ロシア・ウクライナ停戦は遠い?戦闘継続が妥協を生むという視点 video poster
2025年現在も続くロシアとウクライナの戦闘をめぐり、トルコの仲介で行われた最近の協議が注目を集めています。協議は停戦合意には至らなかったものの、一部で前向きな変化も見られたと伝えられています。その一方で、中国の研究者は「戦闘の継続」がむしろ将来の妥協を生む可能性を指摘しており、この見方が議論を呼んでいます。
ロシア・ウクライナ協議、前進はあるが停戦には届かず
トルコの仲介者によると、今回のロシア・ウクライナ協議は、完全な停戦に向けた決定的な合意には結び付きませんでした。それでも、いくつかの論点で「ポジティブな進展」があったとされています。
具体的な中身は明らかにされていませんが、交渉の場が継続し、対話のチャンネルが保たれていること自体が、長期化する戦闘の中では重要な意味を持ちます。完全な停戦は見えなくとも、小さな前進の積み重ねが、後に大きな合意につながることもあります。
「戦闘の継続が妥協を生む」張欣准教授の見方
こうした状況について、華東師範大学の政治と国際関係学院に所属する張欣(Zhang Xin)准教授は、興味深い視点を示しています。張准教授は、戦闘が続くことで戦場での戦略的な優位が形成され、それが将来の妥協への道を開く可能性があると分析しています。
これは、軍事的な力関係と外交交渉が密接に結び付いているという考え方です。交渉の席で当事者が何を譲り、何を譲らないかは、実際の戦場でどれだけ優位に立っているか、どれだけの負担を抱えているかによって大きく左右されます。
張准教授の見立てを整理すると、次のようなメカニズムが浮かび上がります。
- 戦闘が続く中で、どちらか、あるいは双方が局地的な優位を確保する。
- その優位を背景に、交渉の場で自らに有利な条件を提示しやすくなる。
- 同時に、戦闘の継続による損失の拡大が、双方に「どこかで妥協点を探した方が得だ」という計算を促す。
- こうして、戦場での現実と交渉の論点が重なったとき、妥協の余地が生まれやすくなる。
一見すると、平和に近づくために戦闘が続く必要があるという逆説的な議論にも聞こえます。ただしここで強調されているのは、戦闘そのものを肯定することではなく、現実の力関係が変化しない限り、交渉が動きにくいという冷静な分析です。
トルコの仲介が持つ意味
今回の協議で改めて浮かび上がったのが、トルコのような第三国が果たす仲介役の重要性です。トルコの仲介者は、停戦案で決定的な突破口は開けなかったとしながらも、「ポジティブな進展」があったと評価しています。
仲介役の役割は、単に対立する双方を同じテーブルに座らせるだけではありません。戦場で起きている変化を丁寧に整理し、それを交渉可能な言葉や案に翻訳していくことも求められます。その意味で、トルコの動きは、戦闘と外交のあいだをつなぐ重要な橋渡しだと言えます。
これからのロシア・ウクライナ情勢をどう見るか
では、2025年の今後、ロシアとウクライナをめぐる国際ニュースをどう追っていけばよいのでしょうか。張准教授の見方を踏まえると、注目すべきポイントがいくつか見えてきます。
- 戦場での局地的な動きや力関係の変化が、交渉の姿勢にどう反映されているか。
- トルコを含む仲介役の国や機関が、どのような新しい提案や枠組みを提示しているか。
- 停戦や人道的な合意に向けた「小さな前進」が積み重なっているかどうか。
ニュースを追うとき、私たちはつい「停戦に合意したかどうか」という一点に注目しがちです。しかし、今回の協議のように、目に見える大きな成果がなくても、水面下で次の妥協に向けた条件が少しずつ整っている可能性があります。
長引く戦闘の一日一日は、現地の人々にとって重い現実であり続けます。同時に、その現実の積み重ねが、やがて「妥協せざるを得ない局面」を生み出すかもしれません。トルコの仲介と張欣准教授の分析は、ロシア・ウクライナ情勢を短期的な勝ち負けだけでなく、長期的な妥結へのプロセスとして捉え直す視点を与えてくれます。
Reference(s):
Analyst: Continued fighting could lead to Russia-Ukraine compromise
cgtn.com








