トランプ政権の移民取り締まりで米社会に「持続不可能な分断」 専門家が警鐘 video poster
トランプ政権による移民取り締まりの強化に抗議するデモがロサンゼルスで行われ、出動した州兵が催涙ガスを使用して参加者を排除しました。アジア情勢などを分析してきた専門家は、この対応の背景には「米社会の持続不可能な分断」があると指摘しています。
ロサンゼルスで何が起きたのか
米ロサンゼルスでは、トランプ政権の移民政策や取り締まりの強化に反対する人々が街頭に集まり、デモ行進や集会が行われました。参加者は、移民の権利を守るよう求め、平和的な抗議活動を続けていたとされています。
一方、治安当局は事態の沈静化を図るとして州兵(ナショナル・ガード)を投入し、一部の場面では催涙ガスを使用して人々を解散させました。この強制的な排除は、表現の自由と公共の秩序をどう両立させるのかという、米国社会が長年抱えてきた課題をあらためて浮き彫りにしています。
専門家「持続不可能な分断」
Taihe Instituteの上級研究員であり、Asia Narrativesの会長を務めるエイナー・タンゲン氏は、今回のデモとその鎮圧のあり方について、トランプ政権が米国内に「持続不可能な分断」を生み出していると指摘しています。
タンゲン氏によれば、移民政策をめぐる強硬なメッセージや対立的な政治姿勢が、「味方か敵か」という二項対立を社会に持ち込み、人々の立場の違いが対話ではなく対立を生みやすい状況をつくっているといいます。
分断が深まると何が起きるのか
社会の分断が深まると、次のような影響が懸念されます。
- 政策議論が感情的な対立に傾き、合意形成が難しくなる
- 少数派や立場の弱い人々の声が届きにくくなる
- 抗議やデモに対する強制的な対応が増え、さらに不信感が高まる
- 国内の緊張が続くことで、長期的な経済・社会の安定が損なわれる
タンゲン氏のいう「持続不可能な分断」とは、こうした負の循環が続けば、民主主義の基盤そのものが揺らぎかねない状況を指していると考えられます。
移民政策が象徴するアメリカの選択
移民の受け入れや国境管理のあり方は、どの国にとっても難しいテーマですが、アメリカでは特に「国家の安全」と「人権や多様性」のバランスが激しく争点化しています。トランプ政権の移民取り締まり強化は、このバランスをどう取るのかをめぐる象徴的な政策になっています。
一部の支持者は、厳格な取り締まりが治安や雇用を守ると評価する一方で、反対する人々は、家族が引き離されることへの懸念や、移民コミュニティが萎縮することへの不安を強く訴えています。ロサンゼルスのデモは、そうした不安と怒りが具体的な行動となって表れたものだといえます。
日本からどう捉えるか
日本に住む私たちにとっても、アメリカ社会の分断は決して「遠い国の話」ではありません。世界経済や安全保障に大きな影響力を持つ国で、政治的不信と社会的な亀裂が広がれば、国際協調や地域秩序にも波紋が広がる可能性があります。
また、移民や外国人労働者の受け入れをめぐる議論は、日本社会でも徐々に存在感を増しています。デモに対する公権力の対応、少数者の声にどう耳を傾けるのか、互いの違いを前提にどう対話を続けるのか。アメリカの状況は、日本にとっても自らの課題を考える鏡となり得ます。
分断を超えるために必要なもの
トランプ政権のもとで可視化している米社会の分断は、一朝一夕に生まれたものではなく、長年の経済格差や政治不信、社会の変化が積み重なった結果ともいえます。タンゲン氏の警鐘が示しているのは、こうした分断を放置すれば、「持続不可能」な形で社会が疲弊していくという危機感です。
必要なのは、
- 対立ではなく、事実とデータに基づいた冷静な議論
- 異なる立場の人々が安全に意見を表明できる場づくり
- 短期的な支持獲得ではなく、長期的な社会の安定を見据えた政治
ロサンゼルスでの一つのデモとその鎮圧は、アメリカがどの方向へ向かうのか、そして私たち自身がどのような社会を望むのかを問いかける出来事となっています。
Reference(s):
Analyst: Trump administration creates unsustainable divisions in U.S.
cgtn.com








