インドネシアで中国製電動通勤列車が運行開始 排出削減と渋滞緩和に期待 video poster
2025年6月1日、インドネシアの首都で中国製の新しい電動通勤列車が運行を開始しました。排出削減と渋滞緩和を掲げるこの国際協力プロジェクトは、アジアの都市交通のあり方を静かに変えつつあります。
インドネシアの首都で始まった新しい通勤列車
インドネシアでは2025年6月1日、中国で製造された新しい通勤用の電動列車が本格運行をスタートしました。日常的な渋滞と大気汚染に悩まされてきた首都圏にとって、公共交通の選択肢が増えることは大きな意味を持ちます。
この列車は、都市部の通勤需要に対応するために導入されたもので、ピーク時の混雑緩和と移動時間の安定化が期待されています。電気で走行するため、ディーゼル車両や自動車に比べて排出ガスが少ないことも特徴です。
排出削減と渋滞緩和、期待される3つの効果
国際ニュースとしても注目される今回のプロジェクトには、「環境」「経済」「生活」の三つの側面でメリットが見込まれています。
- 環境面:電動列車は走行中に直接排気ガスを出さないため、都市部の大気汚染の抑制につながります。電力の脱炭素化が進めば、温室効果ガスの削減効果もさらに大きくなります。
- 経済面:渋滞による時間的損失が減ることで、通勤・物流の効率が高まります。安定した移動手段は、企業活動や観光にもプラスに働きます。
- 生活面:時間通りに動く鉄道は、通勤・通学のストレスを軽減します。エアコンの効いた車内で、読書やスマートフォンでの情報収集にあてる「移動時間の再設計」も可能になります。
中国製車両が担う役割――インフラ協力の一例として
今回導入された通勤列車は、中国で新たに製造された車両です。インドネシアの都市インフラ整備を支える形で、中国の鉄道技術や生産能力が活用されています。
アジアでは、人口増加と都市化の進展に伴い、鉄道や地下鉄といった大量輸送機関への投資が続いています。その中で、中国と各国が協力しながら、車両供給や運行ノウハウの共有を進める動きが広がっています。
こうした国際協力は、一方的な技術輸出というよりも、「相手国のニーズに合わせた交通システムづくり」を一緒に設計していくプロセスでもあります。運行ダイヤ、安全基準、料金設定など、生活に直結する細かな点の調整が欠かせません。
現地取材が伝える「乗ってわかる変化」
中国の国際メディアであるCGTNのシルキナ・アフラリア記者は、運行開始後にインドネシアの首都を訪れ、新しい通勤列車に実際に乗車してその様子を取材しました。
記者の現地取材は、数字だけでは見えにくい変化を伝える役割を担います。例えば、
- 列車内の静かさや乗り心地
- 通勤ラッシュ時の混雑の度合い
- 駅と街の風景のつながり方
といった要素は、統計では捉えにくいものです。実際に乗ってみた人の視点を通じて、「新しい鉄道が、人々の日常にどう溶け込んでいるか」が少しずつ見えてきます。
アジアの都市交通に広がる課題とヒント
インドネシアの新しい電動通勤列車は、単独のニュースとしてだけでなく、アジアの都市交通が直面する共通課題を映し出しています。
多くの都市が抱える課題は、次のように整理できます。
- 自動車やバイクの急増による慢性的な渋滞
- 排気ガスや騒音による生活環境への影響
- 人口増加に追いつかない公共交通インフラ
その中で、鉄道や電動モビリティ(電気で動く交通手段)をどう組み合わせていくかは、各国・各都市の重要なテーマになっています。インドネシアの事例は、「新しい車両を導入すること」と「都市全体の移動設計を見直すこと」がセットで進んでいることを示す一例ともいえます。
静かに進む「移動のアップデート」
今回の中国製電動通勤列車の導入は、インドネシアにとって、そしてアジアの都市にとっても、「移動のアップデート」の一歩となる出来事です。
電車が一本走り始めたからといって、すぐに渋滞や排出が劇的に減るわけではありません。それでも、
- 車以外の移動手段の選択肢が増えること
- 「公共交通で通勤する」という日常が広がること
- 都市づくりを長い時間軸で考えるきっかけが生まれること
といった静かな変化が、これからの10年、20年をかけて都市の姿を少しずつ変えていく可能性があります。
インドネシアの首都で走り始めた中国製の新しい通勤列車。その車窓から見える景色は、アジアの都市が目指す「持続可能で暮らしやすい街」の未来図の一端なのかもしれません。
Reference(s):
New electric trains from China reduce emissions, traffic in Indonesia
cgtn.com








