成都で最先端デジタル歯科の国際研修会 13カ国から専門家集う video poster
成都で最先端デジタル歯科の国際研修会 13カ国から専門家集う
2025年6月、中国・成都で、むし歯治療や根管治療の分野で最小限の削除とデジタル技術を学ぶ国際ワークショップが開かれました。AI(人工知能)を使った診断やCAD/CAMによる修復、歯髄の再生など、口腔医療の最前線が共有された注目の動きです。
四川大学「華西口腔医学院」が国際研修を主催
ワークショップは、成都にある四川大学・華西口腔医学院(West China School of Stomatology)が主催しました。正式名称は「International Training Workshop on Minimally Invasive and Digital Technologies in Cariology and Endodontics」で、むし歯学(カリオロジー)と歯内療法学(エンドドンティクス)の最小侵襲治療とデジタル化に特化した内容です。
中国の科学技術省の支援を受けて実施され、いわゆる「一帯一路」のパートナー国から20人の歯科分野の専門家が参加しました。計13の国と地域から研究者や臨床医が集まり、講義と実習が行われました。
AI診断、CAD/CAM、歯髄再生――三つの技術にフォーカス
今回の国際研修では、とくに次の三つのテーマに焦点が当てられました。
- AI支援による診断:レントゲン画像や口腔内写真をAIが解析し、むし歯や根尖病変(歯の根の先の病気)の早期発見を支援する技術。
- CAD/CAM修復:コンピューターで設計(CAD)し、専用機器でブロックから削り出して被せ物や詰め物を作る技術。精度の高い修復物を短時間で提供できるとされています。
- 歯髄再生:従来は抜髄(神経を取る処置)になりがちだった歯の神経を、可能なかぎり残したり再生したりする治療コンセプト。患者の負担を減らし、歯の寿命を延ばすことが期待されています。
いずれも「できるだけ歯を削らず、抜かずに守る」という最小侵襲(ミニマルインターベンション)の考え方に基づく技術であり、世界的に注目が高まっています。
最新機器を用いたハンズオンで技術を体得
このワークショップの特徴は、「見るだけ」で終わらない実習中心のプログラムにあります。参加者は、さまざまな最新の機器を使いながら、実際の症例を想定したトレーニングを行いました。
AI診断ソフトの使用方法や、CAD/CAMによる修復物の設計・削り出しの流れ、歯髄再生をめざした治療手順などを、指導教員とともに確認しながら学ぶことで、各国に戻ってすぐに応用しやすいスキル習得をめざしました。
13カ国から20人 口腔医療の国際ネットワークづくりも
一帯一路のパートナーとなる13カ国と地域から集まった20人の参加者は、単に最先端の知識や技術を持ち帰るだけでなく、互いの国や地域の課題や実践例を共有しました。
多くの国と地域で、むし歯や歯周病などの口腔疾患は依然として重要な公衆衛生のテーマとなっています。ワークショップでは、デジタル技術をどのように活用すれば、より多くの人びとに質の高い歯科医療を届けられるかといった実務的な観点も議論されました。
こうした議論や交流を通じて、共同研究や人材交流の芽が育まれ、今後の長期的な協力関係の基盤づくりにもつながっています。
なぜ今、最小侵襲・デジタル歯科が重要なのか
高齢化が進む国や地域が増えるなか、歯をできるだけ残し生活の質を保つことは、医療政策の大きなテーマになっています。最小侵襲の考え方は、その中心にある発想です。
さらに、デジタル技術の導入によって、
- 診断のばらつきを減らし、治療の質を安定させる
- 治療計画を可視化し、患者とのコミュニケーションを取りやすくする
- データを共有して遠隔から専門家の意見を得やすくする
といったメリットも期待されています。今回のワークショップは、こうした流れを国際的に広げる一歩ともいえます。
中国発の取り組みが国際的な口腔保健に貢献
四川大学・華西口腔医学院が主催し、中国の科学技術省が支援した今回のプログラムは、口腔医療の教育と研究において中国が担う役割の一端を示すものでもあります。
中国・成都を拠点に各国の専門家が集まり、AIやデジタル技術を活用した最小侵襲治療を学ぶことで、国境を越えた知識の循環が生まれつつあります。2025年6月のこの取り組みは、今後の国際的な口腔保健協力を考えるうえで、ひとつの注目すべき事例と言えそうです。
Reference(s):
International workshop on cutting-edge dentistry held in Chengdu
cgtn.com








