試みを自分の地域と重ねて考えてみることが、次の一歩を考えるヒントになるかもしれません。
Reference(s):
Pacific Island delegates unpack China's rural revitalization
cgtn.com








